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「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」 の十四、



 んだば、「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」 の十四、まいるだば。




「【政事と云へば、(こしら)へ事(つくろ)ひ事をする様にのみなるなり。何事も自然に顕れたるままにて参るを実政と云ふべし。役人の仕組む事皆虚政なり。老臣なとこの風を始むべからず。大抵常事は成るべきだけは簡易にすべし。手数を省く事肝要なり】




「役人の仕組む事皆虚政なり」


 これはどうも、はなはだ辛辣な言葉です。いろいろな役職につく人間はとかく慣習、因襲にとらわれて内容のないことにしてしまう弊害がある。


「老臣なとこの風を始むべからず」


 大切な経験を積んだ年寄り、先輩、重役などがこういう虚政、内容のない空しい政治をやってはいけません。


「常事」


 非常の事ではない常の事。


「成るべきだけは簡易にすべし」


 なるべく簡易にするがいい。あまり手練手管をろうし、複雑にしてはいけない。


「手数を省く事肝要なり」


 論語の始めに皆さんもよくご承知の「吾日に三たび吾身を省みる」という語があります。この「省」という字を省みると読んだのでは五十点にしかなりません。


「省」という字に少なくとも二つの大事な意味がある。一つは(かえり)みるということ、もう一つは(はぶ)くということです。反省し、省みることによって、不要なこと、むだなことを省いていく、これが「省」という字の逸してはならない二つの大事な意味です。だから論語の初めのこの文章を、「吾日に三たび吾身を省みる」と読んだのでは五十点だというのです。


 やはりここは「(しょう)す」あるいは「(せい)す」と読まなければなりません。


 古人はなかなか隅に置けないところがあり役人という者はとかくむだが多い、馴れて省みなくなる。ごたごたと仕事を煩雑にする。そこで省みて省かなければならないというので役所の名前に「省」の字をつけた。昔の人はよく考えたものです。


 ところがとかく官僚というものは反対に濁りをつけて(しょう)(じょう)にする傾向がある。


 余計な仕事を増やしたり、余計な役所をこしらえたり、しないように古人は「省」の字をつけたので、今の役人もこういうことを覚えておき、省いていくことが肝要です」




 わたしなんぞはこの「省」の字を安岡先生に何度も教えられて、脳裏に常にあるので色んなものを省いておりますね。例えば、ギャンブルは一切したことはないですね。パチンコ、スロット、意味が分からん。江戸時代から、賭け事は胴元が勝つと相場は決まっておるのに、なんでギャンブルができるのかさっぱり分からん。


 あと、飲み屋。みんなで行くのならともかく一人の時で飲み屋に入ったことなど、覚えている限り二度しか無い。飲むにしてもほぼ、家で飲みますね。


 なのでキャバクラとか行きたいとも思わん。


 子供の頃はさすがに親戚づきあいがあって、正月とか盆とかで親戚が集まりますが、ま~子供の頃から失望が多かったなぁ。無駄なことに固執し、我見にこだわって人の意見を一切排除する。で、酒に酔っては乱る。そんなのばっかり見てきたせいでまったく人付き合いをしたいとも思えなくなってしまった。色んなものを省いた結果、一生ボッチですが、そもそも生来そういう性質だったのでなんとも思わんw


 あと、これを読んでいて思い出したのが『南洲翁遺訓』で、西郷隆盛公はこういうことをおっしゃっていましたね。







【事大小と無く、正道を踏み至誠を推し、一時の詐謀を用う可からず。人多くは事の指支(さしつか)ふる時に臨み、作略を用て一旦其の指支を通せば、跡は時宜次第工夫の出来る様に思へども、作略の煩ひ屹度(きつと)生じ、事必ず敗るるものぞ。正道を以て之れを行へば、目前には迂遠なる様なれども、先きに行けば成功は早きもの也】




 事の大きい小さいに関わりなく、正義にのっとり誠を行い、一時と言えど謀略を用いてはならない。


 多くの人は事が障害になると思えば謀略でその障害を排除し、それで後はどうとにでもなるだろうと考えるのだが、謀略を行うことによって発生したねじれは起こり、必ずそれらは失敗するのだ。


 正しい行いをすれば、確かにはためには迂闊、迂遠な様に見えるだろうが、その先には成功が待っているものなのだ。




 米国などはこれの典型と言ってよいのかも??


 ちんけな謀略を行い、結局、どれほどのことを失敗させたことか。


 大東亜戦争時、ソ連や中華の共産党を我が味方と心得、日本を最大敵視し、それによって冷戦を惹起した。朝鮮戦争で米兵は血を流したわけですが、それだって本来は日本が防共のために満州を置いていたのをそれをぶっ壊したので自分たちでそれを肩代わりしただけです。


 この前のアフガンも、対ソ連でアフガンを支援しておったのがいつの間にか自分に牙を向いてきたわけですし、中共の現在の繁栄も対ソ連の謀略だったのが、アフガンみたいに牙をむいている。


 一応、それら小さな欠点を塗りつぶして、大成功を収めたわけですが、米国の起こした「作略の煩ひ屹度(きつと)生じ、事必ず敗るるもの」で、いつかきっと国家衰亡の憂き目に合う、「盛者必衰の理をあらわす」であると歴史を学ぶものは思うわけです。


 といったところで、「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」 の十四、はこれまでにて。


 したらばな。





「王様ランキング」のOP・EDを聴きながら。


 特にEDがいい。今期の歌はこれが一番かな? 物語も先が気になりますし。今期は歌が大漁ですよね。


 アニメ全体ではやはり「無職転生 ~異世界行ったら本気出す」は頭ひとつかふたつは抜きん出てますね。



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