独り言
話を思ったとこまで進めるの難しいですね。
自分のネタをもっと上手い人に書いてほしい。と思ってしまう。
結局、粘着液こそ出せたものの、壁にはまったく登れなかった。壁に登るには、粘着液を出す場所の正確さ、粘着液を吸収するタイミング、そして何よりも回転のスムーズさが必要だった。そんな課題が山のようにあることだけはわかった。
(俺に懐いていた? スライムも、練習に飽きたのか、いつの間にかどこかへ行ってしまった)
時間の感覚も完全に狂ってしまった。何時間、いや、何日かもしれない。この暗い空間にいると感覚が狂うのは仕方ない。スライム達は何故平気なのか。
しかし、俺も練習は一旦休んで、気晴らしがしたくなった。とりあえず、あのスライムが進んだ方向へ、俺も歩いていた。
(そういえば、あいつはどこへ行った?)
普通に歩くよりも、転がったほうが少しでも早い。ただ速度を上げると止まれなくなる。減速も難しいが、曲がるのはもっと難しい。少しずつではあるが、体が慣れてきているのを感じた。
(ん? あのスライムどこかに向かってるな)
転がる練習を兼ねて、洞窟内を彷徨ってると珍しく動いているスライムを見つけた。
気づかれないように距離をとり、離れたら転がる、離れたら転がるを繰り返し、曲がり角にぶつかりながら尾行してみた。
やがて視界が開け、広い空間にたどり着いた。そこには十匹ほどのスライムが静かに集まっていた。俺は気づかれないように、岩の影に隠れた。
(わざわざ集まって、何をするんだろう)
辺りは静寂に包まれていた。小さな水滴が岩に落ちる音さえも、妙に大きく響く。目の前のスライムたちは、まるで獲物を狙うかのようにじっとしていた。
そこらで動かないスライムより存在感が薄い気がする。知らない世界に踏み込んでしまったような不安と興奮が入り混じり、心臓が高鳴る。
(これから何が起きるんだ?)
広い洞窟の空間に集まったスライムたちは、天井で少し隙間を開けてじっとしている。
(なんか来た……)
何かの気配を感じ、俺も息を最大限に潜める。
バサバサッ。
いつか見たデカいコウモリが、天井に止まろうとしているところだった。
その瞬間、スライムたちの静寂は破られた。まるで合図を待っていたかのように、一斉に動き出す。
一匹は止まりに来た足を包み込むように絡め取った。
(狩りが始まったのか……?)
コウモリは必死にもがくが、粘着液に足を取られ、天井から離れられない。異常を感じて、近くのコウモリが、寄ってきた。 別のスライムが、背中に飛びつき、素早く羽根を溶かしにかかる。
(なるほど、一匹だけならまだしも、騒ぎで集まって来るから複数で、狩ってるのか)
狩りは連携プレイで行われていた。
やはり体を包まなくても、溶かしてるようだ。
俺は何故、木を溶かせなかったのか……
疑問は解決しないが、少しでも情報を得ようとその狩りの仕方を目に焼き付ける。
俺も戦いは避けられないとウサギ擬きを見て学んだ。スライムとして生きていくために、戦い方は重要だと感じていた。
(スライムって以外と協調性があるのか)
スライム達の一挙手一投足を見逃さないように注視していたら、突然、別のコウモリがこちらに向かってきた。
(ん……なんだアイツ。 なんかこっち来てないか?)
コウモリと目があった気がした。
(やばい、見つかった!)
焦りながらも、咄嗟に転がって距離を取ろうとしたが、コウモリの動きは素早い。俺は壁にぶつかりながら慌てて、いつもの場所へ帰ろうとしていた。
キー。
(ぐっ)
キー。
(危なっ)
コウモリが鳴きながら、飛びかかってくる。
必死に(意図してないが)蛇行しながら逃げる。
(クソッ、逃げる以外の選択肢が欲しい!)
気づけばいつもの場所に近づいていた。ここからは、通路がまっすぐだ。止まることを考えず加速する。
(誰か助けてくれないか。誰か……)
だが蛇行が無くなった俺に、コウモリはすんなり近づいて来た。
(ヤバい。躱せない)
攻撃の突撃を眺めながら、こんな簡単にスライムとしての生も終わりなのか……と思ってしまった。
「誰かー!!」
最後くらい思いっきり声を出したかった。
ボトボトボトボトッ。
殺されると思ったのだが、上からスライムが降ってきた。コウモリはスライムの雨を避けられず、そのまま捕われ溶かされ始めていた。
……
感情が追いつかない。
さっきまで死ぬと思ったのもそうだが、スライムの雨を見る日が来るとは……雹も危ないとは思っていたが、これは間違いなく遭遇したくない災害だな。
地面には30匹くらいのスライムが落ちていた。逃げてる時には、気づかなかったが、結構な数天井にいたらしい。
(これは仲間を助けろ。みたいな感じで助けてくれたんだろうか? お礼もしたいし、とにかく話がしたい)
なんでスライムは、会話出来ないんだ。生物なんだから何かしらコミュニケーション取る手段があっても良いんじゃないか!
「ぉぃ」
話したい思いが強すぎて幻聴が聞こえてきた。
「おい!」
あれ? 幻聴が悪化してきた。
結局死ぬんだろうか……
「おい! 聞いてるのか!?」
後ろから聞こえた。
後ろを振り向くと間近にスライムがいた……何故か体を触れられている。
「お前、まだ若造だろ! なんでこんなとこにいる!」
なんか怒られてるかもしれないが、驚きと喜びが入り混じった感情が溢れる。
(スライム――話せるんじゃん)
なんか色々言われてるが、話せない俺にどうしろと言うのか……。
「うるさいなー 俺は話せないんだよ!」
目の前のスライムは、目を見開いた。
「何も言ってる? 話してるじゃないか?」
……
……
「えっ、俺、話せてる!?」
なんと何故か話せるようになっていた。これは念話と言うらしい。助けてくれたと言うより、俺が皆に話しかけるグループ念話とか言うやつで、話しかけたことで、コウモリに気づいたらしい……
(いや、結構騒がしくしてたと思うんだけど、何故気づかない……)
と、とにかくグループ念話は、基本的に皆に伝えるために使うから、“必要なとき以外使うな”と怒られてしまった。
(……結構必要な場面だったと思うんだが、何故、怒られた?)
普通の会話は、体が触れてないと使えないらしい。
少し試してみたが、体が触れてる時は普通に話しかけてるのと変わらない。
何故、今まで話せなかったのかが疑問なくらいだ。
グループ念話の方は大声を出す感じだろうか。声を出す時に体から何かがブワッと、出た感じがあれば成功だ。
話を聞いて、念話が二種類あるとは! と思って試したのだが、怒られた。
“今言っただろう!”と最初の勢いがMAXじゃなかったのか……ってくらい説教された。
でもそろそろお説教大好きスライムも、些か疲れてるようだし、またいつもの場所で壁登りの練習でもしよう。
スライムの種類って多様性ありそうですよね。