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新米天使リラの恋  作者: 宮守 美妃
8/10

恋心

「リラ! リラ! しっかりしろ!」

 リラを抱えながらミカエルは叫ぶ。

――ミカエル様の呼ぶ声が聞こえる……。



 リラが目を覚ますとベッドに寝かされていた。紺色のベッドに紺色の家具。全体的に紺色で統一されたシンプルな部屋にいる。

 辺りを見渡しているとミカエルがやって来た。

「気がついたか?」

 ミカエルは安心した様子で安堵のため息をもらす。

「ミカエル様……私?」


「倒れたんだ。疲れが出たのかもしれないな」


「はい……」


――興奮しすぎもありそう……。


「ミカエル様、ごめんなさい」


「何がだ?」


「心配かけて……」

 リラは掛け布団をギュッと(つか)みうつむく。ミカエルは優しく微笑むとリラの入っているベッドに腰掛けた。


「心配するのは当然だろ?」


「え?」


「私は君が好きなんだ。心配するのは私の役目。決して迷惑ではないし、むしろ私の特権だと思うが、心配されるのは嫌か?」


「いいえ。嬉しいです」

 

「そうか。それなら良かった」

 ミカエルは微笑みながらリラの頭をゆっくりとなで、ふわりと抱きしめた。


――ミカエル様。また舞い上がりそう……。

 

 

 体調が回復したリラはミカエルに家まで送ってもらった。ミカエルが帰ると入れ違いで玄関の前にアランが現れた。


「リラ!」


「どうしたの?」


「倒れたって聞いて……」


「あ〜……うん。そうなんだよね……」


「大丈夫かよ?」


 とても心配そうな瞳をしている。

「うん、大丈夫。疲れが出たみたい」


「まあ、大変だったもんな」


「ところでジルはどうなったの?」


「ああ……悪魔に洗脳されてたからお咎とがめなしだって」


「そっかぁ……良かったー! ジル落ち込んでたし、天使取り消しになったら大変だもんね」


「ああ。なあ、リラ」

 真面目な顔をしてアランはリラを見つめる。

「ん?」


「お前さ、ミカエル様のこと……本気なのか?」


「え? うん」

 

 リラは頬を赤く染める。一瞬だけアランの瞳に哀しみの色がちらついたが、リラは気付かない。


「そっか。幸せになれよ」


「ありがとう! アラン!」

 リラは最高の笑みをアランに向けた。

“ミカエル様が相手じゃ敵わねーよ”とアランは密かにつぶやいた。




 あの日、何が起きたのか。

 ジルは皆と別れた後、1人塔の中へ入って行った。職人に用があり会いに行く所だった。誰もいない通路。突然頭が痛くなる。


「うっ!」


「この声が聞こえるか?」


 何者か分からない声が頭の中に響き渡る。


「くっ!」


「お前は今から言うことを聞くんだ」


「誰……だ?」


「知る必要はない。これからお前は卵を盗み捨てるんだ」


「嫌だ……出来……ない」


 ジルは頭を押さえ必死に抵抗する。


「聞け!」


「くっ!あああ!」


 頭が更にキリキリと締め付けられる。

 ジルは抵抗する力がなくなり、洗脳されてしまった。


「……分かりました」


「では、これから部屋へ移動させる」

 ジルは謎の人物により卵のある部屋へ瞬間移動させられた。


「卵を3つ持て」


「……はい」


 うつろな瞳のジルは、言われるままに卵を3つ抱える。


「よし。これを今から指示する場所へ捨てろ」


「はい」


 そうしてジルは洗脳されたまま卵を盗み、外の扉から出て瞬間移動させられ、日本列島と魔界に捨ててしまった。

 彼に指示したのは魔界の魔法使いだった。

 全ては部屋の中と外の扉から出てしまった為、見張りは何も気づかなかった。

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