七話 「スナックママの尻」
美尻は、SNSで調査をしている時、ある一つの情報に辿り着いた。お尻を売りにするスナックが裏道に存在すると。
同日の夜。美尻は玲子を呼びに行く。
「玲子。つぎの仕事だ。尻を売りにしているスナックがあるらしい。いくぞ」
美尻は玲子に言った。玲子は「尻を売りにしたスナック???あなた…それ、怪しくない?」と首を傾げる。
美尻は「怪しくなんかない!!!尻を愛する者みな友達!!!」と胸を張って言い切った。
玲子は「やっぱ駄目ね…三郎は」と肩をすくめ、溜息混じりに視線を逸らした。
支度を済ませ、マンションを出る二人。
「お尻~お尻~お尻~」
即興で作った適当な歌を歌いながらスキップする美尻。
玲子は「四十五になってまでこれかい…」と頭を抱える。
二人が暫く歩くと、スナックの看板が目に入る。
スナック上げろ と大きく達筆な文字で記された看板の中に入ると、そこはまるで異世界にやって来たかのように卑猥な空間が広がっていた。
バニーガールたちが行き交うする怪しげな店内。
美尻は「うひょ~お尻がいっぱい!」と目を光らせる。
「…うげぇ」
絶句するような表情を浮かべる玲子。
「あら、お客様? 娘さん連れなんて珍しいわね?」
世界でも上位十位以内にはランクインしそうな美形の熟女が現れた。美尻は「お尻だぁ~!!!!」と、美形の熟女の尻に飛びつき、パシャパシャと撮影する。
「きゃぁぁぁぁ!!! エロ親父よエロ親父!!! エロ親父が出たわー!!」
騒ぐ美形の熟女。美尻は「違うんですぅ!!! エロ親父じゃないんですぅ!」と弁解するが、「この変態!!!!!!」と毎度の如く玲子にフライパンで頭を叩かれる。天誅。
この世の終わりを告げるような醜い変態の身体は地面に突き刺さったように床に埋もれる。
玲子が「ごめんなさい、うちの三郎が…」と謝るが、美尻は「彼女が黄金の尻を持っているかもしれないのに…」と不満そうな表情を浮かべた。
「とりあえず座りなさい。話は聞くわ」
美形の熟女は二人をカウンター席に座らせる。
美尻は、「僕、この店はお尻が売りのバーと聞いて来たんですけど…」と美形の熟女に言う。
美形の熟女は、「なぁにそんな不純な動機?? 私が人よりお尻が大きいせいでね、そういうイメージつけられちゃったの~!」と笑い飛ばす。
玲子は「へぇ~? じゃあ、評判は不本意ってことですか?」と美形の熟女に問う。
美形の熟女は、「そういうこと~」と返答する。
美尻は、「ねぇ、ママ、なんて名前なの~~???」とカウンター席からママの方へ顔を接近させる。
「私は梓モモエ。もう数年このバニーガールスナックの店長をやっているわ。元々は私がここのバニーガールだったんだけどね。どういうわけか店長になっちゃったってわけ」
モモエは経緯を二人に説明した。「なるほど~~。」と、モモエの話より身体に興味がありそうな美尻。
「僕ちゃんお金出しちゃうから、今晩はここでお酒飲んでこー!!!」
すぐ調子に乗ってしまう美尻に、玲子は、「酔って帰れなくなっても知らないからね!!!」と注意した。
美尻は、「大丈夫だよ、僕ちゃん逞しい子だから!」とヘラヘラしながら玲子の注意を聞き流す。
「さぁ飲むぞ飲むぞー!!!!!」
酒を注文し飲み続ける美尻。玲子は「ちょっとそんな急に飲んで大丈夫なの!!?」と美尻の飲みっぷりに心配する。
モモエは、「たくさん飲んで飲んで~!!! もう一杯よ~!」と美尻に酒を盛る。
美尻も「最高だよモモエちゃぁぁん!!!」と手を止めることは無い。
玲子も横でチビチビと酒とつまみを楽しむ。
数時間後。
「ひっく…ひっく…」
酔いつぶれて動かなくなる美尻。
「はー。やっぱりこうなると思ったわ」
玲子は美尻の財布からカードを出し支払いを済ませ、「行くよ、」と本人を叩き起こす。
美尻は「玲子ぉ~…」と顔を真っ赤にしてフラフラしながら歩いていった。
タクシーを拾い帰っていく二人。そのタクシーの中で、玲子は酔っ払う美尻に問いかける。
「本当にモモエさんが黄金の尻の持ち主なの???」
玲子の問いに、美尻は「ちがぁう……」と酔っ払いながらも返答するのだった。




