21 野蛮女ですが
「だとしても、ここまでする必要はないだろう!!」
アウローラの言葉に返せなかったくせに、彼らはまだ足掻くらしい。だがまあ、喚いているだけなら問題ないだろう。無視するが好きにすればいい。そんなことを考えている間にも、彼らはどんどんヒートアップしていく。
「この野蛮女が! クソッ、お前さえいなければ……!」
もう自分には関係ないと話を終わらせようとしていたその時、アウローラの父は突然叫び出した。手にはナイフを持っている。どこからあんなものを取り出したのだろうか? 護身用にでも懐に忍ばせていたのかもしれない。だが、そんなだからこのような結果になるのだ。普段貴族らしく偉そうに振る舞っているだけの父が、暇さえあれば外に出て時には猛獣と戦っているようなアウローラに敵うはずがないと、理解しているのに冷静でいられないから。
ただまあ、アウローラの態度が父を煽ったのではないかと問われると否定できない。何せわざとそうしているのだから。
「ローラ」
「問題ないわよ」
「殺さないようにな」
アウローラに対する心配ではないのか、と一瞬フェリクスの方を睨んでしまった。それもあるのだろうが、もう少し素直に声を掛けてくれてもいいと思う。こちらとしては嬉しい言葉なのだから。
『要検討ね』なんて言いながら父親の攻撃と、チャンスだと思ったのか一緒になって向かってきたフランツもあしらって床に押さえつけた。打ちひしがれていた使用人やロアナ達女性陣は彼らの様子を見て、怯えたように身を隠している。
「弱い。あまりにも弱いわ。そんなので生きていけまして?」
「温室でぬくぬくしているだけの奴らだからな。君とは訳が違う」
単純な力ではアウローラは彼らに敵わない。だからフェリクスにポジションを交代してもらった。これで安全だろう。国王の騎士から受け取った縄で拘束してくれるようだ。
国王ともそろそろお開きにしようと話していると、ふと嫌な気配を感じた。……殺気だ。先ほど父はアウローラを殺そうとしたが、その時のものを遥かに上回っている。狙われている人間との距離が近いのか。いや、違う。本当は分かっている。これは現実逃避だ。
勢いよく振り返ったアウローラは、今目の前で人の命を奪おうとしている男の方へ必死に手を伸ばした。
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