漫才『クリスマスプレゼント』
二人「どうも、よろしくお願いしまーす」
ボケ「いやあ、世間はすっかりクリスマス一色ですね」
ツッコミ「どこの時空で生きてるの? 俺のいるとことは違うみたいだけど」
ボケ「僕将来子供が出来たら、夜中にこっそり子供の部屋に忍び込んで、クリスマスプレゼントを枕元に置くのが夢なんですよね」
ツッコミ「ああ、確かにそれはお父さんの役目ですもんね」
ボケ「でも本番で失敗したら嫌だからさ、今からここで息子と娘にプレゼントを渡す予行演習するんで、ちょっとお前見ててもらってもいい?」
ツッコミ「随分気が早いな。まあ、いいけど」
ボケ「じゃあいくな。――よしよし、よく寝てるな。まったく、寝てる時は大人しいんだな、ハイパーストロングウォリアーは」
ツッコミ「息子の名前ハイパーストロングウォリアーっていうの!? キラキラネームここに極まったね!」
ボケ「ヨシコも、寝顔は可愛いな」
ツッコミ「娘の名前は普通なんだ!? 絶対長男でやり過ぎたと思ったんだろ!?」
ボケ「じゃあ、ハイパーストロングウォリアーのプレゼントは、『1/6スケールハイパーストロングウォリアーフィギュア』、と」
ツッコミ「本人のフィギュア!? 世界一いらないプレゼントだろ!?」
ボケ「で、ヨシコのプレゼントも、『1/6スケールハイパーストロングウォリアーフィギュア』、と」
ツッコミ「在庫処分か!? うっかり作り過ぎちゃったのかな!? ただの嫌がらせじゃねーか!」
ボケ「それにしても、いよいよハイパーストロングウォリアーも成人式か。感慨深いな」
ツッコミ「二十歳だった!? 二十歳で未だにクリスマスプレゼントもらってんの!?」
ボケ「そしてヨシコは来年ついに小学生。子供の成長は早いな」
ツッコミ「随分歳の離れた兄妹だな!? そして二十歳と六歳が同じ部屋で寝てんの!? いや、別にいいんだけどさ!」
ボケ「え? 何ですかお隣のスズキさん? ああ、スズキさんのお子さんは来年受験生ですか。大変ですね」
ツッコミ「何でスズキさんも一緒にいるの!? お隣さんと一緒にプレゼント渡しに来る父親聞いたことないけど!?」
ボケ「まあまあスズキさんも一杯どうですか。ビールくらいならいいでしょう」
ツッコミ「酒盛りが始まった!? 子供の部屋で何やってんの!? プレゼント置き終わったならさっさと出てけや!」
ボケ「え? 自分にはこの子達の顔を見る資格はない?……そんなこと言わないでくれよ。確かに君の苗字はスズキに変わったかもしれないけど、この子達も君の子供であることには変わらないんだからさ」
ツッコミ「お母さんだったの!? そして随分複雑なご家庭みたいね!?」
ボケ「ふふ、ひょっとしたら久しぶりに家族が揃ったこの空間こそが、サンタさんがくれたプレゼントだったのかもしれないね」
ツッコミ「良い話風にして誤魔化すな。もういいよ」
二人「どうも、ありがとうございましたー」