だらけきった二人の高校生とその邂逅
読者の皆様、初めまして東屋です。
この作品は短編だったものを連載版として再投稿しています。
楽しんでいただけたり、キャラとの共感をしていただけたら嬉しいです。
浅野進はだらけるのが好きだ。
だらけながらアニメや漫画を堪能し、家に帰ればすぐに横になり寝そべっている。
通常よりも大きめのベッドで、今日も横になりながら、手に携帯を持ち、ネット小説を閲覧している。
彼の高校受験が終わった後、時間を持てあました事で踏み入れしまったこの駄世界。
最初は中々抜け出せずに将来を心配したが、辛うじて外面はしっかりできているので問題がない。
知っているのは家族だけだが、取り立てて問題も起こしていないので目を瞑ってもらっている。
そんな彼にも彼女ができた。
彼にはもったいないぐらい良い彼女だ。
名前は若狭 めい
容姿は短めの黒髪を腰まで伸ばして、細身のスタイルがいい体をしている。身長は俺よりも少し低いが女子にしては高い方。
学校では成績優秀、且つ運動神経も抜群で友達も多い。クラスには一人はいるクラスの人気者的存在。
何事も普通の域からでない彼とは遠い存在だ。
そんな彼女にも不満があったみたいで、それが彼との交際に至った一因でもある。
彼女はアニメが好きだったが、アニメを見ている子が周りにおらず、また本人の周りのイメージとのギャップもあったので、その話題を学校でする事もなかった。
しかし、新入生のためにあるうちの高校の部活見学の時、同じクラスだったに進に声をかけてきた。
彼は驚いた。「ザ・普通」の高校生である彼にはクラスの人気者がなんの用事があるのだと。
しかし、話を聞いてみると、ただ単に同じクラスだったのを覚えていてくれて、話かけただけだった。
そして簡単な自己紹介をして、その場では軽い話程度にしか会話せず終わった。
それからクラスメイトという関係で話すようになって5か月。
その間に少しずつ彼女の事を知れた。
まず、お互いの家が近かったみたいで、よく帰り道で遭遇して話す機会が増えた。
そしてお互いが似た趣味を持っている事を知って、さらに仲が良くなった。
彼は漫画、彼女はアニメ。媒体が違えど、好きな作品が被っていたので彼らはすぐに意気投合した。
微妙に話題が違うので、お互いの話を聞くというスタンスにもなったのが良かったのだろう
この海賊漫画の展開や好きな話とか。
このロボアニメキャラはかっこいいとか。
……
しかし、だからといって進には付き合う気は毛頭になかった。
彼女を作ると家でのだらけきった生活が無くなるかもしれない。
高校では無難に過ごして、家ではだらけて過ごす。
これが彼の密かな目標であり、また、野望でもある。
もしもこの気持ちを共有できる相手がいれば、問題はない。しかし、それを知るために自ら話す方が広まるリスクがあるのでそれもしない。したくない。
ちなみに人気者の彼女とも基本的に帰り道でしか話していなかった。
そのため、学校では取り立てて俺が目立っている事もない。
そんなこんなで彼女と交際するのには現実的に考えても否定的。
しかし、そんな思いとは裏腹にめいの事は好ましく思っている。
学校で聞いた噂だが、野球部のキャプテンと仲がいいそうなので、是非とも良いスタートを切ってほしいものだ。
彼は思った、このまま学校では仲のいい男女の関係が一番良い。
しかし彼はそんな事を思っていたが、実はその五か月に彼女からのアプローチはいっぱいあった。その時の彼は色々こじらせていたので全く気づいていなかった。結果的に付き合う事になるが、付き合ってからその話題に触れて、彼は「気づかなかった」と答えた結果、彼女から腹パンをされた。
閑話休題
そんな地味な高校生活を続けていたある日、「家に遊びに行ってもいい?」とめいから言われた。原作の漫画を読みたいのだそうだ。
確かにその原作は50巻を超えるロングベストセラーなので、貸し借りするのには不便だ。
けれども、学校でも渡せたのでその点を言うと、とても残念な顔をされて「何回も渡してもらうのはお互いのめんどくさい」と一蹴された。そしてそのまま、次の週末に来る事が決まった。
この日が彼の高校生活が変わるとは思いもよらなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺こと浅野進は今とても緊張している。
仲の良い女子が漫画を借りに家へ訪れるのだ。
一応、来ること両親に報告したら、なぜか喜んでいた。
そして当日の朝に起きると、母が普段は使わないSNSで「お父さんと買い物に行ってくるね。夕方まで帰ってこないよ、がんば!」と謎のチャットを俺に残していた。
そんな母の助言?を無視し、お昼頃にめいはやってきた。
そのまま部屋に連れて、原作の漫画を紹介する。
「適当にくつろいで」といい、俺は彼女に座布団とお菓子を出した。
そのまま読むだろうと思い、ふと歩みをすすめる。
ここで俺は不覚にも彼女の対面にすわるわけでもなく、いつものようにベッドへ横になってしまった。
習慣というのは恐ろしい。
女の子が部屋にいる中、自分はベッドで横になる男子。
気まずいのではないかと思ったが、ここで彼女の前に座るとさらに気まずいだろう。
なので、俺はそのままいつものように寛ぐ事にした。
なるようになれ、と心から思った。
…
お互いに漫画を読んでいて、部屋には静かな時間が流れていた。
そんな雰囲気の中、ふと彼女は手に漫画を持って俺の方に歩いてきた。
「どうした」と俺は声をかけた。
しがし、彼がそう言うと同時に、めいは俺の横に倒れこんで横になったのだ。
肩は少しぶつかり、体温が少しずつ伝わってくる。
「私も横になって漫画読むのが好きです」
突然、そんな事をいうめい。
戸惑った俺は、なぜにめいがこんな行動をするのか考えた。
真っ先にでた答えはいつものようにいじられている説。
彼女との会話でもよくあるのだが、よく反応が面白いという理由でいじってくる。
同じ手すりに突然触れたり
肩を寄せてきたり
後、ここ1か月は、かなりの頻度を帰り道で遭遇して、俺を驚かしにいつもかかってきている。
そんな時は、めいの顔は決まって笑顔で、やられたこちら側も微笑んでしまう。
この行動はいつものそれだと思った。しかし、彼女の顔を伺ったがいつもと違った。
なんと言うか、見た目だけ述べるなら顔が赤くなっていた。
目も心なしか、ウルウルしており、真っすぐ俺の方を向いていた。
そこでいつものいじりではないと直感した。
そして、すぐに次の可能性がでた。しかしそれは避けていた答えだった。
だが俺は別に唐変木なアニメの男主人公キャラではない(後に腹パンされる男のセリフ)、そしてこれはもしかしなくても、そういう事なのかと流石の俺も確信する。
めいが俺の事を異性として意識していると。
…正直、そのフラグはどこにもなかったと俺は分析する。
俺とめいは仲は確かに良いが、それと好きは違うと思う。
何より彼女の事だ、男は色々選べるだろう。
しかし、明らかに彼女は俺の横にやってきた。顔を真っ赤にしてまで。
これで何も言わないのだから待っているという事なのか?
よく分からないが、そういうのは基本男から申し込むものなのだろうか?
では俺はなんて返事すればいい?
そんな考えを一瞬でする俺こと浅野進。
考えろ。
「私も横になって漫画読むの好きなんだよね」とはつまり俺のこの内面も認めているという事ととれるだろう。
なので、俺としては嬉しいし、いや凄く嬉しいし、その気持ちに答えたい。
何よりも俺にはある直感がきていた、この人だと。
そう、この生活を維持できる理想の彼女だという事に。
気づいたら言葉にしていた。
「めい、俺と付き合ってください」
再び静寂が流れる。
このムードもへたっくれもない。男女がベッドで横になりながら、男の方からの突然の告白。
言った直後のなんともいえない不安がくる
彼女はまだにも言わない。
それでも真っすぐに彼女を見る。
すると、顔は口を少し開けていて、少し間の抜けた表情なった。
断られるのか、でも真っすぐと目を見る。
そしてその表情が少しずつ変わっていく。
…笑顔に。
そして返事は来た。
「はい、こちらこそ不束者ですがよろしくお願い致します」
こうして俺とめいは付き合いが始まった。
その後、高校生活で色々あるのだがそれはまた別の話…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私こと、若狭めいはのんびりするのが好きだ。
しかし中学生の頃は部活と学業で忙しく、中々休みの日がなかった。
休みがあっても、私は誘われたら断れない性格で、よく友達と遊びに出かけていた。
勿論、それらの生活も楽しかったが、部屋でのんびりしたいというのもあった。できる事なら部屋で友達とお話でもしながら、のんびりするというのが彼女の夢だった。
そして高校へ入学して忙しくなる事は避けていこうと思った矢先、教師の強い勧めで生徒会に入らされ、容姿のせいか、周りからも声をかけられる始末。
陸上部はもう続けないと考えていたので、部活のない生活でいくらか中学よりも時間のある生活になったが、どうにも息抜きが足らない生活だった。
そんなある日、高校でできた友達と一緒に部活見学のツアーに参加させられた。
そこである男子と出会った。
浅野 進
私の彼氏になる男である。
正直に言うと特別注目する箇所は彼にはなかった。ただ一つを除いて。
それは彼が背負っていたカバンの中に、私の好きな恋愛アニメの漫画があったのだ。
あの時のツアーは退屈で、ろくに部活に目を回さずに周りを見ていたのを覚えている。
そして彼のバックの中身に気が付いて、彼に興味が湧いたのだ。
そんな偶然のような発見で、私は彼に声かけた。
しかし、そんな漫画で声をかけるのは、不審者以外のなんでもないので同じクラスという理由で声をかけた事にする。
人気者なので、そこらへんの会話スキルはお手の物だと自負している。
後は少しずつアニメの話ができるかどうか確認して、仲良くなろうと思っていた。
そしたら、不思議なことに帰り道も一緒で、どうやら最寄り駅が一緒だった。
私も乙女なので、少しだけ運命みたいなものを感じた。そして、さらに彼の事を気にするようになる。
その帰り道を利用して彼と話すようになった。そして彼の話していくうちに自覚する。
この人いいと。
みんなどこか私の事を特別視している。勿論、それで興味を持ってくれているのは嬉しいが同時に息苦しさを感じていた。そんな日常を過ごしていたからか、彼と趣味の話をしている時はすごく心が軽かった。
それが恋だと気づくのは早かった。
それからというものの、色々努力した。
同じ手すりに事故を装い、触れたりして意識してもらうようにしたり。
肩を寄せてにおいを嗅ぎにいったり。
後ここ1か月は彼のスケジュールを把握して会うにした、しかし、恥ずかしいのでどっきりを毎回仕掛けて恥ずかしい気持ちをなくしていた。
しかし、彼からのアプローチはなかった。
まさか私の事を異性として思っていないのか?ホモなのかな?と迷走したが、彼の好きな漫画を知っているので、それはないと断定した。
ちなみにシンが好きなジャンルは決めていないが、決まって話に黒髪の可愛いヒロインがいる。
そして色々と彼に仕掛けていくうちに、さらなる問題を見つけた。
それは彼氏を作るとのんびりする時間もなくなる事だ。
私としては水族館や遊園地とかではなく、彼の部屋とかでのんびり過ごしたい。
でも、そんな女子に彼は軽蔑をするのでないだろうか?
彼への思いとこの私の恋愛観を自覚してからというもの、私はその悩みを中学の頃からの友達に相談した。
眼鏡におさげをした私の友達はいう
「あなたなら男なんて自由にできるでしょ」
失礼な!
確かにシン以外の男子の方からは私のお願いを聞いてくれる事は多いよ!でもそれは彼らに下心があるから!
シンは逆にそういうのがないの!いや、正確に私が感じた事を言うと下心薄いのだと思う。
なぜだろう?欲が薄いのかな?
しかし、逆にエイちゃんのアドバイスはいいのではないかと感じる。
そもそも、私の願いを叶えるにはそれしかないのだ。
そうなると、交際後の主導権を握るために私の方か告白するは良くない。
惚れたら負けとはよくいう。人気者の立場上、色々と恋愛話は聞くが、大体告白された方がその交際の主導権を握っている事が多い。
なので、彼に私が意識していると気づかせ、そして告白してもらうのがベストだ。
そしてそれとなく、のんびりとした交際にすれば問題ない。だめなら解消すればいい…うぅ…できればしたくないけど…!
とりあえず、それで全て解決する!。
そんな事を考えた次の日に漫画の話題が出た。彼の家にある漫画を読みに行ける機会ができたのだ。チャンスだと思い、そのまま週末に行く約束をした。
最初は学校で渡すよって言われたけど、当然断った。この機会を逃すともう後がない気がした。
家なら誰もいないので、周りの目も気にせず、大胆な行動も取りやすい。
そこで彼に告白を促せばいいのだ!。
そうして少し興奮気味にシンの家に行く事が決まった日の夜。
私は友達に報告をした。
「順番、逆じゃない?」と言われた。
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私の家から歩いて20分程のマンション。
そこにシンとそのご家族は住んでいた。
緊張しながら、インターフォンを押す。
ピンポーン
少しして出てきた。
そして特別な事はなく、軽い挨拶をすませると彼の部屋へと案内された。
進の部屋は一般的な男子の部屋に多くの本棚がある部屋模様になっている。
その本棚は天井まであり、びっしりと漫画や小説があった。
彼曰く、乱読者で、漫画は勿論、他の文学作品といった小説も時間があれば読んでいるそうだ。
そして次に目を引くのはベッド。
キングサイズはあるのではないだろうか?
二人ぐらいは余裕で寝れそう…
そんな事を思っているうちに、彼から座布団を用意してもらい、例の原作漫画を渡してもらった。
どのタイミングで行動するか考えていたら、シンが予想外の行動をとった。
なんと私がいるにも関わらずベッドで横になって漫画を読み始めた。
私は男女問わずに友達の家に遊びにいったが、ベッドに座る事はあれどベッドに横になりましてや漫画を読むというのは中々ずれた行為ではないだろうか?
今まで気づかなかったが、進はどうやら家ではなまけものの性格らしい。
彼の事を意識しておいてなんだが、懸念事項であった外出もこれならないのではないかな?
それなら心配事であった交際後の外出も彼とならないのではないのだろうか?
いい、とてもいいではないかシン。
しかも彼氏ができた事でそれを理由に他の誘いも断る事もしやすい。
というか私の中でシンの評価が高かったのでが天井知らずになっている。
確かに非常識な行為をしている目の前の思い人だが、これはもしかすると私にとっていい事ずくめなのでは?
のんびりとした交際。
それは密かにめいが思っていた、理想の男女関係。
目の前に、その可能性を秘めた男がいる。
しかし、問題はどう告白されるかだ。
でもそれはすぐに思い至った。
まず、なぜ、彼がこれまで私のアプローチに気づかなかったのかだが、もしかしたら私と同じくのんびりとした交際しかしたくなかったのではないのでろうか?
そして私はそういう一面を出していない。むしろ積極的にお茶に誘っていたので、それが彼の中で告白を止めていたのでは?
それが理由なら後は簡単だ。
私も彼と同じ行為をすればいい!
…
それはつまり彼の横で寝るという事だ…
うぅ…いざ行動に移すとなると、緊張が走る。
前日の私の興奮はどこにいったのやら。
…いや…少しだけ時間をおこう。この原作も面白いし、時間をおいての突然の方がアピールにもなる。なると思う!
そして、静かな時間が流れる。
そこで私は行動に移した。
する事はいたってシンプル。
彼の横に寝て、漫画を読む。
流石にこれで私の事を意識するだろう。
そして慌てた所を落ち着かせて、告白しろアピール(目力)で解決だ。
今思えば、この時の私はかなりアホな子の考えだったが、告白までのプランを1時間で考えて、頭がどうかしていたのだと思う。
しかしそんな勢いで任せて私は彼の方へ向かい、横になった。
気まずい時間が流れる。
彼の体温を感じる。
そして静かな時間に居た堪れなくなり、言う。
「私も横になって漫画読むの好きなんだよね」
これは思わず言っていた。
横で漫画を読む行為は、実はした事なかったので、嘘になる。でも、何か言わなきゃと、つい言葉が出てしまった。
そして横になって分かった事がある。
彼のベッド…というかにおいと温もり。
それに気が付いたため、次にはもう顔が赤くなっている事に気が付いた。
…
そして当のシンはまだ何も言ってこない。
もう言葉が出なくなっていた私は、とりあえず目で訴えた。
…
しばらくの間、静かな時間が流れた。
返事が来ないという事は、断りの理由を考えているのではと思ってしまった。
もうだめかな?とこの静かな時間に何度思った事か。
ここまでやってだめなら、いっそ清々しい。
そしてそう思うと、目から涙が出そうになる。
今思えば、私の生活は不自由な生活だ。
学校はもちろん、家でもいい子として生活させられ、ほしい彼氏にも断られようとしている。
そして、私の中で諦めかけた瞬間。
彼から返事がきた。
「めい、俺と付き合ってください」
……………
………。
…
多分、長い時間が流れていたと思う。
でも私には一瞬の時間だった。
「はい、よろしくお願いします」
すんなりと出てしまった。ほしかった言葉を不意に言われると、恥ずかしい気持ちの前に素直な言葉がでるって本当だ。
こうして、本人も驚く急展開だが、私とシンはめでたく付き合う事になった。
後でムード考えずにごめんと言われた。私はそういうは気しないから、あまり謝られた理由がよく分からなかった。
それよりも、彼と関係を築けた事が嬉しくてしょうがなかった。
付き合ってからというもの、もう彼の姿と声を見て聞いているだけで幸せになる。
この話友達にしたら良く分からない事を言われた。
「…ヤンデレか?」
好きな男子の姿や声を聞くのは勿論。彼の事をずっとお人形のようにだけたらと思うのは、乙女として普通なのではないだろうか?
しかも、彼はおそらく、唯一私の理想の交際を体現してくれる人だと思う。
一度みたアニメでそういう純愛ものがあり、自分の中でそのヒロインにすごく共感したので私もそうしたいな。
そのヒロインは他の主人公に言い寄る女を水面下で撃退していたが、流石にそこまではしない。私ならそのようにすらさせないのだから。
一応、念のためにシンの学校での交友関係も調べておこう。万が一、お邪魔虫がいたらそれはそれで対応しよう。
そういえば嬉しすぎて、肝心の事をシンから聞きそびれた。
でも、これから機会は多いだろうと思い、深くは考えないようにする。
ヤンデレこと若狭めいは浅野進と付き合う事になったのであった。
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あれからさらに1週間
こうして彼女持ちとなった俺はらぶらぶな関係の毎日となる…わけがなかった。
引き続き、学校では仲のいい友達のままだった。
それは家での堕落した生活を学校にもっていかないためだ。
あんな生活をしているが、学校でもお互いにべたべたしているのは絶対に悪影響が出る。
その分、週末は俺の家で一緒にいれる時は一緒に過ごすようにした。
今日も自慢の彼女が俺の脇腹を枕にして頭をのっけてる。
彼女の手には読みかけの漫画があり、ぱらぱらとめくっていた。
「しんー。 のどかわいたー、ペットボトル」
そういわれ、近くにあったボトルを彼女に渡す。
まだ1週間しか経っていないが、最初に彼女がびっくりしていたのが懐かしい。
彼女もベッドで横になる魅力に取りつかれてからというもの、この怠惰な生活から出られなくなったようだ。
彼女のすすめで良い枕も手に入れて、さらに快適になった。
交際関係としてどうなんだというのもあるかもしれないが、俺はどうなろうとこの交際スタイルを変える事はない。
これ程素晴らしい関係はないのだから。
そんな自画自賛をしていると、めいは漫画を読み終えたようで、近くの本棚に漫画を戻した。
そして俺の方に戻ると抱き着いてきた。
「しんー。しんー。しんー」
俺の名前を撫で声で呼んで、抱き着いてきた。
特に意味はないが、これは普段、彼女が俺にしたい事らしい。
外では才色兼備で通しているめい。クールなイメージが学校であるため、中々こういう行為は外でできないのだろう。
彼女曰く、外でしたいが、恥ずかしくてできないそうだ。
色々と尽くしてくれるめいは、俺の家にいる時だけ素直に甘えてくるので俺も嬉しい。
尽くされてばかりだと逆に気を遣うからね。
この前も夕食の食材持ってきて、料理して帰っていたからな。
例のまくらも彼女持ちで払ってもらっているし。
そのためにできるだけ俺の方からもめいには素直になろう。
そしてこのだらけきった関係を続けよう。
「めい」
「なに?」
「寝よ」
「うん」
ここまで読んで戴き有難うございました。
引き続き「だら恋」の方宜しくお願い致します。