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だらけきった恋愛模様  作者: Sonnie
第一章
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雪とかまくら

第十話です

「ねぇ!シン!雪だよ」


めいは部屋の窓から外を見ながら言った。


言われて外を見ると空か雪が降っていた。


「多いな…これ積もりそうだね」


雪は特別嫌いじゃないシン、なぜ好きかと言えば、部屋の中から見る雪は風情があって好きだからだが…


「積もったら外に行こう。」


めいはシンにいう。


「えー寒いだろ」


シンはあまり乗り気ではなかったので、やんわりと断り気味に言った。


「遊ぼう…」


めいはジト目でシンを見ながら言う。


こういう時、彼女側は色々な反応をすると思うが、めいはこのように無言に近い状態になり、俺に威圧みたいなものをしてくる。


怖くはない、むしろかわいいとすら思うが、毎回どういうのが正解なのか分からないので反応に困る。


前に連続で言う事を聞いたら、あんまり喜ばれなかった。おそらくだが、めいはこのジト目をしながらコミュニケーションを図っているのだろう。


なので、俺がイエスマンになるのがつまらなくて嫌だったんだろう。


女心めんどくさい…と思う。


まぁ、いやではないが…

女関係が少なかったシンからすれば、このようなやり取りは新鮮で悩みもするが、同時に楽しいとすら感じている。


「じゃあ、積もったらな、後俺に膝枕しろ」


ぶっきらぼうにいう。


普段は恥ずかしいのであまり膝枕してほしいとは言わない。

が、今回は雪の時に遊ぶことを出汁に注文をする。


めいは満面の笑みでいう。

「うん!」





翌日、雪は積もった。


それもかなり。


「こんなに積もるとは…」

こんな都会で膝まで積もるとかありえるのか?

地球温暖化による異常気象ではと懸念するシンだった。



「よーし!ではかまくらを作ろう!」

めいは元気にいう


「普通はこういう時は雪だるまとかじゃないの?」

シンはめいに言う


「そんなのつまらないし、何より私たちに一般のカップルの行動なんて今さらでしょ?」

「まぁな」


そろそろ付き合ってある程度経つが、定番の遊園地や水族館や旅行など行っていない。

99パーセントを俺の部屋で過ごしている。


「で?かまくらってどう作るの?」


「適当に雪を円状に積もらせていけばできるでしょ」


そういい、めいは雪を手にかき集めてはそれを円状において積もらせた。


俺もそれに習い、めいと同じ行動をする。




そして1時間程、単調な作業をした。



この間一切の会話なし。



匠もびっくりするぐらい、俺らはてきぱきとかまくらを作っていった。


ホント俺ら付き合っているのか?と思ってしまう。


もう少しきゃはうふふなのを期待したが…ここは外なのでめいがそんな事をするわけもなく、まるで雪に夢中な少年のように俺らは建てていった。


しかし、そんな作業のおかげで…


「…できた」

「あぁ」


お互い疲れたので大声を出せない。

でも、目の前に大の大人が入ってもできるぐらいのかまくらができたのは少し感動を覚える。


「よし…シン入ろう」

「えっ?二人で?」


男女の高校生で入るのはぎりぎりなサイズではとシンは思う。


「大丈夫、ちゃんと調節した。」

何か真剣に作っていると思ったが、そんな事を考えていたのか…


「先に入るから」

「分かった」


そういい、めいはかまくらの入り口に四つん這いになりながら入っていった。


「うん、大丈夫だよ。入って」


「OK」


シンも入る


頭にぶつかりそうなかまくらの入り口に気をつけながら、俺は中に入っていった。


中は意外と広かった。だが、どうしようとめいと俺の肩はぶつかる程だった。


俺らは体育座りで隣合わせに座っていた。


「はぁー」


めいが白い息を吐く。

それが俺の膝に当たる。


「氷の息吹」

何かめいは中二めいた事言う。



俺もそれに乗っかる。

「効果は?」

「眠くなる…とか?」


特に考えていなかったのだろう…戸惑う感じに答えるめい。


「じゃあ、寝るか」

そして俺はめいの肩に頭を乗っける。

ダウンをお互いに来ているので少し肩を寄り添う感じになったが、一応、頭をめいの肩に乗っける。


かまくらはある意味で室内なので、部屋のような行動をしてもめいは大丈夫だろう。

めいも特に嫌な顔をしないのでこのままべったりする。


そんなめいを見ていて俺は思った事を口にした。



「なんか、めいって雪女みたいだな」


「えっ…それは褒めてるの?」

めいは嫌な顔をして俺の事を見る


「褒めてるよ、ほら雪女って話では美人じゃん、大体ゲームとか漫画ででる雪女ってヒロインポジションが多いし」

一応、執着質な性格もめいみたいだとは言わない。

いったら、何されるか分かったもんじゃないし…



「でも、本家のお話って最後に雪女は雪になって溶けるじゃん」


「あー確か、助けた百姓の暖かい心に当てられてだっけ」


「そうだよ。せっかくその心を知る事が出来たのに、その心を知った事で溶けるのを可哀そうに感じたの覚えているわ。」

めいは悲しげに言った。


「ふーん」


俺は素っ気なくめいに答えた。


「ふーんって…」


俺はそういいうめいから頭を離した。

そして、そのままめいを俺の胸の中に抱きこんだ。


「ちょっ!」

めいは慌てたながらじたばたも、少しすると落ち着いたのか、胸の中で落ち着いた。


「うぅーー」

何この小動物、かわいいなとシンは不覚ながら思った。


「じゃあ、今めいは今溶けそうかな?」

「…うん」


「それは幸せな気持ちかな?」

俺はそうめいに言う。


「……」


少しの沈黙が流れた。


しかし、めいは答えた。


「ちょー幸せ」


「でしょ?だからめいは雪女みたいっていったの」


「溶かしたいと?」


「幸せになってほしいって事だよ」

めいの耳にそっと俺は言い聞かせた。


「たらし、すけこまし…ジゴロ」

めいはその言葉に対してやんわり拒絶した。



「なんかひどくない?」

めいにしか言えないし、こんなきざなセリフ。

それに言葉は嫌といいつつ、顔は先ほどよりも満面の笑みでいる。



もし、俺はめいと別れたら、どのくらい黒歴史を言われるか少し怖くなった。

まぁ、言ったものはしょうがないと深く考えない事にするシン。


「でも…シンの心臓の音心地が良いね」

そんなシンの事を気にせずに、めいはシンの胸に耳を傾ける。


「そりゃあどうも」


「なんか子守り歌みたい」

めいの耳にはそんな風に聞こえるのか、俺もめいに膝枕されると彼女の心音が遠くで聞こえるが、同じかなとシンは思った。


そういいながら俺らは少しの間、かまくらの中で二人の時間を過ごした。





その後、近所の子供が俺らのかまくらをみつけたので、慌てて出た。


その時「やーい、いちゃいちゃしてるー」など恥ずかしい事を言われたが、まぁ子供の言った事なのであんまり気にしなかった。



そのまま俺らはそれぞれの家へと帰った。

雪は冬でなくなるけど、俺らの関係はまだ続いてほしいと思う。


そんな事を二人、それぞれが考えながら今日の一日が終わるのだった。


ここまで読んで戴き有難うございます。


引き続き「だら恋」の方をよろしくお願いします。

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