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聖なる歌声の守護人  作者: 桃花
プロローグ
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始まりの過去(後編)

 ガイアは、ミーナに用意された小舟でザレス国を出国した。漂流のすえミシアという島国に漂着した。

 ミーナから渡された僅かなお金と連絡先を握りしめて、エレン奪還の為に武器の調達へ向かった。


 そこでミシア国諜報員のジーナと出会った。女性のノーマル種族でありながら身体能力に優れており、暗器を使いこなす。

 ジーナは国王からの信頼も厚い諜報員だった。国からの指令でイーターの動きを探っている所だった。


ーーそんな時に、ふと立ち寄った武器屋でガイアと出会った。


 ジーナは、武器屋でお金がないと言ってた浮浪者のような青年を不審に思った。

 店主と青年の言い合いに耳を傾けたところ『ザレス国の実験施設から逃げてきた。全て終わったら必ず金を返しにくる』そう青年が呟いた。

 青年が気になったジーナは、すぐさま欲しがっていた『大剣』の代金を肩代わりして、青年から『ザレス国』の話を聞く事とした。


***


ガイアはジーナに自分の身に起こったことと、エレンを助け出したいと…それと、天使族の国ブルームンを目指していると話した。

 指令を受けていたジーナは協力する事を約束した。ミシア国はブルームン王国と同盟国だった。

 …ジーナはブルームンの王子イリヤと連絡の取れる仲だった。

 2人はブルームンへ行き、イリヤに直接協力を願った。イリヤはブルームンの時期国王として、イーターと戦う傭兵部隊を作ろうとしていた。

 ザレス国の内情を知っているガイアを引き入れる事は、イリヤにとっても本望だった。


 一同は、エレンの奪還とそれぞれの思惑を胸に再びザレス国へと向かうこととなる。

 強い味方を探していた際に、悪魔族の国『ニブルヘルム』に立ち寄った。そこで悪魔族の中でも魔王と呼ばれる魔力を誇るオスカに出会う。オスカはアンデットが苦手とする炎系を得意としていた。だが、イーターの事も、他の種族のことも自分にとってはどうでもいいと思っていた。

 どうにか仲間に引き入れたいイリヤと、面倒に巻き込まれたくないオスカで、本気の争いが起きそうになったのを自分の身を挺してジーナが止める。

 大火傷を負いつつ、オスカに暗器による致命傷を負わせたことで、オスカはジーナに惚れた。自分にこれ程までの傷を負わせたのは、ジーナが初めてだ!と言いながら、ジーナにまとわりつくようになった。

 こうして、4人でザレス国に乗り込むこととなった。


***


 その頃、ザレス国の研究所では…。

 ガイアが去った後も、出産を行ったエレンは急激に弱っていた。

 ガイアと定期的に連絡を取っていたミーナは、エレンが弱っていることを伝えた。

 ガイアは、近くに来ていることとエレンの状態を考慮して、明日すぐに正面突破で向かうと伝える。ガイアはミーナに、エレンの閉じ込められている研究室の部屋を開けることだけを頼んだ。

 しかし、ガイアを逃がしたことがイーターの王にバレてしまい、ミーナを喰い殺せと指令が下りた。


 ミーナはイーターの会話から妹は既に喰われてしまったことを知った。薄々気付いていた現実を突きつけられて泣き崩れた。

 そんなミーナを突き動かしたのは、エレンに対する罪悪感だった。約束した時間より早かったが戦う決意をした。自分が死んででもエレンを逃がす事を誓い、研究所へと急いだ。

 イーターは聖剣で心臓を貫くか、跡形もなくなるくらい燃やし尽くさない限りすぐに再生して、再び襲いかかってくる。ミーナの回復系の魔法は、イーターにとっては最大の攻撃になった。倒すまでは行かないが、致命傷を与えることはできた。襲いかかってきたイーターを倒し、エレンの元へ急いだ。何とか研究室に着くと、閉じ込められていたエレンを連れ出すことに成功した。

 イーターの援軍が来る前に逃げ出そうとしたが、イーターの再生も早く囲まれてしまった。ずっと部屋にこもり、出産を繰り返していたエレンの体力も持つか分からない状態だった。ミーナ自身も傷だらけで、魔法を使う体力も僅かになっていた。エレンは、ミーナに自分を置いて逃げて欲しいと言ったがミーナは首を縦には降らなかった。


 そこへ、ガイアとイリヤが現れた。ガイアはミーナからエレンを受け取ると、ブルームンで加護をうけた聖剣でイーター達をなぎ倒していった。もともと戦闘能力の高いガイアは、一撃で心臓を貫いていく。エレンを抱えて戦っているが、それを感じさせない。

 イリヤは純血の天使族であることからイーターは、触れることはできない。瀕死のミーナに回復魔法をかけようとするとミーナは辞めて欲しいと懇願した。妹を助ける為、エレンに実験を繰り返して傷つけたこと。結局妹も喰われていたこと…何も守れなかった罪悪感からここに残り死ぬと言ったのをイリヤに諌められた。抵抗する体力も残って無かったミーナは、イリヤに抱えられて研究所の出口へと向かった。


***


 ジーナとオスカは逃走路の確保のために、研究所から少しはなれた場所で待機していた。もしもの時の為にイリヤから聖なる加護を受けた暗器をもらっていた。ジーナはブルームンの国王軍と共に装甲車の中で。オスカは研究所の入り口で。共にガイア達を誘導する役となっていた。

 普通のイーターでは、この3人には歯が立たなかった。

だが、ザレス国王軍の隊長達は違った。多くの種族を喰らい、その種族の力を自分の物にした。ザレス国王軍に苦戦しながらもなんとか逃げ切る事に成功した。

 ガイア達により実験施設は破壊。ザレス国がある限り、この悲劇は続くと感じたイリヤはブルームン国軍の先頭に立ちザレス国の主要施設も全て破壊した。

 しかし、ロードの姿はいくら探しても見つからなかった。

 その後、イリヤはガイアとエレンに家を用意して、ザレス国を壊滅に追い込んだガイアとオスカをガーディアンとして迎え入れた。


 数年後、エレンとガイアには子供が産まれた。男女の双子だった。残り少ないセーレインの寿命を4人で幸せに暮らした。

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