これが俺?いや、私?
「うるさいわね。どうかしたのかなぁ?」
女神がニヤニヤしながら入って来た。
「てめぇ、やりやがったな!これはどう言う事だ!」
「言ったじゃない。あんたが私を襲えない様な身体にしてやるって。」
あぁ、確かにいってたな…。じゃない!ていうかココまでやるか普通。
「本当は虫にしてやろうかと思ったけど人間以外には出来なかったわ。感謝しなさい。」
「女にされて感謝なんかするかよ!と言うか何に感謝だよ!」
「あのぉ、自己紹介がまだなんですけど…」
女神と言い争っていると、そこに天使が言ってきた。
「あ、そうだった。俺は幸成だ。君は?」
「私はアズラエル。貴女は男の様な喋り方を辞めた方が良いと思いますよ。外見と中身がつり合ってません。」
「いや、俺は男だ。」
「貴女がそう言っても外見が女性なのですから誰も信じないと思いますよ。」
「……俺ってそんなに可愛い?」
「可愛いと言うより綺麗、美人、の分類に入るんじゃないですか?」
「うーん、鏡無いの?自分で見てみたい。」
「ある訳無いじゃん。バカなの?そんなに見たいなら鏡を選べばよかったじゃない。あぁ、残念ね〜鏡が無くて。」
そう言って女神が笑っていたが
「いえ、鏡ならこの世界にもありますよ。」
「え!?いつの間にそんなに文明が進んでるの?」
「ざまぁねぇなー駄女神!出鼻くじかれてやんの!」
女神は顔を手で覆っていたが、隙間から見える顔は赤く染まっていた。
「まぁ、そんなに広まって無いんですけどね。何ならこの家の裏に池がありますから、そこで見てきてはどうですか?」
「そうだな、見てくるか。じゃあ、行ってくる。」
「私も行きますよ。」
「じゃあ私も。」
池の縁から、そっと顔を出して見ると、そこにはとても綺麗な女性が写っていた。肩まで伸びた銀色の髪。白い肌に白いワンピース。服の上からでも分かる大きな胸。(Eカップくらいあるんじゃないか?)
「……これが…俺?」
「はい。とても綺麗ですよ。」
暫く水面に映る自分の姿を見ていると、突然背後から背中を押され、池に勢いよく落ちてしまった。
「ぷはっ!てめぇやりやがったな。」
「あんたが池に映ってる自分の顔を見ながらニヤニヤしてるからよ。変態!さぁ、さっさと戻るわよ。」
そう言って女神は家の中に入って行った。あいつにはいつか痛い目に合わせてあげなきゃな。
「へぶしっ」
「濡れたままだと風邪ひきますよ。さぁ、中に入りましょう。」
「うん。」
俺と天使は家の中へと入って行った。
「そう言えばマスター。言いそびれていた事があります。」
濡れた服を脱いで、身体を拭いている途中、アズラエルが話しかけてきた。ラティは帰ってから部屋に篭っている。恐らく俺の反撃を避けているのだろう。
「何?」
「この世界では、妖精は大変珍しく、更にその上の存在がいるとなると、それを狙ってくる悪党がいるかもしれません。なので、私と話す時は念話。つまり頭の中で話して下さい。」
「どうやるの?」
「普通に私を思い浮かべながら頭の中で喋ってくれればそれでいいです。」
『あ、あー、こんな感じ?』
「はい。街などでは常に念話にして下さい。」
「分かった。」
「あ、そう言えばアズラエル。ここってどこの国?」
「ここはニホンという国です。」
「え⁉︎日本⁉︎」
「いぇ、貴女の世界から転生して来た人が作った紛い物だと思いますよ?」
「そっか…。あ!あと、転生した人にはそれぞれ何かしら能力があるって聞いたけど俺ってどんな能力持ってんの?」
「マスターは身体が一度出来て、その後に創り変えられたので能力が普通の人より多いんです。
一つ目は[プロテクト・バリア]
これは敵から受けるダメージで自分の防御力、体力よりも大きいダメージ量の攻撃を無効化するというものです。なので不意打ちで頭に弓矢を討たれてもバリアが防いでくれます。」
「これは凄いな…。HPをいつも1にしとけば無敵なんじゃ無いか?」
「それはあまりオススメしませんね。HPが1になると風邪を引いた様な辛さが来ますから。あと、能力の中には相手の能力を無効化するなんてものがありますから。まぁ、それは強力なので範囲指定型ですがね。」
「そっか。ほかには?」
「二つ目は[ハイパー・センス]
これは第六感が研ぎ澄まされ、自分に危険が迫った時のみ、未来予知が使えます。戦闘で使えば、相手がどう攻撃するか、どこから攻撃をするかがわかります。そして更に、周りがスローになるので、簡単に攻撃をかわす事が出来ます。
三つ目は[タイム・ストッピング]
これはその名の通り時間を1分だけ止める事が出来ます。
四つ目は[アトモスフィア]
これは、空間、空気を自由に操れます。空を飛んだり、酸素濃度を上げたり下げたり、空気を固めたり、空間、空気に関わることすべてが出来ます。……とまぁ、戦闘で使えるのはこんなところでしょうか。あと六つ程ありますが、戦闘では使えません。なのでこれは追々話すとしましょう。私はそろそろお腹が空きました。」
「あ、あぁ、そうだな。うん、ご飯にしようか。冷蔵庫はどこにある?」
「ありませんよ。ここをどこだと思っているんですか?貴女の世界じゃないのですよ。」
「そっか、そうだな。じゃあ、食材はどこにあるの?」
「それなら池の中の魚を食べましょう。」
「え⁉︎自分で取るの?」
「当たり前です。自分の食べる物を自分で取らずどうするのですか!」
「わ、分かったよ。じゃあ、行ってくる。」
「行ってらっしゃいませ。私はその間にラティ様を呼びに行って来ます。何かあったら念話で呼んでください。離れていても使えますから。それと、能力は自分がどうしたいのかイメージすると使えますよ。」
「分かった。」
俺は池に向かっていった。しかし俺、能力10個も持ってんのか…。こればっかりはあいつに感謝だな。あ、池に着いたら能力の確認しないとな。あと、自分の運動能力がどれだけ上がっているかもな。