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新米天使リラの恋  作者: 宮守 美妃
6/10

魔界へ

「Tamago.buji.kakuho」


「良かったー! ん? Okinoerabu……?って書いてある」


 リラは安心して浮いたまま卵を抱え飛ぼうとした時、手が滑り卵を落としてしまった。


「あ!」


 そこへカラスが光り物めがけて飛んでくる。

「ダメー!」

 その瞬間、リラの目の前を金色の光が霞かすめた。


「ミカエル様!」

 ミカエルは無事に卵とカラスを抱えている。カラスに“お前が触れて良いモノではない!”と叱っている。ミカエルをはリラを見ると近寄って来た。小さくため息をつき、「気をつけてくれ」と優しく叱った。


「……ごめんなさい」

 しょんぼりしているリラに

「無事だったのだから大丈夫だ」と頭をなでた。


「残りは1つ。ここに調和の天使の卵がある。アランの所に希望の天使の卵。愛の天使の卵は……」


「あ!」


「どうした?」


「反応してます!」


「どこだ?」

 リラが持っている機器を覗き込むようにミカエルは、顔を寄せて来た。

――わっ。どうしよう! 近すぎて顔が熱くなって来た!


 リラが固まっているのもお構いなしに、ミカエルと共に覗き込んだ機器に映し出されたのは、日本列島ではなく、どんよりとした全体的に暗くて重い空気を感じる場所だった。

「魔界だ!」


 ミカエルは眉をしかめる。


「魔界?」


「ああ……リラ。君は危ないから天界に戻っていてくれ」


「え? 私も一緒に行きます!」


「駄目だ! 危険すぎる!」

 ミカエルの瞳は心配そうに揺れている。


「でも……何も出来ないかもしれないけど、私も卵を取り戻しに行きたいんです!」

 ミカエルはリラを見つめると諦めたような顔をした。

「……守っている余裕はないかもしれないぞ」


「はい!」


「分かった。共に行こう」


 2人は一度天界へ戻り卵を返したあと、魔界へ向かうことになった。


天界でガブリエル達4大天使に会い、魔界へ行くことを止められたがリラ達は2人で魔界へ行った。


 リラとミカエルは魔界へ辿り着いた。一瞬で魔王城へ瞬間移動をする。天界の者にとって魔王城はとても居心地が悪い。蜘蛛の巣が張っていて薄暗くじめじめして、体が重く感じる。ずっといたら気分が滅入りそうだ。


「大丈夫か? リラ」


「はい……ミカエル様は?」


「私は大丈夫だ」

 大天使程ともなるとパワーが強いため、魔界のエネルギーにはビクともしない。

 

 魔王城の中にはあまり魔界の者がいない。  

 時々悪魔がいるが、ミカエルの光に怯えている。魔王のいる部屋へすんなり辿り着くと、扉の中から声が聞こえた。


「ようこそ、天界の者達!」


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