20 同じことをしているだけ
「こ、国王陛下! なぜこんな小娘を優先するのですか!? 私達はただ言うことを聞かない娘に躾をしただけです! 何の力も持たないアウローラと爵位を持っている私、どちらの方が国にとって大切な存在かお分かりでしょう!?」
「そうだな。お前の言う通りだ。……なんて言うと思ったか?」
アウローラが家族に与える罰を話し合っていると、危機感を覚えたらしい伯爵が国王に向かって叫んだ。補足だが、罪人になる立場の彼らが発言を許可されているはずはない。
しかし、国王はその言葉に頷きながら同意した。希望に満ち溢れた表情になったロレーヌ伯爵を、一瞬で地獄に突き落としてしまったが。
「この国の国防はロンバルティ家に一任している。それは敵に回せばこの国の存続に関わるということ。だから彼らは事実上我々王族に次ぐ権力を有しているのだ。……アウローラ・ロレーヌ伯爵令嬢自身はただの令嬢であり何の権力も持たない。この場で断罪しているのが彼女ひとりならば、私もここまでのことは許可しないだろう」
その通り、アウローラ自身は社会的な地位など何ひとつ持っていない。だから本来は父の言うように、ロレーヌ伯爵の方が国にとって大切な存在なのだ。だがそこに王族に次ぐ権力者が加われば? そうなると戦局は一気に逆転し、再び追いつかせることなく勝利してしまう。
「婚約破棄の件だけは事前に聞いていたから、今日私はこの場にいる。そしてフェリクスは狙った獲物は決して逃がさない。つまり、フェリクスの想い人であるアウローラが辺境伯夫人になるのは確定事項というわけだ」
私はそうなる未来が読めているのに下手な扱いをするような馬鹿ではないつもりである、と国王は静かな声で告げた。それは話を聞きながらも僅かに希望を見出していたであろう彼らにとって、死刑宣告にも近かったのではないだろうか。
アウローラがフェリクスと手を組んだ理由のひとつもこれだった。自分を苦しめた存在への復讐のためには、自分の人生だって捧げてみせる。今回はその相手がアウローラを想ってくれる人で、さらに力のある人物だったのが取引の決定打になった。せっかく証拠を集めても力がなければ意味がないのだから。
「……の、アウローラのせいだ! お前が生まれてこなければ私達はこのような思いをしなくて済んだというのに! 血の繋がった家族を苦しめて楽しいか!?」
「そうだ! 僕だって婚約者のはずだったのに……!」
「────ええ、もちろん楽しいですよ? 皆様だってそうでしたよね? だから何もしていないはずの私をこうなるまで苦しめてきたのだと思っていますが」
違いますか? などと聞くつもりはない。そんなこと聞かなくとも、今までの行動がすべてを物語っているのだから。現に何の言葉も返されないのが証拠と言えるだろう。
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