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「っ……グレゴリー……」


 そこに立っていたのはお父様の執事のグレゴリーだった。ドアレバーに手をかけたままいぶかしげな顔をしていたが、私の声を聞くとはっとしたような顔になった。当然、私だと気付いたのだろう。

 しまった、ニナを連れ出す事に手間取って、勘付かれてしまったみたいだ。


「ちょ、っと待ってニナ何を……!」

「何で邪魔するのよ⁈」

「お願い、この場は私に任せて。何もしないで」


 どう頼んだら、私達をこのまま見送ってもらえるだろうか。数度まばたきをするほどの時間考えていた私は、ニナが握り込んだ手の中が何やら発光しているのに気付いて慌てて飛びついてそれを止めた。

 え、この子、グレゴリーに目潰ししようとした? 狩猟会で私にしたみたいに……?

 グレゴリーの年齢であんな攻撃を受けては、視力に影響が残るかもしれない。自分が逃げられればいいって思ったの? やっぱりちょっと、ニナとは相いれないな……と改めて認識した。


 グレゴリーは、いさかいを起こしている私達を目にしても誰かを呼ぶわけでもなく、騒ぎ立てる事もなく。静かに部屋の中に入ってきてドアを閉めた。


「リリアーヌ様……」

「グレゴリー、お願い! 私がニナをここから連れ出すのを、何も言わずに見逃して欲しいの……!」


 私は、グレゴリーが何かを言う前に遮って言葉を発した。聞いてしまったら……子供の頃から付き合いのある、お父様の執事のグレゴリーに頼まれたら、私は……自分で決めた事なのに揺らいでしまいそうだなって思ったから。

 使用人という立場だけど、グレゴリーは家族のように近い存在だった。元々アジェット家の分家の三男出身で、お父様とは子供の頃からの友人で……私にとっても、親戚のおじさんのような人だったから。

 でも、虫のいい事を言ってるのは分かってる。こっそり連れ出すのに成功していた所で、家族が全員不在の今は……何かが起きたら、それはグレゴリーの責任になってしまう。見つかった上でこう頼むなんて、とても図々しい事だ。でも、こうしてニナを連れ出そうとしているのが知られてしまった以上、騒ぎにせず切り抜けるにはグレゴリーの恩情に縋るしか思いつかなかった。


「リリアーヌ様は、ニナ嬢を助けに来たのですか?」

「私はただ……このままでは必要以上に重い刑が与えられそうだったのが嫌で……」


 だからこれは「助ける」という行為ではない。そう説明した私を見て、グレゴリーは寂しそうにふっと笑った。


「そうですね……リリアーヌ様は、こういう方でした。功名心で人を危険に晒すなんて事は……いえ、もう、それは終わった事です。違和感を抱きつつも止められなかった私も同罪ですから……」


 小さくそう呟くと、ドアを背にしたままうつむいた。

 きっと、狩猟会の事を言っているのだろう。最初、私は「自分の成績のために、立場の弱い養子のニナを無理矢理危険な狩猟会に連れて行った」という事になっていた。

 アンナ以外にも、私が……「そんな事はしない」と考えてくれた人が身近にいたんだって思うと少し救われた気持ちになった。


「……リリアーヌ様は、これからあの外交官の所へ行くのですか?」

「ええ。お母様の……歌劇場近くの邸宅にいるんでしょう?」

「そこまで把握されていたのですね……」


 私の返事を聞いたグレゴリーは、ふっと何か決心したように私をまっすぐ見ると、思いもよらなかった事を口にした。


「リリアーヌ様、アジェット家が監禁している方を邸宅から救い出してください。車を手配しますが、他にも私が手を貸せることがあれば何なりとお申し付けください」

「そんな……そこまでしてもらっては、グレゴリーが後でお父様にお叱りを受けてしまうのでは……」


 思わず躊躇するような言葉を発した私だが、グレゴリーは譲らなかった。


「ミドガランドの皇族関係者を冤罪で拘留したと公になっては、アジェット家は進退に関わります」

「グレゴリー……」

「コーネリアス様の間違った決断を諫めるのも、臣下の定めです。今更……遅いかもしれませんが」

「ううん、ありがとう」


 忍び込んでニナを連れ出そうとした私だったが、グレゴリーの有難い提案に素直に頼る事にした。

 私を連れ戻すためにって盲目的になって、ミドガランドに対してアジェット家が取り返しのつかない態度を取る前に解決したい。

 今ならまだ、フレドさんを連れ戻せば……国際問題にはならずに、内々で収束させることが出来る。公になってしまったら、フレドさんにも不名誉な疑惑がついてしまう。まったく事実無根なのに……。


「……話、終わった?」


 一人会話の外に置かれていたニナが、声をかけてきた。不機嫌そうな声色だが、こうして話がひと段落つくまで口を挟まずに待っててくれた。自分に影響がある時はこうしてその場で必要な行動が判断出来てるし、むしろ人の顔色を窺うのは私よりずっと上手いと思う。やっぱり狩猟会以外の……私をちょっと悪者にするような言動も全部わざとだったんだろうな、と気付いてしまった。


「ニナ君。私は君にあまり良い感情を抱いていない。ただ、アジェット家の確執について、全ての責任を押し付けられて罰を受ける程の事はしていないと私も思う」

「…………」

「だからこれは、私の罪滅ぼしだ。中に……メイドに見繕わせた旅支度と、贅沢をしなければしばらく暮らせるだけのお金……それに一部事情を伏せて説明したが、君の身を寄せられそうな心当たりをいくつか書いてある」


 なるほど、グレゴリーは最初からニナの事を逃がすつもりでこの部屋に来たのか。私が見つかってしまったという訳ではなくてホッとする。

 恐る恐る、差し出された鞄を受け取ったニナは、それを胸の前でギュッと抱きしめると小さく「ありがとうございます」と呟いていた。


「じゃあ、グレゴリー……また、合えるかは正直私も分からないけど。もしかしたら、またここに訪れる未来もあるかもしれないから……その、」

「ここはリリアーヌ様のご実家じゃありませんか。私はいつでもお待ちしていますよ」

「うん……ありがとう」


 家族との確執について。私の返事から、家族が使用人達に命じたようにここに戻って来る気はなさそうだと察した上で、「いつでも待ってる」と言ってもらえて私は気持ちが軽くなった。

 ……このまま、家族とも……いつか分かり合えそうだな、って思える結果になると良いな。

 私達はその後すぐに、使用人の服に着替えたニナと一緒に「グレゴリーさんに命じられたおつかい」という名目で、他の人には気取られる事なくアジェット邸からニナを連れ出せたのだった。


 事情を離せる人が少ないし、ニナを一人にさせてもおけないので、この後フレドさんが監禁されている場所にはニナも連れて行く事になる。



「……何であたしを先に助けに来たの?」

 

 沈黙に耐えかねたのか、グレゴリーが手配してくれた魔導車の中でニナが私にそう尋ねてきた。

 この魔導車とその運転手は、ほぼ私専属で、学園へ通う時などにお世話になっていた。グレゴリーが前もって言い含めてくれたらしく、私だと気付いても何も詮索せずに目的地へと向かってくれている。


「貴女を助け出すって事は決めてたけど、分かってて先に助けた訳じゃないの。二人が違う場所にいるのは分かってたから……もしこれが発覚した場合、二か所目の警備がより厳重にされてしまう。だから、どっちがいるとしてもアジェット邸にいる方を先に助け出す必要があった。それだけよ」


 私はその魔導車の中、変装で身に着けていたカツラを取って、アジェット家の使用人の制服に似せて作ったワンピースを脱ぎながら答えていた。

 車内には、運転席と後部座席の間に仕切りがあるが、そもそも冒険者活動時の服を下に着ているので運転手に見られたとしても問題はないのだが。

 脱いだものをさっと畳んで拡張鞄の中に仕舞って顔を上げると、ニナは顔を俯かせて何もない所を睨んでいた。……あ、今の……「ニナを助けたかったからよ」とか言えば良かったかな。自分の行いを見つめ直すきっかけに……。

 そんな事を一瞬悩んだけど、慣れない事をするのはやめておいた。


「これからもう一人助けにいくのに、どうして変装解いてるのよ」

「別邸の警備をしているのもアジェット家の兵と使用人だろうから、私の顔を知っているでしょ?」


 家出中とはいえ、仕えている家の娘に危害を加える訳にいかないだろう。もちろん慎重に動くつもりだけど、万が一フレドさんを助け出す前に見つかったら自分の身分で強引に解決するつもりだった。

 あと単純に、丈の長いスカートで隠密行動は難しいというのもある。


「ニナは車の中で待ってて……テッド、巻き込んでしまってごめんなさい。絶対にこの恩は返しますから」

「いいえぇ。私はグレゴリーさんに頼まれた事をしているだけですよ」


 何て事ない、というような声色で返事が返ってきて、私は思わず涙ぐみそうになってしまった。お礼は言い足りない……けど、また時間をかけるわけにはいかない。

 路地裏に停めた魔導車から降りると、私は目的地であるアジェット家の別邸に忍び込むべく行動を開始した。


 この屋敷は、主にお母様が使っている。歌姫として活動するために、お母様が劇場にほど近いここに、こじんまりした屋敷を建てたのだ。


 普段はここを管理する夫婦しかいなかったはずだが、今はもう数人の気配がする。誘拐されていた子供を助けた時のように、わずかな時間も惜しんで正面から切り込む必要はない。理想は、発覚させずにフレドさんだけ助け出す事……なので、今回はそれを心がけて行動しなければならない。

 フレドさんが捕らえられてる可能性のある部屋は限られている。お母様のお弟子さんがここに宿泊する時にも使う客間、それか歌や楽器の練習に使う広い防音室、このどちらかにいるはず。あとはお母様が使う寝室と管理人夫婦の部屋……それを除けばリビングやキッチン、バスルームなどしかない。公爵夫人であるお母様の感覚に合わせて一部屋が広く取られているから、部屋数はこれだけ。本当に、歌姫として出演を控えるお母様が体を休めるためだけの場所なのだ。

 防音室だった場合、正直かなり厄介だ。この建物の中央にある、窓もない壁の厚い部屋だから。

 でも、候補にしておいてなんだけど、多分そこではないと思う。お母様は、音楽を特別神聖なものとして向かい合っていたから、楽器のある部屋に人を監禁したりしないだろう。


 なのでフレドさんがいるのはこの屋敷の二階にある客間で間違いない。そう確信した私は、庭で周囲を警戒しているアジェット家の私兵を避けて、後から痕跡を発見されるなんて承知の上で全力で認識阻害術式を展開すると、隣の屋敷の塀と屋根を経由して慎重に別邸の中に忍び込んだ。


「……思った通り、この部屋には誰もいない」


 警戒しているとはいえ、家族は私の事を下に評価しているから、公爵夫人が寝泊まりする部屋に警備の人員を置かないだろうと考えた通り。

 主寝室のバスルームの窓から忍び込んだ私は慎重に屋敷の中の人の気配を探りながら進んでいく。見張りはいるようだが外に居た人と一階に一人しかいないみたいで、二階の廊下には人の目はない。

 私ははやる気持ちを抑えながら、客間の扉に後から取り付けられた、結界が組み込まれた複雑な鍵を開錠しにかかった。

 幸い、コーネリアお姉様の工房で見た覚えのある構造によく似ていて、それほど時間をかけずに解除が出来た。


「……フレドさん、中にいますか?」

「⁈ リア、」


 そっと扉を開けた先、薄暗い室内の長椅子の上で俯くフレドさんがまず目に入る。

 私を目にしてパッと顔を上げたが、何か叫びそうになって慌てて自分の手の平で口を塞いでいた。


「う……嘘、リアナちゃん? 俺が都合の良い幻覚見てるんじゃないよね……?」

「大丈夫です、本物ですよ。すいません、私の家族がこんな事をしてしまって……助けに来ました。すぐにここを出ましょう」


 音を立てないように部屋の中に入った私は、静かに扉を閉めると無事を確認しようとフレドさんの姿に目を向ける。

 

「⁈ 足、どうかしたんですか? もしかして、逃げられないようにって怪我を……⁈」

「いや、違う違う……! ニナって子の盗難が発覚してごたついた時、割って入ろうとして少しもみ合いになって……俺が、自分で転んでちょっとひねっただけなんだよ」


 ちょっと、と言うがフレドさんの右足首は、一目見て分かる程にはれ上がっていた。靴下も履けないようで、右だけ素足で室内履きを身に着けている。


「だからごめん……俺が自分でここを脱出出来てたら一番スマートに解決出来たんだけどね。荷物も没収されて、この捻挫も治せなかったし」

「そんな、怪我してるのに無理しないでください」


 ああそうか。フレドさんが一人で逃げられないって分かってたから、警戒が甘かったんだ。

 私はフレドさんに怪我をさせてしまったって認識して、とても申し訳なくなってしまって。いつもいつも迷惑かけてばっかりで、そう思ったら目の奥が熱くなっていた。


「あ~~ほんと、ごめん! せっかくこうして助けに来てくれたのに……俺、この足じゃ逃げられそうにないから。今からポーション使って治るまで待つのも難しいし……いや、我ながらかっこ悪いなー」

「……ごめんなさい。私と家族の問題に巻き込んで、こうして怪我までさせてしまって……」

「いやぁ、運が悪かっただけだよ。この怪我については誰も悪くない……もちろんリアナちゃんも、リアナちゃんの家族も」


 私が泣いたりなんてしたら、フレドさんは絶対そう言うって分かってるのに。私は謝るしか出来なくて。

 長椅子に座ったフレドさんが慌てる目の前で、自分でも涙が止められなくなっていた。


「えーと、あ、そうだ。思い切り騒ぎを起こして、俺はどこかに隠れてて……逃げ出したって思わせる手はどうかな?」

「ごめ……ごめんなさ、」

「大丈夫、大丈夫だよ。だから……ああ、俺こそごめんね。俺、リアナちゃんが泣いてると、ほんとどうしたらいいか分からなくなっちゃうな……」


 涙で滲む視界の中、手が伸びてきて私の頭を優しく撫でた。

 その手の平の暖かさが心地良過ぎて。私はつい、そのぬくもりを自分から欲しがるように頭を傾けていた。

 本当に、無意識で。


「へ、あ⁈ ご、ごめんなさ……こんな、甘えるみたいな真似……っ」


 バッと慌てて体を起こすと、フレドさんも私の頭を撫でていた手を引いた。


「いや、いやいやいや。問題ないというかむしろ……じゃない。それはいいんだ。えっと、リアナちゃんもびっくりして涙も引いたみたいだね? じゃあ陽動作戦を……騒ぎを起こすには……流石に火事はやめておこうか。そうだ、煙幕用の煙玉はどうかな? 前にもしもの時の逃走用にってリアナちゃんが作ってたやつ」


 焦ったように、フレドさんの口数が多くなる。そうか、急に泣き出した私のために無理をして元気づけようとしてくれてるんだ。

 さらに申し訳なさが湧き上がってきた私は、しかし「これ以上フレドさんを困らせてはいけない」と唇を噛み締めると、顔を上げた。


「フレドさん……ここから出ましょう。もちろん、フレドさんも一緒にです」

「……うーん、まぁそうだね。痛み止め使って少しだけ頑張った方が確実で早いかな」

「いえ、怪我してるフレドさんを歩かせるなんてとんでもない!」


 じゃあどうするの? と言いたそうなフレドさんが私を見上げる。


「痛み止めは今出します……けど、フレドさんは怪我した足を使わなくて良いので。その代わり、私にしっかり捕まっててくださいね」

「へ?」


 鞄から液剤を取り出し、それをフレドさんに渡す。フレドさんはその瓶の中身をラベルも見ずに飲み干すと、私がなんでこんな事を言ってるのか考えるように、首を傾げたまま少し固まっていた。

 私はそんなフレドさんを置いておいて、窓際に近づき、閉まっていた雨戸の鍵も取り外して少しそこを押し開ける。

 万が一の場合も高さは問題ないな。身体強化をかけているから十分に耐えられる。

 薄く開けた窓からこの別邸の庭が見える。その空中に六カ所。塀を越える位置まで「見えない足場」を魔術で展開させた。


「えっと、つまり……リアナちゃんが俺の事を持ち上げて、この窓から塀を越える……って事⁈」

「そうなりますね。ではフレドさん、行きますよ。痛み止めは効いてきました?」

「うん、分かっ……え、そっち?!」


 覚悟を決めて、おんぶを求める幼子のように両手を突き出したフレドさん。

 長椅子に座ったままそんなポーズをとってた体の下に自分の両腕を差し入れると、身体強化をかけた私は一気にフレドさんの体を持ち上げた。

 フレドさんは横向きに抱き上げられてびっくりした顔をしてるが、私にとってはまだまだ軽いくらいだった。戦闘訓練の時はいつも使っていたし。フルプレートアーマーに大剣を使った行軍訓練もしたもの。


「お、お姫様抱っこ……」

「……何か問題がありました?」

「いや……あの、特に意図がないなら、おんぶにしとかない? まだそっちの方が、リアナちゃんが一瞬片手自由にしたりとかできるし……」


 ……背負うって発想はなかった。

 確かにフレドさんのいう事は一理あるかも。


「……いえ! 背中に重心があると身のこなしに影響がでてしまうので……!!」


 いや、ダメ。体が接触する面積が今より大幅に増えてしまう‼︎ 今はこう、私が自分の意思でフレドさんを抱き上げてるけど、フレドさんに背中から抱き付かれるのはちょっと……心の準備がかなりいると言うか……。

 だって、フレドさんを抱き上げているだけで私は内心こんなに大変なことになってるのに。おんぶなんてしたらどうなっちゃうのか……!!

 やや不自然になったが、私はその場を誤魔化した。フレドさんを抱えたまま、庭に面した窓から距離を取って正面に立つ。フレドさんを抱き上げてる、腕の中の感触とか……なるべく意識しないうちに、さっさとここから出ないとならない。


「フレドさん、なるべく体は動かさずに小さく……私に身を預けててくださいね」

「わ、分かった」


 私がやろうとしてる事は、人質の救出にしてはかなり派手な一手だ。

 囚われていた人質を抱き上げて、空中に作った足場を駆け抜けてここから連れ出すなんて小説でくらいしか見ないんじゃないかな。

 でも今はその「小説みたい」な、現実では思いもしない方法でここから抜け出すのが、警備の目を出し抜いて逃げるための最善手だから。


「ごめんなさい、穏便に脱出するならもっと相応しい方法はあるんですけど……」

「いやー、荒っぽい手を使わなくて済む方が良いよ」


 ……正直、屋敷ではない、ここにいる見張りだけなら私一人でも何とか切り抜ける事は出来た。でもお父様に命じられただけの彼らに武器を向けるのはどうしても嫌だったから。こんな派手な脱出劇になってしまうと謝罪した私を、フレドさんは笑って許してくれた。

 

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