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聖なる歌声の守護人  作者: 桃花
8.アンデット討伐

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1.討伐依頼(ユリア)

 アスカとの電話を切った後もスマホを手にしたまま、ベッドの上から動けなかった。

 アスカが話してくれるって言っていたから、もしかしたらレイから連絡があるかもしれない。なんて、待っている自分がいる。


 ベッドの上で丸まっていると、勢いよく部屋の扉が開いた。慌てて飛び起きると、テルがイライラしながら部屋に入ってきた。


「あいつ。どうにかしろよ!」


「…あ、あいつ?」


「レイだよ!貸した俺の服を着たまま帰ったし、制服は部屋に忘れて行くし。因みに、スマホも置いて行ったからな」


 そう言いながら、レイのジャケットを投げ渡した。


「そう…なんだ!」


 電話に出てくれなかったのも、折り返しの連絡が無かったのも、そのせいだったんだと、安心して大きく息をついた。


「それなら私が届けに行くよ!!」


 レイに会いに行く口実が出来たと、受け取った制服をたたみ直した。


「今から行っても、アイツ寝てるから無理だぞ?」


「え…?」


「俺、今日の深夜からアンデット討伐依頼があったって話してたよな?国王陛下から連絡あったって…」


「そんな話聞いてないよ!」


「今言った。そこにレイ達も来るらしい。だから、会いたいならお前も来いよ」


「色々と話が見えないんだけど…」


「今夜のアンデット討伐は、主にレイスやスケルトン。弱い奴らだから、初参加でも大丈夫だって。この際、ユリアも一緒参加しろっていってた」


「…!私にも、依頼が来たの!?」


「ああ。もちろん受けたけど」


「何で勝手に受けるの!?」


 モンスターの討伐依頼は、養成校に入学したら来るって話は聞いていたけど、受けるかどうかは自分次第だって聞いていた。

 それなのに、何の心構えもないまま初出陣する事になるなんて。


「嫌ならこの家に国王陛下を呼んで2人で過ごすか?どっちがいい?」


「国王と二人きり…?」


「夜にユリアを1人っきりにするのは不安だって」


 確かにニュースでも言ってたっけ?アンデットやレイスが市街地に現れて、襲われる事件が多発してるって…。だから、夜間の外出は控えるように警報が出されてる。


「イーターの動きが活発になったのはここ最近…。親父達が、ザレスから逃げ出したのは約22年前。セイレーンの成熟期は20歳前後。ここまで言ったら、バカなお前でも分かるだろ?」


「…イーターが…私を探してるってこと?」


「まあ、そう考えるのが普通だよな」


 家に1人で居るのが危険ってことはわかるけど。もし、一人きりの時に襲われたら?そのことを危惧していることはわかる。


「でも、本来アンデットはイーターの手下だよね?」


「ユリアが力を使わなければいいだけの話だ。それに、そういう戦い方にも慣れておいた方がいい」


 ぐぅの音も出なかった。確かに私はいざとなったら『力』がある。そう思って戦っている節がある。

 それを国王にも、テルにも見抜かれてしまっていた。


「もしそうなら…テルが行かないって選択肢は…?」


「無理だ。もう引き受けたし。それに、討伐要請が多くてガーディアンの人員が不足してるらしい。養成校生徒の俺が1部隊任されてるくらいだしな」


 そういえば、最近は教官すら討伐に呼ばれているって聞いたことがある。

 そこまで切羽詰まっているとは思わなかったけど。かなりギリギリの人員でやっているんだ。


「まあ…。深夜の討伐だからこの機会を逃したら、レイに謝るタイミングも学校になるだろうな」


 確かに。明け方に終わってから、押しかけるのは迷惑だし。そう考えると、



「…アンデット討伐に行く」


「分かった。ユリアの分も給料は出るからな。足手まといになるならないように。準備はしっかり整えておけよ?」


 テルが言うことに大きく頷いた。そうと決まったら、今から準備をしなければいけない。

 初めての討伐依頼だけど、テルも一緒にいるなら心強いし、慣れていかないとガーディアン養成校に入学した意味も無くなってしまう。


 ガーディアン養成校では特進クラスの生徒に討伐依頼という形でモンスター討伐や見回りの話が来る。(みんなこれを、バイトと呼んでいる)


 誰でもいいというものから、名指しで指名の入る場合もある。

 一度呼ばれて、能力値が高いと認められたら直接指名しらしい。

 もちろん、レイはそっち側だって話を前に聞いたことがあった。

 シュウやアスカも指名で呼ばれてるって聞いてるけど、最近はテルも指名が来る。


(私の知らないところで数々の依頼をこなしていたそうだ)


 指名制度は知っていたけれど、その『指名』って国王からもありなことに驚いた。


(ガーディアンを統率する立場だから、指名するのも当然か)


 そんな事を考えながら準備をしていると、またテルが声をかけて来た。


「武器は国王陛下から貰った短剣にしておくように。アンデットだから、そっちの方が効くし。あと、分かってると思うけど、相手がイーターの場合は聖なる加護を受けた剣で心臓を貫くか、跡形もなく焼き尽くさないかぎり、倒せないからな」


「アンデットの討伐なのに、イーターもいるの?」


「有り得ないことじゃないだろ?不測の事態も予測して備えておいた方がいい。じゃあ、集合時間まで、少し寝ておけよ?」


「そうだね…。分かった!」


 そう応えて、しまっておいた武器をベッドの横に置いて眠りについた。

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