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だらけきった恋愛模様  作者: Sonnie
第一章
7/13

絵本と思い出の共有

新年明けましておめでとうございます。

新年最初の投稿です。

今年も「だら恋」を宜しくお願いします。

静かな空間


本来は心を穏やかにできる時間と場所であるはずなのに、シンは緊張していた。


「どうしたのシン?」

めいが心配そうに聞いてくる。


「いや、ここに来るの初めてだから変に緊張してしまって…」


今二人がいるのは近くの図書館。今そこで二人は勉強道具を持ち寄って勉強している。


「ここはそういう所なんだから変に意識しなくていいのよ。それよりも目の前の問題集に力注いで。」

そういい、めいは小説に目を戻した。


二人は今図書館で勉強していた。シンは図書館デートでもという不純な思いがあったが、めいがそれを許さなかった。


「これきついよ…」

シンは勉強している内容に苦言する。


「文句言わないの、それとも一緒の大学に行きたくないの?」

めいはむすっとしながらシンにいう。


シンが今解いているのは大学が認めているの共通英語試験の問題集だ。なぜこれを解いているかと言うと…


「推薦入試で取りやすくするために比較的得意な英語で点数稼ぎするのでしょ?」

「そうだけど…授業の英語と違うんだよ…」

「当り前よ、単語に関しては本場の人も知らないようなの出るんだから。」


今、彼らは同じ大学に行くため勉強をしている。というかめいは日本の場合は指定校推薦で行く予定なので特別問題はない。海外の大学にしても彼女は成績優秀なので大丈夫だ。


問題はシンだ。だらけるのは好きな事以外は普通の高校生である彼は勉強に苦労している。


幸い、めいがもし日本で受ける大学は推薦入試も多くあり、その中でも比較的だが、英語での入試が容易というデータがあった。

一応の他の試験勉強もしているが、日本に残る可能性が今では高いのでそこに推薦で入れるならそれに越した事はないという事で、英語に堪能なめいから教わりながら、推薦の評価の一つである共通英語試験の勉強をしている訳だ。


「部屋で勉強するとだらけるから、ここまで来ているのでしょうが」

ペシッ

そういい、めいはシンにデコピンをする。


「いたっ…」

「まだ目標の点数まで到達していないんだから、ほら書いた書いた」

英語の勉強方法は色々あるが、単語に関しては書き続けるのがベストだという事でシンは紙に分からない単語を書きまくっていた。


「はぁーーー」

シンはため息をつきながら勉強を再開させた。



それから特別なにもおらず、鉛筆の音とページのめくれる音だけが鳴っていた。



勉強を始めて2時間弱。

シンの手はもう痺れて動けなくなっていた。


「…少し休憩しよう…」

泣きそうな顔でシンはめいに懇願する。


「…15分だけよ…」

「有難う御座います。めい先生」

そういい、シンは机に倒れた。


そんな疲れ気味のシンを見ながらめいは思った。

(まぁ、最初より良くなってきているし、おそらくだけど推薦まではなんとか…)


実際にシンの英語の成績は上がっている。他の教科も含め、学校での成績は良くなっている。

基本だらけている彼だが、しっかりと勉強した分は身に着けていた。


そんな彼氏の少しの成長を心で喜びながら言う。

「ここじゃ迷惑だから、他の所で休もう」

少ないが、他にも図書館を利用している人はいる。


「了解」

シン達は共有の学習スペースで勉強をしていたので、他の所へ移ろうとした。


比較的広い図書館だが、あまり利用者は少ないのか、人はまばらだった。


めいとシンはどこか休める所がないかあたりを見渡す。


「休むなら中庭とかな?」

「うーんそうだな…」


すると、シンはある個所に目が留まった。


「…あそこがいいな」

そしてシンはその場所に向かった。


「え…でもここは…」


シンが向かったのは薄いピンク色の床で多くの薄い本がある。しかし純粋さを感じる場所だった。


「人いないし、ここなら休めそう」

と天井につるされている看板を見る


そこには絵本コーナーとポップな書体で書かれていた。


そこは小さい子供のためか、布の床でできており、段差があるため靴を脱いで上がるようだ。

今は誰もいなかった。


「ごろごろできるし、少しの休憩ならいいでしょ?」

「えぇ…じゃあ職員の人が注意してきたら移ろう」


少し、遠慮気味だっためいだが、この年で読む絵本というのも興味があったのでシンの意見に賛同する。


そして二人は絵本コーナーへ上がった。

そこには幼児のために、低い棚の中にびっしりと絵本や幼児向けの本があった。


「あ!ドラとゲコのドーナツ旅!これ小さい頃はよく読んでたなー」

「あっその絵本可愛い…」

「そうなんだよ、この絵が好きで読み始めたんだけど、話も良くてさ」


それから、二人は昔読んだ絵本を紹介し合った。


「この絵本のカレー美味しそうだったんだよな」

「ふふふ、シンたら絵本に食べ物ばっかり求めている」

「だって絵本なんだから当時見て面白いと思ったのが純粋にごはんだけだったんだよ。」


照れながらシンはいった。


「あっでも、雲のふとんとか絵本で出た時、こんな布団で寝たいなーと思ったりしていた。」

「え!その絵本読んでみたい」

「えーと確かこの行の…」


シンの番が終わったら、めいの番に移った。


「私は海外の絵本をよく読んでいたなー。このおなかすいた猫とか。」

「あっそれむかーし読んだけど、話が絵本なのに残酷なやつだよね。」

そういい、シンはめいの肩からのぞきながら言った。


「まぁ、最後は主人公の猫が食べ物を食べ過ぎて、おなかを裂ける描写があるけど、それが面白かったのよね。」

「…」

「なによ?」

「いえなんでも、絵本って時に残酷なの入れるけど良いのかな?トラウマにならない?」

「それを面白いと思う子供がいるのだからいいと思うよ?気持ちは分からなくもないけど…」


「じゃあ、仮にだよ?自分の子供に読ませる?」


シンがそういうとめいは黙って考え込んだ


そして次第に顔を赤くした。


(なんで顔が赤くなっているんだ?)

シンはめいの変化に疑問を持ったが、スルーした。



「/////…読ませないかな?」

(子供…今一番そうなる関係なのは…)


「でしょ?やっぱ絵本は読んでて笑顔にするのがいいよ。バッドエンドとかはそれこそアニメや漫画で良い気がする」

「…そうね」

めいが放心した状態でうなずく。


(ほんと、どうしたんだ、めい?)


そんな状態のめいを見ていたシンはだんだんといたずらをしたくなった。

(今日は少し厳しかったし、その復讐も兼ねて)


こてっ

シンはめいの肩に頭をおいた。


「ふにゃ…!!!」

めいはそれに驚いて、変な声を出す。


「…!ぷっ…」

そのあまりに変な声に、シンは笑いをこらえるのに苦労した。


「………」

ぽかぽかぽかぽかぽかぽか

恥ずかしさのあまり、めいはシンにパンチをお見舞いする。

少し痛い…


「わるいわるい…そんな驚くとは思わなくて」


「……」

ぽかぽかぽかぽかぽかぽか

まだ恥ずかしい気持ちがあるのか、パンチを続けるめい。


(可愛いけど、これは後に引きずるやつだ…)

内心笑いながらも、どう対処するか悩むシン。



「甘い物おごるから、それで勘弁して」


するとぴたっと止まった

(現金なやつめ…)


そして、めいは涙目になりながらシンを見て言う。


「虎屋の大福ね」

「うげ…いや、いいよ」

(高めの和菓子を注文された…でもここで文句言うと余計にすねるし…)


普段お金を使わない二人はこういう罰ゲーム的が高い出費になる。主にシンだけだが…


「よし、許してさしあげよう」

めいがまるでえっへんというような感じで言った。

「有難うございます」


そして、いつものようにコントをはさむ。


「そろそろ休憩終わりにしない?」

「そうだな、まぁ良い気晴らしになったね」

「うん、シンの昔を知れたみたいで嬉しかった」

「…そうだな」


意図せずこの絵本コーナーに来たが、絵本はおそらくだが人が最初に読む本だと思う。それを共有できるのはとても素晴らしい事なのではとシンは感じた。

こういう何気ない所でお互いの事を知るのも悪くないなと思うシン。

そして、またこういうのんびりとした時間をめいと一緒に過ごそうと決めたのだった。


ここまで読んで戴き有難うございました。

予告通りと言いますか、6話の最後の箇所が出てくるのが少し先になりました。

しばらくはこういう短編チックな話を書いて、シンとめいのキャラを掘り下げていけたらなと思います。


これからも「だら恋」の方を宜しくお願い致します。

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