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女神様に召喚されたけど、理由もチート能力も酷くて泣きそうです  作者: 杜槻 二花


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2/9

01 泉の間にて01

 そうしてやってきたルワンと言う異世界。

 空から振ってきた私は、ライトノベルのテンプレートで言うところの、“聖なる泉”に落とされた。


 ボッチャン!と。


 いや、こういうのは普通、泉の上にふわりと浮いて、私自身がふんわりと光り輝き、神子としての特異性を見せるものなのではないか、と心の中で思っていると、周囲からザワザワとした――困惑の声が聞こえる。


「いや……なんか……」

「しかしお告げが……」

「二人目だぞ?」

「それにしたって……」


 なんだろう、ザワザワは予定調和なのに、何故かその内容は予想外にネガティブ。


「……あの……、女神ハリアーフル様から遣わされた使徒様でいらっしゃいますでしょうか」

 周囲の声に囚われていると、泉の端から恐る恐ると言った、でも一応頑張って声を張り上げたらしい、大人になりきっていない少年の声が聞こえる。歳は十四歳くらいだろうか。


「あっ、はい。そうです……一応」


 その声に反応すると一層周囲のざわめきが強くなる。更にネガティブに。

「なんでハリアーフル様が……」

「イリシア様……の……だけでも……」

「混乱が……」

「……どなたを……」


「お名前をお伺いしても?」

 泉の端にいる少年は、硬直したように微動だにせず、こちらの名前を聞いてくる。


(あ、“クピド”って名乗って?)

 唐突に、頭の中へ響き渡る女神の声に、思わず叫んだ。


(うるさ)い!」

 なぜそんなクソ恥ずかしい名前を名乗らねばならん!


 泉の外側にいる人達が、一斉に押し黙った。

「あ、いや……そうじゃなくて」

 思わず出た言葉に対しての反応に(いささ)か罪悪感が募り、謝ろうと周囲に目を向け――、


 不躾(ぶしつけ)な目。

 胡乱(うろん)な物を見るような目。

 困惑の表情。

 誰一人近寄ろうとしない態度。


 わかりやすく歓迎されていないとわかる雰囲気を感じる。


 いや、女神の使徒だって判ってるのに、なんだろうこの違和感、すごくムカつく。

 こっちは泉に落ちてずぶ濡れだって言うのに、誰一人としてこちらに近寄ってこようとはしないし、心配する様子もない。

 そういや、人の名を聞くくせに自分たちの名や立場は明かしてこないな?こいつら。


 ……と、言うか貰った能力に『魅了(みりょう)(ライト)』ってなかったっけ?効いている気がしないんだけど、意識して使わないとダメ?使い方なんて聞いてないんだけど。

 と、思ったら、再度女神の声が頭の中に響き渡った。

(イリシアの愛し子が『魅了(みりょう)(ミドル)』を持っているせいね。でも、“愛の仲人(あなた)”がミドル以上持っていると、他者の恋を邪魔しちゃうのよねぇ……。だから、ここは自分で頑張って?)


 いや、フォローしろよ!


 今度は心の中だけで叫ぶも、女神様はうんともすんとも言わない。

 判っていたけれど、最初から最後まで自分の都合だけを押し通そうとする女神である。


 大きなため息をひとつつくと、 ザバリと泉から立ち上がって、彼らの方へと声を投げかける。

「とりあえず、泉から上がってからでいーい?寒くも冷たくもないけど、だからってずぶ濡れたままで喋らされるのも嫌なんだけど」

「あっ、はい、どうぞこちらに……お越しください」

 そう言った少年は、恐る恐るといった様子で、自分の近くへ手だけを招くように動かして誘導してくる。

 周囲の人々も立ち尽くしたまま、私の行動を見ているだけだった。

 濡れるのが嫌なのか、それとも泉に入っちゃいけないルールでもあるのか、誰も近寄ってこない様子を見て、再度ため息をついた。


 もう帰りたい。


お読みいただきましてありがとうございます。

続きが気になりましたら、追いかけていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] すごく続きが気になります〜!楽しみにしております! チートなのに理由と内容が思いのほかクソで笑いました。
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