侍女のアンネ
ラジオ体操って夏休み感が凄いですよね笑
↑すごくどうでもいい。
少し前に起きて転生していることに気付いた私は……毎朝のラジオ体操を自分で歌いながら行っていた。
いつもの習慣とは変えられないのもで布団に潜っていたら体がソワソワしてしまった為、周りから見たらお医者様を呼ばれてしまうことも承知で踊っている。
なんというか、ギャップが凄い。
凄い美少女が歌いながらラジオ体操を踊る所を想像して欲しい。
物凄く変だと思う。
未だに自分の体だという実感がなく美少女が変なことしてるなーぐらいにしか思わない。
若くなったからか体も軽く、元気いっぱいという感じですこぶる調子がいい!
最後の深呼吸をしている最中に突然扉が開いた。
思わず目を見開き腕をあげた状態で固まってしまった。
「?????」
黒いシンプルなドレスに漫画とかの世界でしか見た事のないメイドのようなエプロンを着けたまさにメイド、という感じの綺麗な女の人?子?が困惑している。
そりゃ見た目は物凄く美少女の(おそらく)ハリエットが目を見開きながらよく分からない格好で固まっているのだから当たり前と言ったら当たり前か。しかも心做しか怯えているようにも見える。
これは悪いことをしてしまった。
「…おはようございます。ハリエット殿下。あの…どうなさいましたか?」
平常心を取り戻したメイドさんは改めて私の奇行について質問してきた。
「えっと、おはようございます。今のは体操をしていました?」
疑問形になってしまったのがさらに困惑を煽ったのか驚きで固まってしまっている。
「あの、えっとその…これはですね。健康を促進する画期的な体操でして決して怪しいものでは無いものなのでその…ごにょごにょ」
最後は何を言ったのか聞き取れなかったのか今度は焦っている。
私は別に焦って欲しい訳じゃないんだけど…
何とかしてこの恥ずかしい状況を抜け出したい!
「つかぬ事をお聞きしますが、貴方様のお名前は?」
敬語を使い慣れていない為若干おかしい気もするが意味は伝わるだろう。
とりあえず名前がわからなければ呼びようがない。
すると女の子はとても綺麗なカーテシーをして自己紹介をした。
「私の名前はアンネ・コルニーロフです。ハリエット殿下付き侍女に昨日からなりました。どうぞよろしくお願い致します。」
私も負けずと対抗する。これはわたくしとでも言っておくべきか。
「では改めてわたくしはハリエット・ヴィサージュと申します。これから、アンネって呼んでもいい?」
礼は学校で習った一二三でした為アンネから見たら少し幼稚かもしれない。
カーテシーなんてどうやってやるのかすら分からないし、知っていたとしてもできる自信が無い。
すると我慢の限界だと言わんばかりにアンネが申し出た。
「ハリエット殿下。名前はどうぞハリエット殿下のお好きなようにお呼びくださいませ。ですが、どうか私に敬語を使うのはおやめ下さい。」
堅苦しいなぁ。どうしたものか
「わかった。ならアンネも敬語禁止ね!私の事はハリーでもハリエットでもアンネの好きな呼び方でいいわ!」
やっぱり年上に敬語を使われて自分はタメ口なんて居心地が悪い。
「それはなりません!殿下は一国の王女様なのですよ!恐れ多くてできません!」
えー、別にいいじゃないそれぐらい。頬を膨らませてジト目で見つめるとアンネはタジタジになった。
これは使える。心の中でほくそ笑みながら涙目を作った。
「…アンネは私のことが嫌いなの?」
美少女のうるうるビームを真正面から受けたアンネは言葉に詰まった。
「いえっ、決して殿下のことが嫌いなわけでは、その、周りの目もありますので…。」
ここでトドメだっ!!!
私は満面の笑みでこういった。
「なら誰にも文句を言われないように私が守るわ!」
こうして私はアンネとの勝負で勝利を勝ち取った!
ほぼ私が押し切る形だったのだが…
その後明らかに当初予定を大幅にオーバーしてしまったというアンネは急いで私の準備を済ませると朝食室へ案内してくれた。
うわぁー緊張する。
ここにいるのって王族でしょ?あのテレビとかでよく絶世の美の一族とか言われてる。
王族の特徴と言ったらなんと言ってもその人離れした美貌と蜂蜜色の瞳だ。
あぁぁぁぁぁもう帰りたい…
と思っている間に朝食室の扉が開いてしまう。
もういっそダッシュして逃げようかな…
「おはようございます。ハリエット様。」
美しすぎて眩しい笑顔で出迎えてくれたのは美しいという言葉が霞んでしまうほど、物凄く綺麗な女の人だった。
ピンクゴールドのふわふわとした腰まである長い髪をおろし、オレンジ色の瞳はまるで宝石を埋め込んだかのような美しさだった。
そんなことより早く挨拶を返さなくては!
「おはようございます。お母様。遅れてしまい申し訳ございません。」
このひとがお母様とかなんというか…ヤバい。
もう次元が違う。ハリエットも綺麗だけど大人の色気?とはこの事なのかと思わせられる。
その綺麗なお母様が驚きの表情で固まっている。
どうして?
「失礼かもしれませんが、本当にハリエット様ですか?」
?????
どういうこと?
するとお母様の後ろからこれまた恐ろしい程に美しい男性が出てきた。このひとがお父様か。
真っ赤なストレートの髪に蜂蜜色の瞳の美形男子。まさに中性的な顔。嗚呼もうやってられない。
「おはよう。ハリエット」
私のお父様ということは国王陛下…
これこそきちんと挨拶しなくては!
「おはようございます。お父様。遅れてしまい申し訳ございません。」
お父様もお母様同様驚きで固まっている。
なんで?私何かした?まさか何か失礼なことをっ?!
冷や汗が背中を伝う。
するとまた次はお父様の後ろから物凄く可愛い天使が舞い降りた。(※顔を出しただけ。)
ピンクゴールドの耳の下まであるふわふわな髪に長いまつ毛に縁取られた蜂蜜色の瞳の美少年が目の前に現れたのだ。
え、天使?
読んでいただきありがとうございます((●゜ν゜)