ぐされ
レビュー執筆日:2021/9/4
●サウンドの自由度が一気に増したが、もっと「キャッチーさ」が欲しい。
【収録曲】
1.胸の煙
2.正しくなれない
3.お勉強しといてよ
4.勘ぐれい
5.はう゛ぁ
6.機械油
7.暗く黒く
8.MILABO
9.ろんりねす
10.繰り返す収穫
11.過眠
12.低血ボルト
13.奥底に眠るルーツ
<ボーナストラック>
14.暗く黒く[Twin Piano Live ver.]
「ずっと真夜中でいいのに。」の2ndフルアルバム。前作の『潜潜話』においてはピアノを強調させた楽曲が多い印象があり、今作にも『はう゛ぁ』や『低血ボルト』のように前作の延長線上にある曲も収録されているのですが、今作ではそれ以外にも、ベースを強調させた歌謡ファンクの『勘ぐれい』、ラップと三味線の音が絡み合う『機械油』、シティポップ調の『ろんりねす』や浮遊感のあるスローなナンバーの『過眠』のような曲もあり、サウンドの自由度が一気に増したように感じられます。前作のレビューにおいて私は「曲のバリエーションが広がったらもっと面白くなりそうな気がする」と書きましたが、そういう点においては「面白くなった」作品と言えるでしょう。
ただ、やはり前作同様に「あえて文脈を無視したような歌詞」が気になるところはあります。語感を重視してそのようにしているのかもしれませんが、その割にはメロディとの結び付きがそこまで強いわけでもなく、バタバタと落ち着きの無い印象を受けるところも。また、アルバム後半になるとテンポを落として歌詞を聴き取りやすくした楽曲が増えてくるのですが、内容に関しては相変わらず「曖昧」な感じで、もっと分かりやすい表現をして欲しかったところもあります。まあ、そういう「どこかリスナーを煙に巻くような点」がある種の彼女達らしさと言えるのかもしれませんが。
もっとも、「ヤンキーヤンキーだ」(お勉強しといてよ)や「ぼんぼんぼらんぼんぼん」(勘ぐれい)のように耳に残りやすいフレーズもいくつかあり、個人的には、その点を更に強調させて一曲通してキャッチーなフレーズで埋め尽くすような楽曲を作ることができたら……なんて思ったりもします。そういう点での期待を込めて、この評価とさせていただきます。
評価:★★★★




