初めての魔法
「今日は、魔法を教えたいと思います。」
「宜しくお願いしまーす。」
やっとだぜ!やっと魔法を撃てる。この日をどれだけ待ち望んだか。(異世界に来てまだ1日しか経ってないが……。)
「アズラエル先生!ラティさんが未だに起きて来ません。」
俺とアズラエルは池の所にいる。
「ラティ様はすでに魔法を使えます。なので大丈夫です。」
「え!あいつ魔法使えてたのかよ!」
「当たり前じゃ無いですか。あの方を誰だと思っているんですか。」
駄女神だと思っているが。
「さぁ、そんな事より早く魔法を使いこなせるようになりましょう。そしてこの森から抜け出すのです。」
「分かったよ。それであの、聞きたいことがあるんだけど、何でこんな森の中に転生したの?」
「この森は転生して来た人達が自分の能力や魔法を試す場所です。かなり前に転生して来た人達が初めて魔法を撃った時、多くの住民が被害に遭うという大事件が起こったため、この場が設けられました。この場所では、人が居ないため、自由に魔法を試せますよ。それに、魔法を使いこなせる様にならないと、この森から出られない仕組みになっているんです。」
「あぁ、だからさっき森から抜け出すって言ったんだ。」
「はい。こんな森の中で一生を終えたくありませんから。ってことで、魔法の練習をしましょう。因みに、中級魔法まで使えるようになったらこの森から出られるようになります。では初めに初級魔法を使ってもらいます。初級魔法は、物質を創り出す。それだけの魔法です。詠唱は、火属性ならイグニッション。水属性ならアクア。土属性ならロック。光属性ならライト。闇属性と無属性は初級魔法がありません。では、やっ見て下さい。」
「じゃあ、火属性から。……イグニッション!」
ボッ!
俺は人差し指を立てて詠唱をした。すると、音をたてて手のひらサイズの火が点いた。手を振ってみても、息を吹きかけても火は消えなかった。
「あれ?消えない。消す時はどうするの?」
「火が消えるなうなイメージをしてみてください。そうすれば消えるはずですよ?」
「分かった。」
やってみると、簡単に消えた。さっきまでの俺の頑張りを返せよ。
「次は水かな。アクア!」
詠唱をすると、水がちょろちょろと落ちていく。
「ロック!」
次に土属性の詠唱をすると、両手で救えるくらいの砂が出て来た。
「ライト!」
光属性の詠唱をすると、手のひらサイズの光る球体が出現した。
「問題無く使えますね。次は中級魔法です。中級魔法は、さっき出した物体の形を変えたりして、攻撃に使ったり、防御に使ったりします。攻撃なら、〜ソード、〜スピアがあり、防御には〜シールドがあります。やってみてください。」
「分かった。イグニッション・ソード!」
そう唱えると、俺の目の前に唐紅の剣が出現した。俺は剣を掴み、振り回してみた。
「………軽いな。」
「それは物に当たったさい、その部分が爆発します。」
「怖っ!」
俺は剣を近くにあった木に当ててみた。
ボンッ!
「………」
少し焦げただけだった。
「威力弱くない?」
「そりゃそうですよ。何せ中級魔法ですから。」
そんなもんか…。他の属性でも、ひと通りやってみた。
「問題なく出来ますね。上級魔法からは自分で考えてください。因みに上級魔法から闇属性、無属性が使えます。回復魔法も使えるようになるので頑張って覚えてくださいね。」
「ありがとうございました、先生。」
「さぁ、この森を抜けましょうか。そろそろラティ様を呼びに行きましょう。」
俺は帰りながら何回か魔法を使ってふと考えた事を聞いてみた。
「ねぇ、無詠唱ってどうやるの?」
「そうですね。……マスターには能力があるのでどの属性でどんなふうに使いたいかをイメージすれば出来ると思いますよ。……あ、もしかしたら上級魔法も、最上級魔法も、果てには元始天王級まで出来るかも知れませんよ。」
「え!?そんなに凄い能力だったのか。」
「街に行ったら本屋でどんな魔法があるか見に行きましょう。」
「だね。…と、着いた。」
話しながら歩いてると、いつの間にか家に着いていた。
「女神さまー。旅に出よー。」
「いきなり何言ってるの?頭おかしくなったの?」
「ラティ様。魔法を教えて来ました。」
「あぁ、そういう事。わかったわ、行きましょう。裏に倉庫があるからそこで道具を揃えて行きましょう。」
俺たちは倉庫で旅の準備をしていた。
「そう言えばラティさんやい、この世界にはバケモンがぽんぽん出て来るって言ってたけど武器なしで行くのか?」
「そんな訳ないでしょ。武器なら奥にあるわ。」
俺は先に奥に行って武器を見ていた。すると旅の準備を終わらせたラティが来た。
「どれにするの?私はその大きい弓にするね。」
目の前には色んな武器があった。
「俺は………これと、これかな。」
俺が選んだのはショートソードを二本と、小さな弓だ。
「ふぅん。長距離と短距離、どちらでも戦えるようにするんだ。でも、双剣にしたとき、弓があると邪魔じゃない?」
「大丈夫、大丈夫。さ、行こうか。」
アズラエルが旅の準備が整ったと報告に来たので、俺たちはこの家を旅立った。