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新米天使リラの恋  作者: 宮守 美妃
7/10

決着

 ギギギと木がきしむ音を立てながら扉は勝手に開いた。魔王は赤いカーペットの先にある王座に優雅に肘をかけ、座っていた。

 青白い肌に切れ長の瞳の恐ろしいほどに美しい男だった。


――ミカエル様の方がカッコいい!

 リラはそんなことを思っていた。

 卵は魔王の手元にある。ミカエルは決闘ではなくひとまず話し合おうとするが、リラは魔王の魅了の魔力にかかってしまう。魅了には異性を魅了させてしまう力がある。 

 リラはふらふらとした足取りで、魔王の元へ歩いて行く。ミカエルが止めようとしても無駄だった。


「リラ!」

 ミカエルはリラの手を掴むが、魔王の魔力のせいで進んで行ってしまう。リラは魔王へ近寄ると腕を伸ばし抱きつき、唇へキスをした。

「リラ! 止めろ! 魔王!」

 ミカエルは穏やかではいられなくなり、神の聖なる剣を取り出した。


 神の聖なる剣は神のエネルギーで出来ている。聖なる光そのものだ。ミカエルは魔王へ剣を一振りした。まばゆい閃光が走る。


「くっ!」


 少なからず魔王に届いたようだ。リラにも神のエネルギーが届いたお陰で、リラにかけられた魅了は解けた。リラはそのすきに(すみ)へ移動した。

 魔王は負けずにミカエルに呪いのエネルギーをぶつける。どす黒いエネルギーがミカエルを襲う。

「ミカエル様!」


「任せろ!」

 ミカエルは神のエネルギーで魔王の呪いを切り裂いた。そして魔王に再び神の光をぶつける。

「ぐあああ!」

 魔王は膝から崩れ落ち、床に両手を付いた。深手を負ったようだ。

「……私の……負けだ。ミカエル。とっととそれを持って消え失せろ!」


 リラは安心しミカエルに駆け寄った。

「ミカエル様!」


「リラ」


「良かったです! ミカエル様と卵が無事で」


「当然だ。私を誰だと思っている?」


「最強のミカエル様です!」


「そうだな、帰ろう」


「はい!」

 ふっと微笑むとミカエルはとリラの頭にポンッと触れた。



 天界へ戻った2人はガーデンに来ていた。  

 リラは元気がない。いくら魅了にかかっていたとはいえ、自分から魔王にキスしてしまったからだ。

 美しい花々が心地よい風に揺らされている。

「リラ?」


「はい……」


「どうした?」


「私……自分から魔王に……」


 ミカエルは突然リラを抱き寄せた。

「何も言うな。リラ、君は魅了にかかっていたんだ。君は悪くない! リラ、よく聞いてくれ。私はいつも君を見守っていた。これからは傍そばで守りたい。君が好きだ! 私と……付き合ってくれるか?」


「ミカエル様……」


――夢見たい……。ずっと憧れていたミカエル様が。

「嫌か?」

 リラは首を横に振る。

「いいえ、いいえ。私もミカエル様が……好きです。よろしくお願いします」


 リラは嬉しいあまり舞い上がり過ぎてくらくらして来た。


――あれ? 意識が……。


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