街の教え 上
また忙しくなるかもしれないので、一週間ほど間が空くようになるかと思います!
ご容赦下さいませ!!
翌朝、堕王子を迎えに行ったら、既に扉の外で待っていた。うん、とても良い事なんだけどね?
直前までメイドさん口説いてなかったか?お前。
まぁ、いいや。
メイドさんは普通に立ち去っていったし。話しかけただけかも知れねぇからな。疑わしきは罰せず、だ。
「おはようございます。ジャクレイン様。」
「今日は何だ?」
ポーチから日程表を取り出し、渡す。
何でだろうね、堕王子顔はイケメンなんだよ。
ちょっと女性っぽい、甘いマスクって言うんだっけ?女装させてもバレな・・・るな。うん。女性にしては背が高すぎる。いや、でも体は細いし、ワンチャンあるか?
「・・・何だ、ジロジロと。」
「いえ、どうすればジャクレイン様のように背が伸びるのかと。」
「ふん、お前は小さいからな、特別に教えてやろう。牛乳を毎日飲み、早寝早起き、そして適度に動くことだ。」
・・・・・うん、も少し頭が良ければモテるだろうに。
いや、牛乳を飲むのは間違いではないけれどね?バランスの良い食事も欠かせないってことは忘れるなよ?
というか、意外と子供っぽいというか、ある意味真面目なのか?
「規則正しい生活は良いですね。健康は大切ですから。では、参りましょうか。」
門のところで付き添いの騎士と合流すれば、賑やかな街へと出る。
「二日間、街に滞在します。宿はギルドの一部屋をお借りしていますので、夜はギルドに向かいます。一通り見終わりました後は、ジャクレイン様の行きたい場所へどうぞ。あぁ、華店はなしです。」
不満そうな顔をする。
「公務という事をお忘れなきよう。」
大通りを中心に、街の流通経路、どこに人が集まるかを話しつつ、案内をしていく。
あちらこちら、何故こうなる?あれは?と質問が飛んできては、説明を重ねていく。まれに騎士からも質問がきた。
「塩の値段で国が見えるらしいが、本当か?」
「一概には言えませんね。闇市での塩の流通もありますし、領主達が隠し持つものもあります。国を塩で見るよりは、街の人々の様子や食事などを見た方が良いでしょう。常に貧困と病にさらされているのは彼等ですから。」
「あら、ジャック君。おはよう。」
「おはようございます。畑はどうですか?」
騎士を通じ、相談にのったケーキ屋の女将に挨拶をする。
「良い感じだよ。葉っぱを使った肥料にしただけで変わるもんだねぇ。あ、そうそう。試作品だけど、良かったら待っておいき。」
自作農地の野菜が成長不良で困っていたので、使う肥料を市販の物から腐葉土に変え、周期的に野菜を植えるよう促した。
まぁ、土への栄養と輪作をすすめた。
話を聞けば、ずっと同じ場所で同じ作物を育てていたようなので、土地が痩せるわけである。肥料を入れるのも良いが、栄養のある土を混ぜることも大切だろう。
堆肥は臭いがあるので、紹介だけにした。
渡されたオレンジ色のカップケーキ。
騎士と堕王子の分までいただいたので、渡しておいた。
「何だ?」
「変わった、色味ですね?」
「ニンジンなどを使った野菜のケーキです。子供を対象に、野菜を美味しく食べれるように、と考え出されたものですよ。」
野菜嫌いな旦那様や肉ばっかりな人のためでもあるんだけどね。言ったら頑なに食べないだろうから、黙っとく。
カップケーキは中々美味しい。
食べた時に、ふわっとニンジンの匂いと独特の甘みがきた。美味しいが、少し改良がいるかな?
果物を混ぜるように伝えてみよう。
「これは、美味しいですね。ほとんど野菜とは感じません。」
騎士から感嘆の声があがる。
彼は昔野菜嫌いだったそうで、親の工夫のすごさに感激していた。お母さんはいつの世も頑張っているよ。
「まずくはない。」
堕王子からの反応も好評だった。
街を歩いて行くにつれ、人が増えてくる。
堕王子がもみくちゃにされないよう、気を配りながら進めば、お腹の虫が鳴いた。
懐中時計を確認すれば、朝ごはんにはちょうど良い頃。
「ジャクレイン様、朝食のリクエストはございますか?」
「ここで一番うまいもの。」
「では『グラハム亭』のモーニングを。」
現在地に近く、ボリュームもあり、美味しいと評判のお店へ。情報はどちらかと言うとメイドさんからが多いね。
ちょっと小洒落た雰囲気のレストラン。
テラス席の丸テーブルを四人で囲み、モーニングを注文する。飲み物は各自好きなものを頼んだ。
堕王子と騎士達は紅茶でおれはコーヒー。
「コーヒーは好まれるのですか?」
少し年配の、老紳士のような騎士から尋ねられる。
んー、昔からコーヒーは好きなんだよなぁ。
「えぇ。豆にもよりますが、スッキリとした苦味はクセになりますし、頭が冴えるようなので。悩み事がある時や集中したい時にはよく飲んでいますね。」
ほうほう、と頷く騎士。
隣のまだ若い騎士が軽く拍手していた。
「すごいですね。自分は苦いのが苦手で、飲めないのですが。」
子供ですね、と己を卑下する。
「苦味が苦手なのは良いことですよ。苦味に反応できる、というのは、味を感知する力がそれだけ鋭い、ということですから。」
幼い子供がピーマンなどの苦いものが食べられないのは、舌にある味蕾の数が多く、様々な味を強く感知しているから。大人になるにつれ、味蕾は減少、鈍くなるため、苦いものも食べれるようになる。
炭酸や刺激物は味蕾を壊すらしいから、ジャンクやらに溢れたあの時代は、体に悪かっただろうなぁ。
ふわ、とスープの香りがして、スタッフさんが料理を運んできた。ワンプレートになっていて、ハンバーグ付きパスタにチーズパン、フレッシュサラダに果物、飲み物が乗っている。
パンはおかわり自由という破格のサービスだ。
「・・・この野菜、自家製か。」
「はい。街の食品を扱うお店の大半が自分の農地を持っていますし、契約した農家の方からも仕入れています。食材の新鮮さ、安全性が高ければ、美味しい食事を提供できますからね。農家の方が安定した収入を得るためでも、この制度を推奨しています。この店も、その制度を利用する一店で、サラダの野菜は全て自家製だそうです。」
元々、お店の経営者達はできる限り経費を抑えたいため、自作農地を持っていた。だが、作れる種類には限りがあり、どうしても店から買うと高くなる。
農家は野菜が収穫できても販売できず、困窮に苦しむ。
その改善として、先王から今の国王様に渡り、この制度を広めた。結果、契約された農家は定期的な納品により、安定した収入を得、お店は食材を安価に仕入れることができた。
農家はより長く契約してもらえるよう、美味しい食材、安全な食材を目指して頑張り、美味しい食材を美味しい料理へとお店も頑張る。
正直、これを考えついた国王様達はかなりすごい。
だってさ?この制度ってかなり近代化した社会でも使われてるもんだよ?発想力というか、目の付け所が素晴らしいよね。
美味しい食事を終え、支払いを済ませて店を出る。
お金は国王様から頂いたもので、堕王子の買い物にも使って良いと言われた。まぁ、私用の買い物に関しては、おれの財布から出すけど。
国のお金を浪費させてたまるかっての。
たとえ国王様の指示でも。
「昼食まで、何かなさりたいことはありますか?」
「・・・ギルドに。お前の仕事を見せろ。」
なーんで上から目線なんだか。
おれの仕事、仕事、ねぇ?
なんだか真剣そうな目だし、意識が変わりつつある、って期待して良いのかな?
ま、一仕事見せますか。
お金も手に入るから、ちょうど良いでしょう。
では、来週末にでもお会いしましょう。
(*`・ω・)ゞ




