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エクスペンション『別世界(べっせかい)』
それぞれの人間が持つ脳の一部には、
他人が触れることのできない別世界が広がっており、
現実逃避したかったらいつでも訪れることができる。
その世界を構築するのに一役買っているのが、
感情の文字が躍っている本である。
しかし今は、物語に触れる機会が極端に減っている。
それと同時にデジタルの波が打ち付ける現在では、
簡素な世界が広がりつつあるのだ。
創造力を失ってしまった人々の脳には、
木さえ生えない不毛な大地が広がっているのだろうか?