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美尻研究家 美尻三郎  作者: ミタラリアット


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一話「トー横キッズの尻」

美尻研究所。そこには一人の変態がいた。「世界一美しい尻」を追い求め、世界各国で見つけた美女の尻のスナップ写真をコレクションするブロガー、美尻三郎。四十五歳。彼は「死ぬまで変態。」をスローガンに掲げ、日々尻の研究をしている。

 そんな美尻に、助手の玲子は呆れていた。

 いい加減助手を辞めようか。そんなことを思うぐらいに。

「ぐへっ…昨夜クササちゃんの尻は美しいなぁ…」

 毎日のように部屋にこもってセクシーな動画を眺める中年。

 この男こそが、まさに美尻本人だ。

「仕事の時間じゃぁぁぁぁ!!!!!」

 フライパンを持ちながら部屋まで走ってきたのは玲子。

 そのフライパンで美尻の頭を叩く。

「ぶふぉ……」

 頭部への突然の衝撃に美尻は鼻から血を吹き出すが、どこか夢に浸るように幸せそうな表情を浮かべていた。

「な、何すんだよ玲子ぉ!!」

 正気に戻った美尻は頭を抑えながら玲子に叫ぶ。

「なにって。今日もお尻を探すんじゃないの。」

 玲子は美尻に冷めた目を向ける。

 美尻は時計を見て、はっ!と気づく。

「忘れるところだった!!!僕の世界一美しい尻!どこですかぁ~!」

 慌てて家を飛び出す美尻。

 玲子は「一生見つからないわよ!!!」と愚痴を吐きながらも、美尻を追いかけるように家を出た。

 美尻の隣を並んで歩きながら、玲子は美尻に問う。

「でも三郎、世界一美しい尻の基準ってなんなの?」

 玲子の問いに、美尻は「う~~ん。」と悩ませる。

「美しい尻の中でも一番形が美しい黄金の尻。」

 アバウトな回答をする美尻に、

 玲子は「要はアンタが一番好きな尻ってことね」と返答する。

「ユウコちゃんも良かったしアツコちゃんも良かったし」

 今まで撮りためた尻の写真を振り返る美尻。

「トモミちゃんもジュリナちゃんもリノちゃんもみーんな」

 美尻はニヤニヤした表情を浮かべるが、玲子は不満そうな表情に変わっていく。

「で、?なんで今日は歌舞伎町なわけ」

 玲子が美尻に問うと、美尻は「わかって無いなぁ。玲子。ここには家出少女がたくさんいるじゃないか。彼女らに近づくことが出来ればもうこっちのもの。尻は触りたい放題だよ」と当然であるかのように玲子に説明した。

 玲子は「犯罪者予備軍ね」と言いながら美尻の方を見る。

 美尻は「なんとでも言えばいいさ」と笑い飛ばした。

 少し進めば美尻の狙い通り、歌舞伎町に子供たちの溜まり場が出来ていた。

「本当に手を出すわけ?」

 玲子が美尻に問う。

 だが、その頃にはもう、遅かった。

「ねぇ君身体売ってるー!?」

 よりによって地雷系ファッションの少女の尻に飛びついた。 少女は、「きゃぁぁぁぁ!」と悲鳴をあげる。

「オッサンなにしてんだよ!!!!」

 パンクファッションの少年たちに引き剥がされる美尻。

「オッサンじゃありません!お兄さんです!」

 と少年たちに訂正する美尻だったが、問題がそこでは無いのは明白だ。

 少女を取り逃がした美尻は、「僕のお尻ちゃん…」と落ち込む。

 玲子は泣き出した少女を「ごめんねぇ、いやだったよね、」と宥める。

 美尻は、「少女!!!そんな綺麗な尻をしているから悪いんだぞ!」と反省する様子を全く見せない。

 少女は、「この世にはこんなに終わってる人間もいるのね!」と怒りを顕にした。

 玲子は、「いくら尻研究家って言ったって未成年に手出しちゃダメよ」と美尻を注意する。

 美尻は「はーい」と落ち込む。

 玲子は「今日はさっさと引き上げましょ。あの子は黄金の尻じゃないでしょ?」と落ち込む美尻に優しく言葉をかけた。

 美尻は「あーあ、写真に収めておきたかったなぁ」と嘆く。

 玲子は「それなら私みたいなナイスバディなレディの尻を狙いなさい」と美尻に教える。

 美尻は「玲子がナイスバディなレディ?笑っちゃうぜ」と悪態をついて先を歩く。

「なによ、私の尻が気に入らないわけ!?」と言いながら玲子は先を行く美尻を追いかけるのだった。

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