表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だらけきった恋愛模様  作者: Sonnie
第一章
13/13

携帯と関係

長年未完状態ではありましたが、この度の更新で完結作品とさせていただきます。

区切りが悪い所で申し訳ありません。

何卒宜しくお願い致します。

相手を思う気持ち


相手に尽くすのが思いやり


相手と距離を置くのも思いやり


思いやりには決まった形がなく、どのような形にでもなる存在だ。


そんな事を一高校生が理解するのは難しい。


「え?…」


「だから…最近彼女の束縛がひどくてな、メールとか色々確認されんの」


「はぁ」


「で、見せないというと、浮気しているとかいうんだよ。どうすればいいんだよ」


「まぁ…思われているという事でいいんじゃない?」


シンは話し相手の同級生と共に昼食を戴いていた。


めいは別の女子達と今日はご飯だ。


その同級生は彼女持ちでどうやら色々と甘酸っぱい関係らしい。


「…そうはいうが、辛いぜ?いちいち他の女子とも遊ぶ時は事前に話さなきゃいけないし。」

「でも、好きなんだろ?」


「うーん、好きだけど…」


言外におそらくだが…愛しているわけではないと言いたいのだろう。


多くの高校生は付き合っていても、相手を愛しているのはごく少数だろう。


そもそも愛しているとは何か。


これも思いやりと同じで決まった形はないように思う。


「一人は楽だよなーシン」

「はは…まぁな」


今こうして話しているのも、基本彼は誰とも話さないからたまったものの発散のもあるのだろうとシンは思う。


そんな感じで午後は過ぎて、下校の時間になった。



めいとシンは同じバスで通っている。


待ち合わせはいつもバスの中。


二人掛けの席に一緒に座るか。空いていなければ、隣に立つ。


そこで自然と話す流れとなる。


今日はバスに人が少なかった事もあり、席に座れた。


「お疲れ」

「うん」


疲れたーといいながら、隣のシンの肩に頭を乗せるめい。


今日も学校のテンションで疲れたのだろう。


「お疲れ」


やめたらとか言わない。前のような関係ならいっただろうが、今は彼女の性格を理解しているし、何より彼女がしたいと思っているから止めない事にしているシン。


「そういえば、めいって俺の携帯とか見ないよな」


「え?」


めいは突然のシンの話題に反応する。


「昼の時にさ、彼女の束縛が激しい話をしてね。それでめいは違うなと思ったんだ。」


「だってさ?シンが友達少ないじゃん」


的を得た事を言うめい。それにぐさりとする心の声が聞こえたシン。


「ふふっ嘘嘘。別の理由よ」


いたずらに成功したようにめいは微笑んで言う。


「見る必要がないから。私達、お互いに秘密を持っているのよ?」


彼女は髪を耳にかけながらシンに言った。

シンはその容姿に少し胸をときめかせた。


「あなたが私の知っている事はあなたしか知らない。君が知っている私は君しか知らない。」


名言のようにめいは言う。


「これほど強い関係はないでしょ?」


めいは顔を赤らめて言った。


「…納得した。」

「でしょ。」


「めいが俺の事を信頼しているという事だな。がんばろ」

「なんでそう重く思うの!それは嫌だ重い女みたいじゃん!」


「実際…お前俺の事超好きだろ…」

「…いじわる」

「ありがと」



別に彼らの関係が正しいわけではない。


先程もいったように思いやりと愛には決まった形がない。


しかし、それとは裏腹に魅力的に人の目には映る。


どうして魅力に見えるのか。


魅力的に思うかどうかはどれだけ素直に生きているかだ。


自分の心を誤魔化して生きていると、彼らの関係がとても魅力的に見えるのでないか。


そして、それはシン自身も思っていた。


(このままがいいな)


このままの関係でこのままの関係でいる事の良さを知る。


そんな事をシンは感じながら帰りのバスをのんびりとめいと過ごした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




バス停で降りたシンとめいは同じ帰路を歩いていた。


まだ寒い時期。しかし、ここは外なので、あんまりべたべたしない事に二人はしている。


「今日は家にくる?」


シンが当たり前のように聞く。


「うーん…今日はいいかな、ほら最近行き過ぎているし。」

「別にうちのお母さんも弟も気にしていないよ」


「まぁ、そこは気を使わせてよ、てか一度もお父さんと会った事ないね」


シンのお父さんとこれまで一度もあっていない事に気が付く。


「あー、まぁ仕事で忙しいからな。」


「…」


「なんだ?」


「シンってお父さんに苦手?」


「いや、別に…そんな事は」


「それ苦手といっているのと同じ」


「…こんな性格だから合わないんだよ。親父はバリバリ働いているから。」


そう、シンとシンの父はあまり仲がよくない。喧嘩するわけではない。どこか…お互いに意固地になっているのだ。


「そうか、シンはお父さんと仲悪いんだ」


「いや、だから悪い訳では…」


「意外と近い人と距離って遠いよね」


「…」


反応に困る事を言うめい。


「まぁ、そうだな」


これは別に彼女に気を使ったわけではない。


ただ、シンにもその答えが分からなかったから、そう答えるしかなかったのだ。


その後は一言も離さず、分かれる場所まで一緒に歩いた。


それは珍しくシンは久しぶりにその通りで聞いていた犬の鳴き声を耳にしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 身近な人…特に親子関係は人間関係におけるラスボス…攻略が難しい人間関係…なのだそうです。とある心理カウンセラーさんの受け売りです。愛情や思い入れがあり、もともとの距離感が近い分だけ、子供が大…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ