お世話係
小説って書くの難しいですね。
まだまだ精進が必要ですね。
お世話係という謎の仕事を命じられた俺は、広場に来ていた。母さんスライムが言うには、聞いたこと無いそうだ。なんだそりゃ、怖い。
「おっ、ちゃんと来たな」
少し声がしわがれてる気がするから、司会者だろう。
「どうも」
「コッチじゃ」
司会者が、ズルズルと歩いているのについていく。このまま行くと昨日、司会者が話してたステージみたいなとこに行きそうだが……
普通に登った。えっ? ホントどこ行くの?
「コッチじゃ」
ステージの横側は、通路になっていて、奥に進めるようになっていた。この奥に誰かいるってことか……ん、昨日出て来たのってもしかしてここからってことか? なるほど……わかって来たぞ。
「お待たせしました。」
「…………おう」
えっ、なんて?
「ほれ、入れ」
「あっ、失礼します」
中に入ると、昨日の目だけのスラ……違った黒いスライムが居た。
「よく来た」
ん? なんて?
「今日からしばらく、岩石スライム様の食事を用意してくれ。岩石スライムは、だいたいこの部屋で寝てるから、ここへ持ってくれば良い」
「わかりました」
わかったけど、餌なんでも良いの? お世話係って飯を調達する係ってことか、でも餌は岩石って言われたらどっから取ってくれば良いかも分からないんだが……
「……よろしく」
あの、もう少し大きな声で話して欲しいんですが、てか念話で、声小さいってなんなのさ。
どうするか、このままじゃ適当な餌持って来て怒られるか、追い出される未来しか見えないぞ。
よし、いっそくっついて念話しよう。
失礼とかの概念もよく分からんしな。
ススッ……
そーーっ
ピタッ
くつっいても誰も何も言わないな。
「すみません、先程からよく聞こえなくて、もう一度話して頂けますか?」
……
「よろしく」
んーー、溜めて、それかー!
「よろしくお願いします。 あの……ご飯って何を持ってくれば良いですか?」
「……岩」
ですよねー
でもそれじゃあご期待に沿えないんですよー
「えっと、どこの岩とか大きさとかあるんですか?」
「……無い」
無いんだ。
今の間は何?
絶対ある感じだったじゃん。
どうするかー。
岩っていうからには石じゃダメなんだよね?
というか良いって仮に言われても、そこらの石じゃ魔力無いから意味ないよね?
いきなり激ムズ問題だな。
「あー、いままでの食事はどうされてたので?」
「そこらへん…………石……食べる」
あぁ! 焦ったい。
こういう話し方の人なのか?
話しにくいことなのか?
とにかく答えに近づかんじゃないか!
「そのへんの石は魔力が無いと思うのですが、お腹満いっぱいになりますか?」
首を振っている。
つまり腹は膨れないが石を食べていると……
これはなんだ……死にたいのか?
いや、魔力が尽きたら死ぬのかわからないが、実は瀕死なくらい体力が無いから少ししか喋らないのか?
「コウモリを貰ってきたら食べますか?」
首を振る。うん、コイツもなんなんだよ。石しか食べないのは進化のせいなのか?
そうだとしたら退化だろ!!
「わかりました。 貴方の気持ちが知りたいです。石以外は食べれないのですか? それとも食べたくないのですか?」
…………
「わからない」
わからないんかい!
ダメだ。話を聞くより試す方が早い。
試す方が絶対遅いはずだが、たぶん、コイツは、話してるだけで数日かかる。
諦めるんだ! ソラ! コイツはまともに相手をしてると、何もできないぞ!
よし、何も良くないが、適当に取ってこよう。
どちらにせよ、俺も魔力摂取しないと干からびる。
「では、失礼して食事を探してきます」
……
「任せる」
任せる!じゃないよー
もう少し情報くれよ。
コイツ何歳だ…………よ。
ん? よく考えたらスライムになってから年齢とか気にしなかったが、何歳くらいで人間の大人なんだろう。
見た目だけなら30分だったが、人間だって精神的に大人になるには時間がかかる。だが何年生きてるか聞いても大人な感じかどうかわからんしなー。
まぁとりあえず、岩を探そう。あとあんな形で進化するんだから魔力がこもってる岩があるってことだと思うんだよなー。 せめて進化前はどこで、ご飯食べてたか聞きたいが、単語しか喋らないアイツに聞いてもたぶんわからないよな。
今、わかってることを整理しよう。
1.俺たちは、色々溶かすが、魔力がないと満足感も無い。
2.コウモリも魔力はある。
3.外の植物も魔力がある。
4.ここら辺の石には魔力がない。
この情報だと、生物か、生物じゃないかで魔力の有無になってしまう気がするんだよな。でも葉や茎に魔力があるならその摂取先はたぶん、生物じゃない。土か日光か、雨か、光合成的なものか……光合成だと石は魔力含むのは無理だよな〜
とりあえず外だな。
雨か日光なら地面に転がってる石、土なら埋まってる石を試してみよう。よし、行くか。
いや、待て、どうやって持ってくるんだよ。
そして自分の飯はどうするか。
まず、自分の飯だが、石が見つかるなら俺もそれを食べれば良い。見つからない場合は、とりあえずアイツには、そこら辺の石を渡しておこう。
問題は運ぶ方だ。
コウモリみたいに――ん、そうか! 別に消化液にしなけりゃ溶けないから体内にしまって運べば良いのか。
よし、今度こそ、出発!
俺は皆がいなくなる辺りまで、ズリズリと移動した後、ゴロゴロと転がって外に向かった。ふぅ〜 回転するのも慣れてきたな。
とりあえずそこらの石を食ってみよう。
ジュワァ……
やはり魔力は無いな。
次は、土の中だな。
…………
どうやって掘るよ! 俺はバカか〜 土の中って思いついた時点で人間のイメージで掘ってたわ! 人間なら石は食わねーだろ。 ホント、俺感覚バグってるな。
とりあえず、入り口近くを荒らすと巣がバレて大変なことになりそうだから、もう少し遠くへ行くか。
川だ!
川なら少しは、何かあるんじゃないか。
俺の目の前には、川が流れてた。
川というにはだいぶ小さいが、これは俺たちの巣が山の中腹にあるっていことなんだろうか? それとも山は関係なく小さいのか?
浅そうだし、水の中に入ってみる。
冷たいと嫌だなと思いながら入ったが、そもそも冷たいも熱いも感じ無いらしい。
こんな浅くても、魚はいるのか? というかこの体で魚を探す方法はあるのか?
おっ……人の時と違って普通に魚が寄ってくるな。
このまま飲み込め……
バババババッ
なるほど……
当たり前だが、水も入ってきちまう。
なんていうか体内に激しい衝撃は、慣れなくて焦るな。
というか水も消化したんだが、どういう原理なんだよ…… スライムボディが怖ぇよ。
それはともかく魚食いたいな〜
そうか! これならどうだ。
俺は、体に穴を開けるイメージで体内に水を通して、通過する魚をパクッと食べてみる。
よし、魚食えた。
おぉ、ちょっとだけど、ちゃんと魔力あるな。
ついでに川底の石も食ってみるか。
ん? 今の石のどれかに魔力あったな。
魔力をみよう魔力視を使ってみる。
そして俺は気づいた。何も食べてみなくても魔力があるかは、見ればわかるってことを。
…………
はぁ〜、ポンコツ過ぎるだろ。
でも魔力が少ないものを見ると結構疲れるな。
なんというか、集中力無いと、魚も石も魔力が見えないわ。
普通に魔力視のまま歩いて、気になった時だけ集中するか。でもこうやってみると木は思ったより魔力あるんだな。
あっちこっち光って微妙に歩きづらいな。
森の中を歩くより川の中の方が見つかりにくそうだから川を遡って行くと、目の前にデカい岩が現れた。デカいっていっても人間ならなんとか登れそうな高さだ。
水は岩の上からバシャバシャと落ちてきてる。
これは、岩が光ってるな。やっぱり魔力を含む鉱物も存在してるわけだ。でもこの大きさは俺にはどうにも出来ない。でもこれなら期待できるな、もう少し上流へ行こう。
登るのめっちゃ大変じゃん!
粘着液、水でちゃんとつかなくなるとかふざけんなよ!
もっとファンタジーな成分だと思ってわ!
俺の知ってる粘着テープみたいだったわ。
おかげで、ポーンって落ちるし、クルクル流されるし、スライム引っかかるところが無さすぎて、止まるのすら大変じゃねぇか。
まぁ、登れたから良いにしておこう。アイツにここまでして餌届ける必要あるのかよ、はぁ〜。
でも登ってきたかいはあったー!
転がってる石も魔力含んでるのあるじゃん。よしよし、まずは自分の魔力補充だな。
しばらく腹一杯になるほど石を貪った。
その後20個ほど、巣に持ち帰った。
アイツは、無言で食い始め、最後の方は「うまい、うまい」言いながら食ってた。 アイツやっぱり死にかけてたんじゃねーかなーと思った。
それはそれとして感謝くらいしろよ。
アイツ、ふざけるなよ。
スライムが日常生活にいて、他のスライムの、世話してたら可愛いですよね