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新米天使リラの恋  作者: 宮守 美妃
4/10

卵のゆくえ

 

翌日、ジルとアランにそのことを話した。

「良かったね。リラ」


「うん! ありがとう、ジル!」

“ヘヘへ”と照れ笑いをしていると、アランは不機嫌そうに眉をしかめている。


「どうしたの? アラン」


「別に」


「試験の結果、良くなかったの?」


「違うよ! ちょっとミカエル様と話したからって、浮かれてんなよ!」


「何よ! あ!」


 アランは講義室から出ていってしまう。

「もう! 何よ、あれ」


「うーん……多分、ヤキモチ」


「え?……アランもミカエル様と話したかったのかな?」


「え?」

 ジルは目を丸くしている。


「え? 何、ジル?」


「ううん、何でも……」


「まったく、素直じゃないんだから」


 “しょうがないわね“という空気を出しているリラをジルは、“しょうがないと言いたいのはこっちだよ“と言いたげな瞳で見つめていた。


 



 アランとリラは大天使ウリエルと共に天界のゲートに行き、地上へ向かう。天界の白いゲートをくぐるといわゆる天国があり、そのずっと下の方に地上がある。


「リラは日本列島の上半分を、アランは下半分を、頼めるな」


「はい!」

 2人は返事をする。



 天界から預かった手のひらサイズの四角い小型の通信機器で、卵の場所を探す。卵は天界のエネルギーを発している。機器に日本列島の映像が映し出され、エネルギーを発している場所を点滅させて知らせてくれる。


 リラとアランは別れて探し始める。

 リラは早速地上へ下りて行き、雲の上から機器を使ってみる。すると、点滅している所があった。

“Kamakura”と文字が出ている。


「Kamakura?」

 リラは首を傾げながら点滅している方向へ向かう。場所は大まかにしか分からないため、地上へ下りてからは手当たり次第になる。

 まず、山へ行き立派な黒い翼をつけた天狗に会った。

「すみませーん! この辺りで虹色の卵、見ませんでした?」


「いいや、天界の者か? 珍しいな。悪いな……この辺りにはないはずだ。そなたのようなエネルギーは感じないからな」

 天狗は漆黒の髪と瞳を持つ端正な顔をしていた。しかも若い。


「そうですか? ありがとうございます!」

 天狗は黒い翼を広げ、飛び去る。

――地上に来たばかりだもんね。簡単には見つからないよ。さぁ、次へ行こう!


 次にリラは海へ近づいてみる。穏やかな波に人間界独特の海の香り。天界に潮の香りはないから新鮮だ。おまけに海風が強くて飛ばされそうになるから、しっかり羽ばたかないと浮いていられない。

 そこへ人魚の少女が現れた。人魚は薄茶色の髪に白い肌、とてもチャーミングだ。


「こんにちはー!」

 リラは人魚に声をかける。

「こんにちは! 天使さん!」 


――わっ、可愛い!


「この辺りで虹色の卵を見ませんでしたか?」


「ごめんなさい! 見てないわ!」


 申し訳なさそうに人魚は肩をすくめる。


「そうですか……分かりました。ありがとうございます!」


「どういたしまして!」


 人魚はくるんと回転して海の中へ戻って行く。ぱしゃんと水しぶきをあげて気持ちの良い音が耳に残った。


――う〜ん……どうしよう、あとは……。

 その時、リラの瞳に一瞬虹色に光る何かが映った。

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