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転生したら王女でした。

拙い小説ですがよろしくお願い致します。



遥か遠い昔、ある美しい国に美しいお姫様がおりました。


太陽のように輝く赤毛に蜂蜜色の瞳のそれはそれは美しい姫でした。


美しい姫の名はハリエット。


ハリエットは心優しい姫で皆から愛されていました。


ある日平和だった国が終わりを迎えてしまうまでは。


突然の隣国の襲撃にそれまで平和だった美しい国は瞬く間に戦火に呑まれ面影も残さず、戦うことを嫌っていた国民は沢山犠牲になっていまいました。


そんな中ハリエットは1人だけ生き残ってしまいました。


お父様も、お母様も、大好きな姉弟も、仲良しなお友達もみんな、みんな戦火に呑まれ死んでしまいました。


ハリエットは涙が枯れるまで泣き続けました。


どうして戦うのか。


なぜ人を殺すのかが理解出来ずにひたすらに大好きな人達を殺した戦争を呪うことしか出来ませんでした。


ハリエットはすっかり痩せ細り美しかった肌も荒れてガサガサになっていました。


生きているのが疲れてしまったのです。


ついに力尽きたハリエットは倒れ込みました。


もう少しも歩けそうにありません。


すると目の前にとても綺麗な男の子が現れました。


この男の子はきっと天使さんで私はやっと大好きな人達のところに行けるのかと思ったハリエットはそのまま安心して眠りについてしまいました。



目覚めるととても大きくてふかふかなベッドの上でした。


ベッドの端には男の子が寄りかかって居眠りをしています。


ハリエットが起きたことに気づいた男の子は話しかけてきました。


「どうして倒れていたの?」


ハリエットは何も言いませんでした。


悲しみで声が出なくなってしまっていたのです。


男の子は言いました。


「君が言いたくないのなら何も聞かないよ。僕はレオンハルト。しばらくここでゆっくりするといい。」


ハリエットはレオンハルトの暖かい言葉に泣いてしまいました。


泣いている間静かに背を撫でてくれた優しいレオンハルトにハリエットはいつの間にか恋をしてしまったのです。


それから時は進みハリエットはレオンハルトと結婚して王妃になり2人のとても愛らしい子供に恵まれました。


ハリエットは幸せでした。


大好きな夫に子供たち。


命をかけても守ると誓った大切な家族。


この幸せな日々は長くは続きませんでした。


隣国から突然攻め込まれたのです。


夫である国王は戦場の最前線に駆り出されそれからしばらくして戦死の知らせが届きました。


ハリエットは泣き崩れました。


あの時止めていればと後悔ばかりが押し寄せます。


だけど今回は泣いているだけではいられません。


大切な幼い子供たちがいるのです。


レオンハルトが亡くなった今誰が子供たちや、国民を守るのだろうか。


王妃であるハリエットは神に祈りました。


自分の命と引き換えに戦争を止めて欲しいと。


何日も何日も眠らずに祈り続けました。


やがて戦争はレオンハルトが名誉の死で勝利を手にしました。


戦争が終わったと侍女がハリエットの元に知らせに行くとそこには慈悲深く微笑んだ王妃が息絶えていました。


王妃は本当に自分の命と引き換えに戦争を終わらせたのです。


こうしてこの王妃の話は国中に広がり後世へ語り継がれる話となりました。







「おしまいっ」


読み終えた絵本をパタンと閉じると周りから不満の声が上がった。


「もっとよんでよー!!」


「そのくにはそのあとどうなったのー?」


頬を膨らませて文句を言っている姿がすごく可愛い。


少し可哀想な話だから苦手かなと思ったけど気に入ってくれたようで何よりだ。


このお話は昔から伝わるこの国の王妃様のお話らしい。


実話かどうかは知らないが誰もが生まれてから1度は聞いたことのあるとてもポピュラーなものだ。


「この国はね、この後に絶対に戦争はしませんという決まりを作って世界一平和な国になったの。」


実際にこの国では戦争はしないという決まりがある。その決まり通りここ300年程は大きな戦いはなかったはずだ。


「せんせーはこのおはなしすき?」


「もちろん。私もこのお姫様みたいに優しい女の子に憧れていたんだよー。」


お姫様になりたいのは小さい時に大体の女の子が持つ夢だと思う。


私が乙女脳な訳では無い!


「せんせーはとってもやさしくてぼく大好き!!!」


「ありがとう。私もみんなのこと大好きよっ!!!」


可愛い子供たちを思いっきり抱きしめた。


とても幸せないつもどうりの日。


朝起きて職場である保育園に出勤して先生と慕ってくれる可愛い子供たちと沢山遊んで仕事をして家に帰って寝てまた起きる、といういつもどうりの日々。


同じことの繰り返しだけど何不自由ない暖かな毎日…のはずだった。


なんでこうなったのか。


目の前には鏡に映った太陽のように輝く赤毛に蜂蜜色の瞳の幼い少女。


私がしている動きに合わせて鏡の中の少女も動いている。


8~10歳だろうか?


将来美しく花開くだろうことが伺える整った顔立ち。


この特徴は御伽噺に出てくる王妃様の特徴とぴったり重なる。


物凄く嫌な予感がするけど、とりあえずその話は置いといて時を数時間ほど前に遡ろう。


私はいつもどうり家の玄関のドアを開けて保育園に向かおうとしていたはずだが玄関を開けてからの記憶がなく、気づいたらこの部屋のベッドで寝ていて、気づいたら小さくなっていた。


うーん…?なんで?


まさかこれは俗に言う異世界転生?!!


ずっと前に転生物にはまっていた友人から勧められたことがあった。


結局読まなかったがなんとなくならわかる。


何かしらのきっかけで違う世界に飛ばされてしまい困難を乗り越えるというものだった…と思う。


…そして大抵は元の世界に帰れない。


まさか本当にそんなことが起きるなんて。


これってもしかして私ハリエットになっちゃったの?


いや無理無理無理無理ッ!!


命をかけてまで国を守るなんて絶対に無理!!!


自分の身が可愛いのはしょうがないと思う。


保育園の子供たちが心配だけど問題ないだろう。


どうせ元の世界に戻れないなら絶対に死なないまま幸せになってやる!!!









この時私は忘れていた。


自分がこの国の姫になったということに…





読んでいただきありがとうございます。

ほのぼのした物語を目指します!

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