18 罰を決めましょう
◇
「まさかここまでとはな。覚悟しておくようにとはロンバルティから聞いていたが……」
相応の罰を与えられると思え、と告訴された者達へ国王が告げる。アウローラの視点だと、国王は怒りだけでなく焦燥や恐怖も感じているようだった。理由は恐らくロンバルティ家を激怒させた人物がこんなにも多くいるから。ロンバルティ家の権力は公爵家に匹敵するが、何となく公爵家よりも丁重に扱われている気がする。やはり替えの効く存在かそうでないかの違いなのだろう。
「今日は婚儀の当日であるが……アウローラ・ロレーヌとフランツ・アクトンの婚約破棄を許可する。アウローラ、情状酌量は考えているか?」
「全く。全員、可能な範囲で最も重い罪を課していただけると幸いです」
「分かった。……では、アクトン男爵家一同及び浮気相手だと言っていた女は不敬罪。婚約期間から考えて、七年以上十年未満を条件に投獄し、それに加えてひと月五十万の慰謝料を二人が婚約していた期間分、アウローラ・ロレーヌに支払うことを命ずる」
下級貴族及び平民から中級貴族への不敬としては充分な罰だ。慰謝料に関しても、アウローラとフランツは五年以上婚約していたのでかなりの額になるだろう。だがしかし、何か物足りない気がする。そう……痛みとか。
何とか国王にお願いできないかと考えていると、同じようなことを考えていたのか、はたまたアウローラの想いを汲み取ったのか、フェリクスが国王に声を掛けた。
「陛下、鞭打ちの追加などはできませんか? 彼らはローラの大切な時間をたくさん奪っただけでなく、心まで傷付けていたのですから少々甘いのではないかと思いまして」
「良いだろう。どちらも鞭打ち二十回。これ以上は無理だ」
鞭打ち……いきなり重すぎる罰に変わった。鞭打ちは一度でも泣き叫ぶほどの苦痛を与えられる。アウローラは家族から鞭打ちの拷問を受けたことがあるから知っている。満足そうに頷いたフェリクスを見てホッとしたように軽く息を吐いた国王だったが、罪状を言い渡された本人達は真っ青を通り越して真っ白になっている。血の気が引きすぎて今にも倒れてしまいそうだ。しかし二人が倒れたとしてもアウローラには関係ないことなので、次の国王の言葉に耳を傾けた。
「両家の使用人はそうだな……同様に慰謝料。そして紹介状なしの解雇にしよう」
「そ、そんな……!」
「恐れながら国王陛下、うちは兄弟が多くて生活が苦しいのです! このままでは家族が生きていけません……!」
「だそうだがアウローラ、どうする?」
断罪されるべき使用人は他にもいるが、ひとまず今ここに呼ばれているのは彼らだけ。リーダーというのは大変だなと思うが、彼らもアウローラを敵に回したことに変わりはない。
それにしても罪を犯した使用人でありながら国王に意見するとは無礼な……国王陛下がその辺りに寛大なお方だから何も言われないが、これが別の王ならば首が飛んでいてもおかしくないだろう。
「先ほども言いましたが、何と言おうと情状酌量の余地はありません。私は彼らの家族なんて会ったことがありませんし、どうでもいい存在です。家族のためにと言うのなら、そもそも虐げられているとはいえ主の血を引く人間で遊ばなければ良かっただけの話。私を見下しているからそうなるんですよ?」
情に訴えても無駄だと告げれば、愚かにもその立場で意見した使用人はその場に崩れ落ちた。ただでさえ生活が苦しいのに慰謝料を請求されており、その上職も奪われる。紹介状も書かれないし、解雇の理由が主の血を引く人間に手を出したからだと聞けば雇ってくれる場所はゼロに等しいだろう。
それでも家族を守りたいと思うのなら、あとはもう体を売るしか方法はない。貴族で目が肥えているアウローラからすれば顔は下の上といったところだが、スタイルは良いので娼館あたりなら何とかなるかもしれない。ひとまず断言できることは、『もう二度とまともな給料でまともな職場に就職することはできないだろう』ということだ。せいぜい苦しむがいい。
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