誇らしいショッピング、そして……
週末。私は湊兄さんと一緒に、駅前の大きなショッピングモールへ出かけた。
今日のお出かけの目的は、先日足を挫いた私を背負って家まで届けてくれた、陽太へのお礼の品を選ぶことだ。でも、私と湊兄さんの間には、もう一つの「秘密」があった。実は、陽太の誕生日はちょうど一週間後。だから、お礼にかこつけて、最高の誕生日プレゼントを贈ろうと計画していたのだ。
家を出る前から、私は鏡の前で何度も服装をチェックしてしまった。結局、お気に入りのサックスブルーのワンピースを選んだのだけれど、隣を歩く湊兄さんは、シンプルな白いシャツにデニムという格好でも驚くほど様になっていた。
モールに入ると、すれ違う人たちの視線が面白いほど湊兄さんに集中するのがわかる。
「ねえ、あの人カッコよくない?」「モデルさんかな」
通りすがりの女の子たちがコソコソと囁き合っている。私はそんな視線を感じるたび、胸の奥が誇らしさでパンパンに膨らんでいった。
(ふふん、私の自慢のお兄ちゃんなんだから!)
嬉しさが抑えきれず、私は思い切って湊兄さんの腕に自分の腕を絡めた。
「みゆ? どうしたんだい、急に」
「ううん、なんでもない! 湊兄さんと並んで歩くのが、すっごく幸せなだけ!」
湊兄さんは「そうかい?」と照れたように笑い、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれた。湊兄さんの腕はとても頼もしくて、このままずっと離したくないと思ってしまう。
「さて、陽太くんへのお礼だったね。誕生日も兼ねるなら、やっぱり長く使えるものがいいかな」
「……うん。テニスで使えるものがいいな。あいつ、毎日練習してるし」
スポーツショップに入ると、湊兄さんは自分のことのように熱心に棚を見て回ってくれた。
「陽太くんは最近、サーブの練習を頑張っているからね。……あ、このリストバンドはどうだい?」
湊兄さんが手に取ったのは、鮮やかなオレンジ色のリストバンドだった。
「あ……陽太、この色好きだって言ってた。湊兄さん、よく覚えてるね」
「毎日一緒に練習してるからね。陽太くんなら、きっと似合うよ」
陽太がそのリストバンドを着けて、少し照れくさそうに笑う姿が目に浮かぶ。
結局、湊兄さんの太鼓判もあって、そのリストバンドを「お礼兼プレゼント」に決めた。綺麗にラッピングしてもらった袋を抱え、私たちは幸せな気分のまま帰路についた。
家に着いて玄関を開けると、そこにはエプロン姿の姉さんが立っていた。
「おかえりなさい。良いものは見つかったかしら?」
「ただいま、姉さん! 陽太くんへのお礼、素敵なのが選べたよ」
湊兄さんが微笑みながら報告すると、姉さんも柔らかな表情を見せた。
「それはよかったわ。陽太くんには、本当にみゆを助けてもらったものね。……実は私も、お礼と来週のお祝いを兼ねて、特別なケーキを焼こうと思っているのよ」
「えっ、本当!? 姉さんのケーキ、陽太も大好きだから絶対に喜ぶよ!」
「ふふ、そうだといいのだけれど。湊、あなたからも陽太くんを誘っておいて。一週間後の誕生日の夜、お礼のパーティーをしましょうって」
姉さんは湊兄さんの肩にそっと手を置き、外で少し乱れた彼のシャツの襟を、慈しむように整えた。
「さあ、準備しましょうか。陽太くんの驚く顔が楽しみね」
姉さんの焼くケーキと、私が選んだプレゼント。そして大好きな家族で囲む食卓。
一週間後の特別な夜に向けて、最高の計画が動き出した。
私は買ってきたばかりのプレゼントを自室の机に大切に置いた。
カレンダーの一週間後に小さく「陽太」と書き込みながら、私は胸の高鳴りを抑えられなかった。
「……喜んでくれるかな」
窓の外に広がる夕焼けを見つめながら、私はこの幸せな日常が、もっともっと輝いていくのだと信じて疑わなかった。




