表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やわらかい侵略  作者: 新 絆
スライムの世界
19/22

チームスライム

巣に帰って、偵察部隊のみんなを待つ間、中のスライム達がどうなったか様子を確認しにきた。


一応、大雑把に指示は出したんけど。

 回転出来るスライム達は練習を。

 それ以外のメンバーからA、B、Cグループを作ってもらって防衛案を考えてもらうようにお願いした。

 そのどちらでもないメンバーは、今までの係と石投げの練習を。って感じなんだけどね。


 ブルッン。

 

 中に進んで行くと、回転スライムが迫ってきてぶつかった。おぉ、なかなか勢い良く移動出来てるじゃん。


 ブルブルブルブル……


 えっ?!

 この子ぶつかってるのに、止まる気配無いんだけど。


「ぶつかってますよ〜」

 とりあえず接触はしてるし、普通に話しかけてみた、

 

「へへっ、ですねー。止まり方がわからないんですよねー」

 

 なんと!

 そんなことある?

 自分で回ってるのに?


「えっと、体を回転させてるのやめたらダメ?」

「やめると言われても、何もしてないんですよねー。最近ずっとこのままで、困っちゃいます〜」


 マジですか、もしかして試しに回転教えた日から周りっぱなしですか? とんでもない奴いるな〜

「とりあえず逆に回転しようとしたらどうですか?」


 ギュルル、ギュル、ギュル、……ギュルルルルルー


 えっ……反対に転がってた。

 一回止まったのに、何故そこでやめなかったのか。

 でもあんな遠くに行ったらアドバイスのしようもないから放っておこう。

 他のスライムを見ると割とみんな転がれてる気がする。

 近くにいる一匹に、話しかけてみた。

「転がるの上手いですね。移動に使えそうですか?」

「??」

 あれっ? 通じない?

「すみません。聞こえてますか?」

「はい」

 あれ、聞こえてる。どういうこと? もう一度話してみる

「転がるの慣れました?」

「はい。ただ転がった前に何がしたかったか忘れちゃうんですよねー それに止まった時もなんかボーっとしちゃって」


 あぁ、なんか思い当たる節あるな。そういえばそこ苦労したけど、脳がどうとか教えようが無いぞ……

 うん、各自頑張ってもらおう。

「なるほど、俺も経験ありますね。それは頑張るしかないですね」

「そうですか。まぁ楽しいから良いんですけどね」


 良いんだ?

 楽しむために教えた訳じゃないんだけど、仕方ないな。一匹でもちゃんと転がれることを祈ろう。


 さらに奥に入ると、固まっておしくらまんじゅうしてるスライム達に会った。


 ぎゅむ、ぎゅむ、ぎゅー、ぎゅー

 いや、何してんの? 話してんのか? 参加してみよう。 俺も端に加わり声をかける。


「何してるんですか?」

 

 俺がくっついたスライムが、こちらを向いて答えてくれた。

「いや〜 なんかグループで防衛方法を考えろって言われたんだけどねー 防衛って何?って話じゃん? だからみんなで今日は、何を食べたいか話してたところなんだよね」


 おい、おい、おい。まさかの防衛が通じてないかよ。

 みんな、"わかった"って顔してたよね?

 ふぅー、俺が偵察してる間、ただの井戸端会議のメンバー決めしただけになっちまった。

 

「防衛っていうのは、攻めてくるゴブリンから、この巣をどうやって守るか?って話ですね」

「どうやって? ゴブリンがどんな奴か知らないが、突っ込めば良いんじゃないか?」


 でたー! なんでみんな突っ込めば解決ってなるんだろう。体が痛みを感じないし、攻撃全振り見たいな体だからもう本能なのかもしれないな。

 

 確かにスライムになってから、俺も突っ込む恐怖心が無くなってる気がするんだよな。


「ゴブリンは、武器を持ってて、その武器で叩かれると核ごと壊されちゃうこともあるみたいですよ?」

「ふむっ、つまり突っ込んでも、やられることが多いってことだな」

 

 少し女の子っぽい声が聞こえてきた。

「なら待ち伏せすれば良いんじゃない? コウモリ狩る時みたいに」

 

 これだけくっついてると、誰が話してるかは、わからないけど、みんなくっついてれば、このメンバーで、グループ念話出来るんだな。


「それも良いですね。コウモリには見つかりませんが、ゴブリンには見つかるかもしれませんよね?」


「そうですね〜 じゃあわかりませんね」

 

「そう。初めての敵なので、難しいですよね。でも考えないと、この巣に住めなくなっちゃうかもしれないので、みんなで良い考えが、出せると助かりますね。それを話し合って下さいってことです」


「「なるほどー」」


 納得してもらえて良かった。誰かゴブリンと戦闘経験があると一番良いんだけどね。


 あっ! 係割り振り野郎がこっちに向かってきた。

 アイツ、またなんか難癖つけるんじゃないだろうな。

 

 ……

 

 ん? 俺って、何を難癖つけられたんだっけ? 印象が悪いってことは覚えてんだけどな……わざわざ思い出して嫌な気分になることもないか。


「どもっ、何か御用ですか?」

 こうしてみると割り振り係りイケメン顔では? いや、スライムにイケメンとかあんのかわからんけど。

 

「何やら代表が必要と言われてな」

 あぁ、グループの代表が必要って話してたけど、これはいまいち伝わってない感じかな。

 

「はい、それ以外になんか言われました?」

「何も」

 相変わらず口数少ないタイプか〜 

「そうですか、とりあえず司会者の元に行きましょう。俺もお願いだけして、その後の状況がわかりませんので」

「わかった」


 司会者に会うために広場に来たら、壁を何かがグルグル回ってる。

「あれ、なんですか?」

「知らん」


 なるほど、どう見ても回転移動してるスライムだが、あんなに部屋をグルグル回って何がしたいんだ? まぁいいか。俺は壇上に上がり司会者と話す。

 

「司会者さん、代表者の方を紹介してもらいたいんですが、決まりました?」

「そこにおるではないか」

「いや、グループの代表なので、3人は必要という話だったかと思うのですが?」


 えっ、違うの?

 ここで食い違うのは、予想外過ぎる。

 

「いや、一人は儂のつもりじゃが、あと一人は見つからんかった」

 なるほど。とはいえ普段の生活が生活だからな。代表者ぽいことするにしても、各係の代表者は、動かせないし。


 とりあえず話を聞いてくれて、無理なら代役って形で良いから誰か……俺は広場を振り返った。

 

 うん、まだグルグルしてる。

 

 とりあえずアイツでも良いか。どんな奴かわからんけど、最悪知り合いを紹介してもらおう。


 バチャ! プルンッ

 

 直接会話するために、壁に登り進路を塞ぐようにして待っていたら飛ばされた。アイツ俺がいても無視かよ。再び進路を塞ぐ。今度は、突っ込まれることを想定して、体を膨らませて、包み込んだ。


 おおおおおおっ。


 体貫かれるかと思ったぜ。

 とりあえず止まった。


「ども、少しお話を」


 自分の体から解放して、顔見るとさっきの奴だった。

 

「あっ、さっきの」

「さっきは教えてくれてありがとう」

 

 いや、流石にコイツはダメそうだなー

 まぁ第一印象だけじゃ、まだわからんけど。

 

「少しお話出来ますか?」

「良いですよ」

 この子ずっとニコニコしてるな。そういう顔なのか?


 4匹のスライムが、スクラムを組む。

 こうしないと話せないからね。

 

「まず、3人には各グループのリーダーになってもらいます。防衛の時にも、この3グループ単位で指示を出したいと思います」

「あのー?」

「はい、なんでしょう」

「グループってなんですか? 防衛ってなんです?」

 そこからか。

「ゴブリンの話はご存知ですか?」

「あぁ、なんか偵察係の方が帰ってこないってやつですね」

 おっ、意外とちゃんと話知ってる感じか。

 

「そうです。ゴブリンは、武器も使うし、大きいやつだとスライムを一撃で倒せるそうです。だから普通に突撃だけで巣を守るのは難しいと考えています。そのために、守り方を考える必要があります」

 

「なるほど、それでこの前の集まりになるわけですね。僕は、回転移動が面白くて、そこから話は聞いてませんでしたが」


 やっぱり聞いてなかったんかい!

 

「それで3グループ作って、それぞれ対処してもらうつもりでいます。まずはどんな守り方が出来るか考えるところからですね。敵の数も目的もまだわかってないので、方針は決められませんが」


「ふむふむ、武器を持ってるなら、取り上げたいですね」


 なるほど、その発想は無かった。

 近づいて倒すのが難しいなら、武器を取り上げる方法を考えるのも有りかもしれない。


「良いですね。そういうのをグループで考えて欲しいと思ってます。Aグループは、天井から攻撃、Bグループは、離れたところから攻撃、Cグループは、罠の設置と、防衛設備って考えています。なので、それぞれ話の方向性や準備をお願いしたいです」


 しばらく話し合い、割り振り係が、Aグループ、司会者がBグループ、罠と防衛設備をCグループのリーダーになった。


 次は、偵察方法だ。

 既に一度失敗している。敵のいる場所もまだ不明だ。

 無理に探るより、やはり警戒網を敷く方がいいもしれない。


 俺は偵察隊を呼び出した。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ