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やわらかい侵略  作者: 新 絆
森の世界

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湖ってこんなだっけ?

 たどり着いた“ソコ”は、周りにまばらな背の低い木が生えているが、とても開けた場所だった。


 “向こう”の湖の周り明るかったが、こちらの方が背の高い木は少ない……が、何故かこちらの方が暗く感じる。


 中央に湖があるとは思えない。

 それくらい緑色だった……。


 ナマズの奴、こんなとこに住んでたの?

 

「何か臭うな……」


 フォスティにそう言われてみると、匂いってわかんないことに気づいた。


「どういう匂い?」


「何かが腐ったよな臭いだな」


 匂いって臭いって話か。あまり良い感じではなさそうだけど、とはいえ辺りに死体があるとかではなさそう。


 さっきも思ったが、割と周りは拓けてるし、死体とかがあれば気づきそうなもんだ。

 

「ソラ!」


 メリーの方を見るとフォスティと一緒来ていた人が、足を物凄い勢いで掻いていた。


「どうしたの? 大丈夫? 一旦ここから離れようか」


 俺達は、湖から離れると彼を休めるように、太い枝を上半分だけ溶かして寝かせた。

 

「なんか足が凄い痒くなったんだって。なんで急に痒くなったんだろう?」


「彼は何か踏んだり、何かに襲われたりとかしたのか?」


「んー、僕はずっと近くにいたけど、そんな気配はなかったし、後ろを歩いてたけど、特別な何かを踏んだ感じでもなかったよ」


 じゃあなんで?

 フォスティには症状が出てない――何か違いがある気はずなんだけど……


「先程の緑の水ですが、水を喰らう草が生えていたのではありませんか? 女王の教育で確か活力の水を死せる水へ変える草だと習いました」


 水を変える……?

 赤潮とかそんな感じだろうか……


「誰か他に知ってる人は?」


 皆を見ると首を、横に振ってるだけだ。


「フォスティ達に症状がら出るなら、ハンベエもヤバイかもしれない。ここはスライムだけで行こうと思う」


「メリー! ペコリ!」


 ……


「ペコリはどこ行った?」


 辺りを見回すと声が聞こえた。

 

「ここにいるよー」


 声の方を振り返ると確かにペコリがいた。

 何故か俺より前にいたはずのペコリはどこかで追い抜いたらしい。


「どうした? なんかあったか?」


 ペコリは何やら満足気な笑みを浮かべてモシャモシャと体が動いていた。

 

 ……何か美味いもん喰ったって話か。


「なんかさー、ソラをペチペチしてる奴が居たでしょ? アレなかなか美味しいね」


 いや、俺をと言うよりフィリアを襲って――ん?ハンベエも俺もどこから狙われてるかわからなかったのに、喰った?


 この子、本当に食い物が絡むと優秀過ぎないか?

 

「俺はどこにいるかわからなかったんだが、ペコリはどうやって見つけたんだ?」


「えっ? 普通に見えてるけど……。今も木の上に1匹いるよ」


 マジかよ。どうなってんだよ。……正直、湖よりそっちの方が気になるが、目的を忘れちゃいかんよね。


「そっ、そうか。とりあえず話を戻すけど、ペコリとメリーと俺で湖に行くことにしたんだ」


 ペコリは他所を見ながらつぶやくように言った。

 

「ふーん」


 こいつ興味なさすぎだろ。


 フィリアをハンベエに預け湖に近づいていく。


「ソラー、この水不味いね」


 言われて俺も飲んでみると確かに不味かった。

 魔力が無いとかそういうことでは無い。何か水では無いものが、非常に不味い。今までに飲んだことが無い何かだ。


「うん、不味いな……。これをなんとかするとか出来るのか? 水が腐ってるんだとしたらどうやって生き返らせるんだ?」


 こういう時小説なら知識チートでなんとかなるのかもしれないが、残念ながら俺にそんな知識は無い。


「二人してなんで水飲んでるのさ」


 メリーは飲まないらしい。苦笑いでどう考えても美味しくないのに飲むわけないと言われた。


 確かに……その通りだな。


 再び湖が見えてきたが、改めて見ると鮮やかな緑色だ。こんな鮮やかな緑色の水って存在しないよな?


 そもそも既に自分の足元も泥水で浸ってる状態で、どこからが湖なのか実はわかっていない。


 緑の塊の辺りが湖なんだと思うからこそ、そんな水あるか?と思ったわけだけど……ここ異世界だしな。


 さらに湖に近づいて、やっと緑の水の理由がわかった。なんか苔のような、藻のようなものが浮かんでる。

 

「これが水を喰らう草?」


「なんか草って感じじゃ無いね」


 ペコリとメリーの顔には?が浮かんでいる。

  

 まぁ草っていうか藻って感じだな――フィリアの言い方だとこいつが悪さしてる感じだけど、本当かなぁ。


 ドプンッ


 うぉ、不用意に近づきすぎた。ここから湖だったらしく水に沈んでしまった。人間と違って体が浮く気配が無いから速攻沈むけど、呼吸がいらないから慌てる必要もなかった。


「ここから湖だった」


「……知ってる。ソラが急に居なくなったからね」


「ぶはっはっはっ……ひっー、ソラ面白い」


 俺は水を吹き出して体を浮上させると、ペコリに爆笑され、メリーは呆れ顔だ。

 

 ……二人とも少しは心配してくれても良いんじゃない? 


「湖の中にもこの緑のが居たから、とりあえずこいつらを食べちまおう」


 嫌そうだ……確かにこいつら不味そうなんだよな。


「まぁ仕方ないよね」


 俺達は、湖に手を伸ばして表面の藻を取り除いていく。


「でもこれを取り除いたら、皆ここまで来れるようになるの?」


 ……


 確かに。

 こいつらが原因だとしても、水に触れて足が痒くなった症状が発生しないかどうかがわからないし、確認のために連れてくるわけにも行かない。


「不味い……これ食べても水が不味いのは、変わらないでしょ」


 ペコリは、手伝ってくれないかと思ったけど、素直に藻を取り除いてくれている。確かに水がダメなら、水をなんとかしなきゃいけないってことになるよなー。


 

「確かにな……これ解決出来るのか?」


 目につく藻を取り尽くしたが、水中にはまだ黒っぽいような、赤褐色っぽい藻がたくさん舞っている。


「ソラ、水の中はどうやって食べるの?」


「どうしようか……もういっそ水全部飲む?」


「はぁー?」


 メリーさんの目線が非常に冷たい。

 ん?

 

 ペコリを見るとホースみたいになって水の中に体を突っ込んてだ。


「ぷはぁー。水が不味い! これ全部はちょっとご褒美ないと無理だね」


「ソラ……」

 

 確かに俺が言ったんだけど、これは俺のせいでは無いような……


「いや、ペコリが……ご、ごめんなさい。」


 メリーの”お前のせいだぞ“って視線からは逃れられなかった。ペコリはご褒美あれば、飲むって言ってるんだし、そんな怒らんでも。


「どうすんのさー」


 本当にどうしようかなー。水の浄化の仕方なんて、砂利と炭をペットボトルに入れて飲み水にするくらいしか思いつかないよ。


「少し水の中の様子を見てくるよ」


 何も思いつかないから、なんかヒントがあると良いなと思って水に飛び込む。


 んー暗い……藻が多いってこともあるけど、水自体がなんか汚いな。ナマズがこっちに戻りたいのは、こういう水質が良いってことなのかな。


 ゆっくり沈みながら色々考えてみるが、何もいい案が思いつかない。水が汚いせいなのか、藻のせいなのか、魚も結構死んでる……環境的には結構ヤバイ状態なのがわかる。底にはまだ生きてる魚もいるんだろうか。


 だんだん僅かな光も届かなくなってきて、真っ暗になってきた。これじゃヒントも何も見えないな。


 そろそろ戻ろうかと思った時、壁がチラっチラっと魔力光が見えた。


 そう思った瞬間俺の頭が何かにカットされた。


「うぉ、なんだ!?」


 慌てて水を吹き出して上昇する。後ろに何かデカい生き物が追いかけてくるのがわかるが、そこまで早くないようだ。


 ザパッ!


 勢いよく水面から飛び出して、上空から下を見ると黒い影が大きくなっていくのが見える。


 また……デカい生物に襲われてるのかよ。生態系おかしくないか……

 

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