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第4話 vs取引先

 私、南栗橋綾乃は都内の中小企業で働くOLだ。

 今日も今日とてテレワークを満喫する!


 ――プルルルルル、プルルルルル――


 社用携帯が鳴り出した。

 もう、せっかく今からゲームでもしようと思っていたのに。

 私の神聖なゲームタイムを邪魔するやつはどこのどいつだ!

 (※この人は業務中です)


 ――プルルルルル、プルルルルル――


 はあ、無視するわけにもいかないし……。

 しょうがない、出てやるか。

 (※この人は業務中です)


「はい、南栗橋です」


『お世話になっております。わたくし、株式会社ホワイトの鈴木と申します』


 ――げっ、取引先の人じゃん! 私になんの用だ?――


「お世話になっております。えーと、今日はどのような……」


『先日、新設する制御盤についてお打ち合わせさせて頂いた件ですけど』


 ――ああ、あれかあ!――


 今までろくに仕事をしてこなかったので説明が遅れたが、うちの会社は制御盤メーカーだ。

 私はそこで事務職をしている。


 え? 制御盤ってなにかって?


 ……私にもよくわからん!!!


 とりあえず難しい機械がいっぱい入っている大きな鉄の箱と思ってくれたらいいよ!

 私もそれくらいの知識で今まで乗り切ってきたから!

 (※この人は社会人です)


『南栗橋様とお打ち合わせの際、確認し忘れていたことがあるのですが今よろしいでしょうか?』


「は、はい……よろしいです……」


 なぜ事務職が客先と打ち合わせ?と思うかも知れないが、これは中小企業あるあるだ。

 万年人手不足だったり業務が細分化できていない中小企業では、自分の部門外の仕事を振られることが往々にしてある。

 

 この件も本来ならば営業さんと技術さんが打ち合わせに行くべきだったのだが、営業さんで手が空いている者が誰もおらず、仕方なく私が技術さんを連れて出向いたのだ。


 そ、それにしても……。

 よろしいです、だなんてつい安請け合いしちゃったけど私に答えられるかなあ……。


『ありがとうございます。では今回の仕様についてなのですが、ディストリビュータを使用するとありましたが、測温抵抗体を使った方がいいんじゃないかと思いましてね』


 ??????


 ディストリビュータ?


 なに? かっこいいけどなんかの必殺技?


『パルス入力回路ではなく4-20回路に着目して頂きたいのですが、これは冷却水ポンプからの信号を制御盤内のPLCに送るものでして――』


 ???????


 え? なに? この人さっきから何言ってるの? ちゃんと日本語話してる?


『ちなみにですが温度変換ユニットを取り付けてしまえばどうなるのでしょうか? あ、あと信号をポンプ盤に送り返してやる場合、アイソレータの使用も――』


 いやもう話についていけない! 無理! ギブアップ!

 これ以上私をいじめないで!!!


 はあ……打ち合わせのときは技術さんに全て任せていたもんな……。

 私は自分でも何書いてるかわからない議事録を取るのに必死だったし。


 というか鈴木さんも私じゃなく技術さんに電話してよ。

 馬鹿なのかこの人は?

 (※馬鹿はお前だ)


 よし、向こうがディストリビュータだのアイソレータだの必殺技を使っているんだ。

 それならこちらはユニークスキルで迎え撃つしかない!


(説明しよう、ユニークスキルとは? 南栗橋綾乃がたゆまぬ努力の末に得た、社会人としてなんとか生き残るための術なのだ!)


 ユニークスキル発動!!!


 【職務放棄(バトンタッチ)


「あー申し訳ございません。その件ならばより詳しい者が弊社にいますので、その者のお電話番号をお伝えしますね!」


『ああ、ありがとうございます』


「いえいえそれでは……090――」


  ~~~


 よし上手いこといった!

 やっぱり困ったときは職務放棄(バトンタッチ)に限るなあ。


 さーて危機は去ったしゲームでもするかな!

 

 

 なおその後、共に打ち合わせに行った技術さんが休暇で連絡つかず。

 結果他の技術さんが対応することになりましたが、その際『確認したいから議事録見せて』と。

 自分でも何書いてるのかわからない議事録を取った私は非常に焦り、誤魔化し、けれどもバレて……のちに叱られたことは言うまでもありません。

 めでたしめでたし。


投稿間隔が空いてしまいましたね……。

他の作品も連載中ですがこっちもこっちで頑張ります。


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