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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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外の世界

作者: メケモフ
掲載日:2026/07/09

『外の世界』


 私は昔から病弱だった。

 

 病弱な私は、おじいさんとおばあさんの二人に大事に育てられた。

 

 私はいつも毎日、ぐうたら過ごしていた。実に退屈だった。

 

 おじいさんとおばあさんがつけたテレビ番組を観てもなんだかつまらなかった。ただうるさいだけで、イライラとした。

 

 二人が読む新聞を横から覗いてみたりしたが私は字を読めないのでなにを書いてあるのかわからなかった。

 

 そうなると私はあまりにも退屈でイライラが貯まり、外に出ようとするが、玄関の扉を開けることは私にはできなかった。

 

 扉は大変重く、軽々と開けることはできないものだった。


 しかも、私が玄関に向かうとなぜか、おばあさんにいつも見つかり、自分の部屋に戻されるか、おじいさんとおばあさんの部屋に連れて行かれて


 「外に出てはいけないじゃないかっ!外には危険がいっぱいなんだ。身体が弱いおまえが外にでたら生きていられないんだぞ!」

 

 と叱られる。

 

 私は、外にでることを許されず、いつも窓から外を見ては外の世界がどんなものかを妄想していた。

 

 いったい外にはなにがあるのだろう。

 

 私はここで一生を終えるのかしら・・・。


 そんなある時、二階のベランダの窓からお空を見ていた。

 

 ふと、ベランダを見ると私と同じくらいの男の子がいた。

 

 「そこでなにをしているの?ここは人の家よ。あっちに行きなさい」

 

 私はその子に、注意した。

 

 男の子は私をジロリと睨むと、こちらに背を向けてベランダにゴロリと横になって寝てしまった。

 

 私はムッとした。

 

 礼儀がまるでなっていない。人の家のベランダに来て寝てしまうなんて!

 

 私は、ジッと警戒しながら男の子を見ていた。

 

 どれくらいの時間がたったのか。男の子はゆっくりと起き上った。

 

 大きな欠伸を一つかくと、私をジッと見つめてきて

 

 「可愛そうなやつだな・・・なにも知らない奴で」

 

 と低い声で言った。

 

 「可愛そう?なにが?」

 

 と、私は男の子の言葉に苛だって聞いた。なにが可愛そうなのだ?

 

 「外に出られないのか?」

 

 男の子はベランダの窓に手を置きながら聞く。

 

 「う、うん・・・。私身体が弱いからそれを開けられないの・・・」

 

 「鍵はかかってないようだぞ?」

 

 「そうなの?それに窓に少し隙間があるだろう?おまえの力でも開けられるとおもうぞ?」

 

 私は、隙間に手をかけておもいきり横にやったが開かなかった。

 

 「開かないわよ・・・?」

 

 「力がないやつだな・・・。俺がやってみよう」

 

 男の子が代わりに窓を横に開けてくれた。私はあまりにも身体が弱かったのだ。

 

 男の子はあの重い窓をすんなりと開けてしまった。

 

 「ほら、外に出られるぞ」

 

 「え、外に?でも、外には危険がいっぱいだって、おじいさんとおばあさんが・・・」


 「その二人は、おまえを閉じ込めている異常者たちだぞ?俺も昔、閉じ込められていたがうまく逃げ出せたんだ。外に出て最初は大変だったが、楽しいことがいっぱいあるんだ。さぁ、出よう!」

 

 「でも・・・私身体が弱いし・・・」

 

 「ふん、勝手にしろ」

 

 男の子はなぜか怒って、ベランダから器用にも配管をつたって下に降りてしまった。

 

 私はしばらくの間、開いた窓をジッと見ていた。

 

 どうしようか迷っていると、後ろから扉が開く音が聞こえた。

 

 「みよちゃん。なにをしているの!?」

 

 おばあさんが鬼の形相で私を見ていた。

 

 私は驚いて、ベランダに飛び出ていた。そして、男の子の見よう見真似で配管にしがみつきながら下に降りて行った。

 

 外に出ると真っ赤な世界だった。

 

 大きなお日様が大地を真っ赤にそめて、あちこちの建物には黒い影ができていた。

 

 家の裏には、溝があった。溝には水が流れていて虫がうようよと飛んでいた。

 

 見たこともない虫が飛び、見たこともない鳥が飛んでいた。

 

 しばらく歩くと、縦に白い線が一本引かれているところに出た。

 

 その白い線の上に、先ほどの男の子が横になっていた。

 

 「私も外に出て来たわよ」

 

 と言って横たわる男の子に近づくと、異変に気が付いた。

 

 身体がねじ曲がって、口から赤いものを流している。そばによって、身体をさするがうんともすんとも言わなかった。


 それは、動かないで、じっと一点を見つめながら固まっていた。

 

 私は、ここにいたらこの男の子のようになるのではないかと急に怖くなった。

 

 男の子は死んでしまったのだ。

 

 急に、大きななにかを廻す恐ろしい音が聞こえてきた。化け物だ。化け物が迫ってきているのだ。

 

 ああ、外に出るんじゃなかった。外には恐ろしいもので満ち溢れているのだ。今になって後悔した。

 

 家に帰ろうと先ほどの道を歩くがここがもういったいどこなのかわからない。

 

 私は疲れてその場に座ってしまった。

 

 目を瞑る。私はここで死ぬんだろうな。

 

 「みよちゃーん」

 

 耳をすますと、おばあさんとおじいさんの声が聞こえた。

 

 私は声のあるほうに駆け寄って行った。 


 「駄目じゃないか外に出ちゃ・・・心配したんだぞ・・・」

 

 私は「にゃーん」と鳴いておじいさんの足下に摺り寄せた。内には退屈が。外は魅力ある。だが、一歩外に出れば気をつけなくちゃいけない。


 でも、退屈になって、ずっと死んだように生きているべきなのか。


 欲望に走って外で死ぬべきなのか。


 私たちはどのように生きればいいのかしら。


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