冷たい口付け
泣けるような晴れた日に
口付けを・・・
僕が君に贈った
冷たいセカンドキス・・・
手にはバラの花束を
心に大きな穴一つ・・・
僕は君の旅立ちに
向かい合った・・・
病室の窓から
光が刺しこみ
君を照らして・・・
セミの鳴き声すらも
聞こえない
其処だけ
時が止まっていた
僕は
震える指先で・・・
君の顔に触れた
冷たかった・・・
それが
許せなくって・・・
僕は君に口付けた
冷たい口付け・・・
それが僕と君の
セカンドキス
そして最後の口付けだった
君は微笑むことなく
受け取り
僕は震えを涙を
止める事が出来ず
溢れ出るままに贈った
言葉を交わすことなく
別れを告げる
口付けで・・・
その時から
僕は心を閉ざしたまま
神を呪い自分を呪い
世界に絶望した
君の遺言 「生きて」
この一言に縛られたまま
僕は生きてきた
ただ生きてきただけ・・・
瞼の裏に君を描き
其れだけを頼りに生きてきた
冷たい口付けの感触を
忘れる事が出来ずに・・・・
あれから幾年を重ね
君の事を想い出に出来た頃
僕は心の其処から
愛しい人と回り逢う
君と同じ名を持つ人に・・・
信じられなかった
だけど確かに感じたんだ
運命を・・・
自分勝手な思いとわかってるよ
君に叱られるかもしれないね
其れでも僕の想いは
深くその人の事を愛してるよ
その人には悪いけど・・・
僕は自分を
許す事が出来そうなんだ
その人が
僕を許してくれたから
前へ前へ
時が動き出したんだ・・・
行けそうなんだ・・・
その先へ
運命に感謝を・・・
君が導いてくれたのかい?
その人の元へ
僕は忘れないよ
君との冷たい口付けを・・・
お付き合いありがとうございました。