ある兄妹の雑談―――水族館―――
久々に書いたのですが、ホラーの息抜きに書くのですが、一話、二話、がまあまあ以上だと思えましたら読んでも……ねえ、大丈夫かな、と。
ここは先月オープンしたばかりの水族館なのである。そう水族館なのである……
「あっ! 勝生、あれ見て! ししゃもだよ、ししゃも!」
そう恥じらいもなく見当違いな言葉を並べたてている少女は、智華という名である。その智華に、混沌の塊のような、文句の尖った矛先を向けられている男は勝生……智華の兄である。
まあ、毎度この兄妹を観ているわけなので今更紹介の必要はないだろう。
「ふっ、馬鹿だな智華は。あれが、身体の七割卵でできてます魚、に見えるのかい? だとしたら我が妹ながら見損なったよ。心底ね」
片眉を吊り上げ、大きなた溜息混じりにそう言う勝生だが、そんな事で実の妹を見損なうお前こそ見損なわれるべきだぞ。
「…………あー、一応言っとくけど、さっきのはジョークだよ? 我が兄ながらホント馬鹿ね。もっと良い反応期待してたのに、これじゃあナイスな私が馬鹿みたいじゃない!?」
まあ、智華の【ししゃも発見】がジョークだったとしても、それはそれで随分ときついジョークだな。
「し、知ってたさ! 水族館にししゃもぐらい居ることくらい……」
「…………馬鹿ね」
智華に同感。
「ところでさ、あの仕切りガラスって割れないのかしら?」
智華の眼前に映画のスクリーンの如く広がる仮想の海中を彼女は指差し、疑問を口にした。
「うーん、馬鹿で悪かったね」
勝生、それはいつの出来事の文句だ? なんにしてもタイミング遅すぎるぞ。
「割れないのかしら!!」
「わ、割れないんじゃないかなー、そんなに軟なモノだったら水圧とかで、とっくにここら一面水深二十センチだよ」
心なし後ずさりの体勢の勝生は、それでも兄としての威厳を死守すべく心持強気にそう言った。
「五十はいくんじゃない?」
いや、ボケにボケで応えたら、無限のローテーションに陥りかねないぞ。まあ、智華はともかく勝生は真面目に言っているのかもしれないが。
「ふーーふぅ、やっぱり智華はおバカさんだなー。そんなに水深があっちゃあ、鮫が自由に動き回れるようになっちゃうだろ。それとも智華は鮫のお腹の中を覗きたいのかい?」
「そ、それは……ごめんだわ」
「だろ? まあでも、そんなことになってもきっと智華は大丈夫だよ」
「……なんで?」
「鮫のお腹の中でも元気に暮らせるよ」
赤色したオーラが智華の周りから…………
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「……す、すイませン……でシタ…………」
周りの人々の視線など気にも留めず、智華は自らの拳を朱色に染め上げた。
「分かったならいいのよ勝生。でも、帰りにアイス奢ってね!」
そうして又してもこの兄妹は周囲の訝しげな表情の人々に、【微笑ましさ】をプレゼント……してないね。
IT CONTINUES
この場をお借りして、返信遅れてすいませんでした!
なんのことか分からんわ! ってう人、スイマセン。