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「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」 の十一、



 では、「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」 の十一、参る。




「【胸中を豁大寛広(かつだいかんこう)にすべし。僅少の事を大造(たいそう)に心得て、狭迫なる振る舞いあるべからず。仮令(たとえ)才ありてもその用を果たさず。人を()るる気象と物を蓄える器量こそ誠に大臣の体と云ふべし】




「胸中を豁大寛広(かつだいかんこう)にすべし」


「豁大」、広い大きいということ。「寛」はゆるやかということです。


「僅少の事を大造(たいそう)に心得て、狭迫なる振る舞いあるべからず」


「大造」、これは俗語で、大仰なこと。「狭迫なる」、こせこせとした、がつがつしたの意味です。


「仮令才ありてもその用を果たさず」


「仮令」は「たとえ」と読みます。「その用を果たさず」、役に立たない。


「人を()るる気象と物を蓄える器量こそ誠に大臣の体と云ふべし」


 大臣、重役というものは人間を包容しなければならん。そういう気象と物を蓄えること、それが大臣の本体といわなければならないということを言っているのでありまして、実によく重職たるべき者の急所を押さえております」




 論語にもありますね。




【子曰わく、君子は(たいら)かにして蕩蕩(とうとう)。小人は(とこし)えに戚戚(せきせき)




 君子は雄大でゆったとりとしている。小人は終わりなくせかせかとしている。




【君子は(ゆたか)にして驕らず、小人は驕りて泰ならず】




 君子はどっしりと構えておごり高ぶりをしない。小人はその反対。




 今の日本がもっともそうでしょうね。


 今の日本、東大だの、早稲田だの、学歴だけはご立派なれど、他者を容れる器量のない、人と仲良くやってゆくという心の広さもゆとりもない人のなんと多いことか。


「リベラルは排除します」


 で、せっかくの未来を棒に振ったおばはんもいますし。


 そうやって、せっかくの人材をつぶし、事業をつぶし、国をだめにしている。


 これは何も政治家、官僚に限らない、下は企業、一家庭におけるまでがこういう人間が多くなっておりますね。ちなみに、ちょいと前から、「無敵の人」という言葉がネット世界にはあるのだそうな。わたしはつい最近ようつべで知りましたけど。


 wiki曰く、



「社会的に失うものが何も無いために、犯罪を起こすことに何の躊躇もない人」



 という意味だとか。


 こういうのを見るたびに日本人の劣化の程度を見る気がします。仕事も人とのつながりも、金もなにもない、失うものがなにもないから犯罪だろうがなんだろうが、やってできないことはない。


 そもそも論として、なんで人として生まれてきたのか、人として生きる意味、価値とはなんぞや、という根幹的視野がない。本当に即物的、唯物的に生きるしか能がないから、もっと遠大に、広大に世界を、自身を見ることが出来ない。


 さらにそもそもで言えば、「無敵」、の「無」、とは自分が強いから無敵なのだ、スーパーマリオのスター状態なのだ、とかいう意味などではなく、最初から敵を作らない、敵を作らないから敵がいない、という「無」であります。


 聖徳太子の十七条憲法の一条に言う、



「和をもって貴しと為す」



 これが本来的な「無敵」です。


 それを、ゲームとかラノベ読むくらいしか人生生きてないから、無敵のことをスターとったマリオ状態だと、くだらない勘違いができる。


 我々、人間がこうして日々を生きているのは、こういう偉大なるご先祖様の教え、業績、伝統を受け継ぎ、自分もそうなろう、自分も立派な人間になろう、と連綿と大和民族の威光を守り、受け継いで、さらに後の世代に受け渡すのが目的です。


 だから、もっともわかりやすい反面教師がすぐ近くのキムチ半島にいるように、偉大なご先祖様、偉大な教え、偉大な伝統をもたないから、いつまで立っても「秀吉ガー!」とか騒ぐような生き物に成り果てるのです。あのようなキムチ民になりたくてオギャーと生まれてきたというのならともかく、そうでないのなら、日本の歴史をきちんと学び、ご先祖様に恥ずかしくないように、子孫に対して胸を張れる人生を生きねばならないのです。


 そういうことをネットなどを介し教えを敷衍するのならともかく、しょうもない造語を垂れ流すとか、こういうことを言う人間の下劣さには本当に呆れ返ります。



仮令(たとえ)才ありてもその用を果たさず」



 そのものがどれほどのオツムを有し、どれほどの資産を有していようと、その中身などたかが知れている、とわたしは思っております。人相を見てそう確信を抱いております。


 まあ、かくいうわたしも人を容れる器量がないのでいっつもボッチですけどね。




【切るが如く、()すが如く、()たくが如く、磨くが如し】




 こういうのがあったら面白かったのでしょうけどね。是非も無し。いい年こいてゲームして老いるのがわたしの性に合っておるということであります。-人-



 といったところで、「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」 の十一、はおしまいでございます。


 したらばな~。





 ヴィンランド・サガのOP・EDを聴きながら。




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