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第9話 ついにクビ?

 私、南栗橋綾乃は都内の中小企業で働くOLだ。

 今日も今日とてテレワークを満喫する!


 とはいっても――


 この前は酷い目にあった……。

 取引先を巻き込むのはさすがにまずかったよなあ。


 でも……私の言い分も聞かないで勝手に電話を切っちゃう鈴木さんもどうかと思う。

 あのとき鈴木さんが勝手な思い込みをしなければ私は怒られずに済んだのに。

 

 そうだ! 私は悪くない! 悪いのは全部鈴木さんだ!

(※鈴木さんのせいにするな)


 しかしまあ、私も多少なりには反省している。

 今日もテレワークだけど、少し謙虚にサボろう。

(※仕事をしろ)


 そういやソシャゲがイベント中だったな……。

 よし、動画でも見ながら周回するか!


 

 ――プルルルルル、プルルルルル――


 

 あっ、社用携帯が鳴ってる。

 ……今度は間違えないぞ。


 それにしても誰だろ?

 せっかくイベント周回しようと意気込んでたところだったのに!

 しょうがない。出てあげるか。


「はい南栗橋です」


『綾乃ちゃん。お疲れ様』


 あっ、北越谷さんだ!

 ハゲ課長とかならテンションだだ下がりだけど、北越谷さんなら大歓迎だよ!


「お疲れ様です! なにかお仕事ですか?」


『う、ううん。そうじゃないんだけど……ええと……』


 ん? 仕事じゃない? ならどうして電話をかけてきたんだ?

 それになんか言いにくそうにしてるし……ってまさか!!!


 

 北越谷さん、私にクビを宣告しようとしているんじゃ⁉⁉⁉


 

 きっとそうだ! 

 鈴木さんを巻き込んだ件、お咎めは終わったと思ったけど、実はそう見せかけて処分を検討していたんだ!

 そしてクビが決まって、宣告係として北越谷さんにお鉢が回ってきたと!


 うわー最悪……。

 しかもよりにもよって憧れの北越谷さんから宣告されるなんて耐えられないよお!


『ちょっとお話したいことがあるから……ZOOM……いい?』


 ああ、やっぱり……。

 私はここで終わるんだ……。


「はい……大丈夫です……」


『じゃあ……私からかけるから……ZOOM起動して待ってて……』


「はい……」


 

 ――通話終了――


 

 ああ、私、とうとうクビになるんだ。

 キツいなあ……これからどうやって生活していこう……。

 プロゲーマーでも目指そうかなあ……。

(※この人は本気で言っています)


 ……いや、諦めるにはまだ早いかもしれない。

 

 スラム〇ンクの安〇先生だってそう言ってたじゃないか。

 諦めたらそこで試合終了だって。


 まだ、やれることはある!!!


 私はスーツに着替えた。


 

 ――ZOOM起動、通話開始――



『お疲れ様、綾乃ちゃん……ってええええええ⁉⁉⁉』


「今回はすいませんでしたあああああああ!!!!」


『ちょ、やめてよ土下座なんて!』


 そう、私は今、画面の前で一世一代の土下座を繰り出している。

 額をしっかりと押しつけ、低すぎる姿勢はもはや床と身体が一体化。

 

 これこそまさに……ユニークスキル発動!!!


 

  【五体投地(ごめんなさい)!】



「すいませんでした! なんでもするから許して下さい!」


『ちょ、だからやめてって。てかなんで綾乃ちゃんが謝ってるの⁉ 謝ろうと思ったのは私の方なのに!』


「すいませんでした! ……え?」


 私の方?

 

「どうして北越谷さんが謝るんですか?」


『えっと、あの、その……』


 相変わらず言いにくそうにしてる……。

 なにをそんなにやらかしたんだ……?


『この前、お酒の件で綾乃ちゃんを叱ったでしょ?』


 え? ………………あー、あったなあそんなことも。

(※忘れるな)


『あれ、自分でもちょっと叱りすぎてたと思うの。だから綾乃ちゃんもきっと気に病んでると思って』

(※そんなタマではない)


『ごめんなさい。もうちょっと冷静に、そして親身になってあげるべきだったね』


「い……いやいやいやいや、何言ってるんですか! あれは私が悪いですから! 北越谷さんが気にすることはないですよ!」


『ほ、ほんと? 気に病んでなかった?』


「全然です! むしろ叱って頂いて感謝しています!」


『そう、それならよかったあ』


 ほっ、なにかと思えばこんな話か。

 まさか北越谷さんが私を叱って罪悪感を抱いていたとは。繊細なんだなあ。

 

 それにしても……クビじゃなくて本当によかった……。


『今、こんな状況だから中々会えないでしょ。週に何回かは出社日があるけど、最近綾乃ちゃんと、かち合わないじゃん? だからZOOMでお話したの。突然ごめんね』


「大丈夫ですよ! 私は北越谷さんと話すの楽しいですから!」


『もう、綾乃ちゃんたら。……ところでさっき土下座して私に謝ってたけど、あれなんの話と勘違いしてたの?』


 うっ、痛いところをついてきた!


「え、えーと、それは……」


『もしかして……またテレワーク中にサボったの?』


「いや、まあ違うんですけど正しいといいますか、あくまでも原因であって問題はまた別といいますか、というかそもそも私じゃなくて鈴木さんが――」

(※この期に及んでまだ鈴木さんのせいにするか)


『……で、結局サボったんだね』


「は、はい……」


『もう綾乃ちゃん! めっ、だよ!』


 うわ! なんか子供みたいに叱られた!

 でも美人からこんな風に叱られたら、これはもはや一種のご褒美じゃん!

 でへへへ。


『そういやさっき、なんでもするから許して下さい!、って言ったよね』


「い、言いましたけど……」


『それなら綾乃ちゃんには罰を受けてもらいます。拒否することは許しません』


 ええ⁉ 

 

 い、いったいどんな罰なんだ?

 さっきみたいなご褒美系の罰なら嬉しいけど、立て続けにそれはないか……。

 焼きそばパン買ってこい、とかかな?


『今日、うちに来て』


 ……はい?


『ふ、ふたりっきりで、女子会がしたいな……』


 ……はいい⁉⁉⁉


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