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やわらかい侵略  作者: 新 絆
スライムの世界
12/22

閑話 王女の目覚め

本日は、2話投稿します。

夜に通常話も投稿するので、宜しくお願いします

 私は、第二王女です。

 今日は、凄い一日でした。 


 少し私の話を聞いてください。

 

 私に限らずですが、他のコロニーの王女であるお姉様やこれから生まれる妹達、お母様は、この引越しと女王になる結婚の儀式の時以外で外に出る事はありません。


 私たちは、王女の時に各コロニーで、女王になるために魔力を、溜めながら過ごします。女王として充分な魔力が溜まると結婚飛行という、女王選抜の試練があります。


 この試練を乗り越えた王女は、女王となり、今までのコロニーから離れ一人で、借宿を作ります。この借宿で、女王は、護衛蟻、偵察蟻、補給蟻、従者蟻、王女候補を産み、自分の防衛拠点を作る準備をします。


 この準備が終わり、一つ目の正式なコロニーを作り、次のコロニーに向かっている所でソラ様に出会ったのが、私達です。


 私達防衛蟻は、複数のコロニーで、女王とロイヤルボールを守ります。拠点数は、場所や女王の力によるそうですが、我らは六つのコロニーで守る計画を立てています。儀式というのは、全てのコロニーの創設には、女王とその拠点のリーダーになる王女が立ち会うというものです。 これにより各コロニーの働き蟻達は、防衛コロニーのリーダーになる王女の命令に従うようになります。

 

 各コロニーの王女は、この時、女王から特殊な念話で意思疎通が出来るようになります。


 私達は、各コロニーに資源を集め、蓄えることと偵察を兼ねています。危険を本コロニーに教えたり、ロイヤルボールの資源が不足すると、本拠地へ運んだりします。


 私達は、その拠点作りのために引っ越しと呼ばれる儀式をするわけですが、その前に伝道役の蟻から外の危険や、他種族のことを学びます。伝道役は、女王の知識や記憶を引き継ぐ蟻で、過去の女王が経験したことなどを覚えているそうです。


 そうして学んで引っ越しを成功させようとするわけですが、私達の天敵は驚くほど多いです。そして私達は、拠点を作る前によく全滅することがあるそうです。


 だから旅は、ビクビクしながら運ばれていました。

 影や虫の声、風の音、全てが敵を襲撃では無いかと恐れていました。


 上から影がかかり、私達の行進に暗闇を落とした時は、私はただひたすらに皆さんに助けてとお祈りするばかりでした。


 その時です。不思議な形の鳥が、あの恐ろしい蟻喰鳥を食べてしまいました。その時の私は、全滅だ……と思いました。あの鳥すら勝てない生物、見たこともない形、とても守ってもらえるとは思えませんでした。


 しかし、地面に降りた不思議な鳥は、どう見てもスライムでした。スライムは、こちらを襲うこともあるが、何もせずに通り過ぎることもある、何を考えているかよくわからない生物です。


 どうするのでしょう?と眺めていたら、護衛隊達が騒いでいました。

 たしかに敵対しないかもしれないのに、こちらから攻撃するのは、悪手でしょう。しかし、あんな目の前で騒がれたら、結局は敵対させてしまうのではないのでしょうか?


 でもこちらから見ている限り、ソラ様は攻撃してる素振りはありませんでした。どこかに行く素振りもありません。確かに不思議な生物だなっと思ってました。


 しかしお母様は、私と同じ不安を抱えたのか、それとも何かを見極めたかったのかわかりませんが、御輿を降りて、走り出しました。


 正直、女王が走る姿も奇跡だと思ってました。これは母様には内緒です。ふふっ。

 それにその姿を見て、私もソラ様を近くで見たいと思ってお母様を追いかけました。


 護衛隊長が何やら騒いでいましたが、お母様と少し話すと、お母様はまるで話が通じるかのようにソラ様に話しかけるでは無いですか。何故お母様は、あの時点で、言葉を理解してるとわかっていたのでしょうか、謎です。


 もう私はこの辺りから恐怖は消え、ドキドキ、ワクワクしてました。ソラ様は、ツノみたいなのがついてて、私が教えてもらった形状とは、違いましたが、そこからさらに手らしきものが護衛隊長に伸びてきました。


 本当なら警戒しなければいけないんでしょうけど、私はもう何をしてくれるのか?と思って見てました。

 すると驚きです、護衛隊長がソラ様の代弁を始めるではありませんか!

 ずるい、私もあとで教えてもらおうと思ったら、さらに驚くことに、触れさえすれば、誰でも話せると言うではありませんか!


 もう触れるしかありません。

 お母様の後ろから、みんなに咎められないようにそーっとソラ様に触れて声を掛けてみました。


 するとこちらを見て話してくれたんです。

 ソラ様は、柔らかくて、可愛くて、声がカッコよくて、私達を守ってくれて、これはもうずっと一緒にいたくなるのは仕方ないと思いませんか?


そのあとソラ様は、自由自在な体をお持ちなのに、空すら飛んで見せるのに、巣穴に入るのは怖いとか仰って、ホント可愛らしいでしょ。

 

 そうそう、これが一番嬉しかったのですが、ソラ様は巣穴に入ったら、私と同じくらいの大きさになったんです。もうこれは一緒に暮らすしかありませんよね!


 ソラ様には名前をつけてもらう約束もしました。

 明日からの旅が楽しみです。


 私は、今日、凄い奇跡の連続の日でした。


 でも、一つ気になっていることがあります。

 それはお母様です。


 お母様ちょっとソラ様と近くないですか?

 そう思いますよね?

 絶対お母様は、ソラ様を狙ってるよね!

 

 お母様は、もう女王で子供もたくさん居るんだから遠慮して欲しいんですけどー

 

 そもそも私は女王になる時にソラ様に守ってもらって二人旅するんだから。

 

 お母様は、もう外出れないんだし、ソラ様居なくてももう直ぐ拠点も完成するし、安全じゃん。


 なんとしても仲良くならなきゃ。

 

 …………

 

 ソラ様が、護衛の打ち合わせが終わって、護衛隊長と会議室から出てきた。

 

「ソラ様、少しお話ししませんか?」

 ソラ様は、外に行こうとしてたみたいだけど、足を止めて言ってくれました。

《ええ、私もお話をお伺いしたいと思ってました》


 やったー

 私は生まれてからの話、これからの話、たくさん話をしました。

 きっとこれで、少しは仲良くなれましたよね。


 二人でどこに行こうかなー。


 絶対楽しい旅になるよね。

 安心、安全だし。


 ソラ様を抱いたまま寝るのも良し、ソラ様の上で寝るのも良し、したいことが沢山あるわ。


 王女の務めは果たさなきゃいけないけど、早く女王の結婚飛行して、後は、ソラ様と二人きりの旅をするんだから!

 

予定よりだいぶ食いつきのいいキャラになってしまいました。


これで良かったのか……

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