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二十一日目~二十五日目

やはりこれはいい。すらりと書けるよ。

それはともかく少し話が動きます。

『二十一日目』


避難所に行く前にここを拠点化しようと考えた。

朝起きて目の前に奴らがいるという状態は非常によろしくない。

安全地帯を作るのだ。自分は襲われないが奴らがいないだけで安心できるのだから。


それに今日は避難所方面にいる奴らの数が多い。移動に問題はないが不審に思われる可能性がある。

冷静に考えて奴らの群れの中を通ってくるなんてありえないからだ。

そんなわけもあるので今日は拠点作りに精を出そう。



二階には奴らの姿は少ない。なので二階を拠点にする。

階段を封鎖して奴らが入ってこれないようにするつもりだ。

出入りは非常用の梯子を使えばいいだろう。

早速取り掛かる。





酷く時間がかかったがなんとか封鎖し終わった。

二階にオープンカフェがあって助かった。バリケードになる机や椅子には事欠かなかった。

武器になりそうな物もたくさんあった。

工事中のテナントの中に鉄パイプや工具がいくつかあった。それらはバリケードを作るのにも役立った。


ともあれこれでここは安全になった。←念のため二階に奴らが残ってないかもう一度調べておく。

一階には奴らが大勢いるのでセキュリティは万全。泥棒の心配もない。 心配するだけ無駄だとは思うが。


奴らがいないか調べ終わったら休もう。



探索中、二階に寝具店があるのを見つけた。とても喜ばしい。

ここには奴らは入って来てないようで少し埃っぽいことを除けば。

綺麗なベッドがあるなんて最高だ。


今夜はゆっくり休むとする。



・自分の状態

右目失明 あとで薬局を漁ろう。包帯や眼帯があるはずだ。

声の喪失 一人でいるときは気にならないのだが……。

記憶の欠如 戻る気配はない。

空腹感の喪失 今日はたくさん疲れたのに相変わらず腹は空かない。


・持ち物

物資は腐るほどある。

電波時計などを除けばなんでも揃うだろう。

だが物資が貴重なのは変わらない。いつまでこの状況が続くかわからない以上浪費は避けたい。



『二十二日目』


安心したからだろうか、起きたのは昼過ぎだった。寝過ぎだ。

とても久しぶりに食欲を感じた。相変わらず空腹は感じない。だけどなにか腹に入れておこう。そんな気分だ。

一階にはスーパーがある。まだ缶詰や日持ちするものぐらいはあるだろう。



食事を取っている時に町が騒がしいことに気づいた。生存者?それとも軍?

今日は様子見する。危険は犯したくない。

準備だけはしておく。



今までは何だかんだで余裕がなかったから気にしなかったが安全が確保できた今疑問が湧いてきた。

奴らはどうすれば死ぬのだろうか?

首を切ったり頭を破壊すれば死ぬのはわかってる。

それ以外に奴らを倒す方法はあるのだろうか。

どうすれば効果的に倒せるのか調べておけば今後生存者と行動を共にするときに役立つかもしれない。

運のいいことに銃ならある。ある程度だが弾もある。

練習がてら撃ってみることにする。

言い訳ではないが俺も男の子だ。銃に憧れる気持ちはあるのだ。



一通り全部の銃を撃ってみた。 反動で肩が痛い。

だが自分がどれだけ銃を使えるかもわかった。


アサルトライフル 構え方は知っていたのである程度は安定して撃てた。重いしこれを持っていたら探索どころではない。

軽機関銃 比較的軽いので持ち歩くのは楽。そのかわり反動が大きいので狙い撃つことはできなかった。

拳銃 反動はそこまでない。狙って撃つのは難しいが持ち歩くのは簡単。 満足に扱えそうなのはこれぐらいか。



結論

頭以外を撃っても効果は薄い。

怯ませることは十分可能。


また、どれも満足に扱えるとは言えない。かろうじで拳銃なら使えるのが救いか。

現実は漫画やアニメみたいにはいかないものだ。撃つだけならともかく狙って当てるのは非常に難しい。

それに銃の音は奴らを引き寄せるようだ。下手に撃てば危険。 ←襲われないので関係ないかも


だがなんにせよこんな状況では銃は大きな力になる。

なるべくなら扱えるようにしておきたい。もっと練習すれば話は別なのだが。 それだけの弾はない。無理だ。


ともかく護身用に持ち歩けるのは拳銃だけだ。まともに扱えないのでは持ち歩く意味もない。

それに拳銃以外の銃は目立つ。もし銃が良識ぶった大人に見つかれば笑えないことになる。

常識人の皮を被った大人たちはあの手この手で銃を奪おうとするだろう。

その大人が信用できるならともかく信用できない人間に銃を渡すのは御免だ。

それに下手に撃たれると破滅に繋がる。 自分は大丈夫だろうがもう仲間が死ぬのを見るのは嫌だ。

そう考えると銃の隠し場所も考え直したほうがいいかもしれない。



まだ日が落ちるまでには時間がある。探索ぐらいはできるだろう。

その前に優先事項をまとめておく。


・これからすること

缶詰などの保存食を集める。

それ以外の食べ物でまだ食べられるものを確保。

電力がまだ供給されているか確認。←自分の考えのとおり奴らが視覚に頼っているなら光が奴らを引き寄せるかもしれない。それも調べたい。

蝋燭、ライターやマッチ、懐中電灯に電池も探しておこう。



十分な成果を得られた。




・自分の状態

右目失明 薬局で替えの包帯や眼帯を見つけた。しばらくは困らない。

声の喪失 声の出し方すらも忘れてしまった。

記憶の欠如 今のところ問題なし

空腹感の喪失 食欲は感じたものの空腹感はなし。




『二十三日目』


昨日、一昨日と時間をかけたおかげでここでの生活基盤は整った。

肩の痛みがまだ残っているが問題はない。この分なら今日中に消えるだろう。

多くの奴らが避難所の方へ行ったみたいだ。

何があったのだろう?

待つのも限界だ。明日は改めて避難所に行ってみようと思う。


にしてもすっかり日記、というより記録?を書くのが癖になった。良いこと




避難所に行くにあたって持っていくものは選ばなければならない。

嗜好品や食料を持っていけばなにかと交換できるかもしれない。交渉の材料にもなる。

出来れば医薬品はあまり渡したくはない。


拳銃も持っていく。見つからないように弾倉を抜いて重ね着した服の間に隠しておく。

弾は少ないし、よほど標的の近くで撃たないと当たらないだろうから使うつもりはない。だが念のためだ。


最悪奴らの群れの中に逃げ込めばいい。

もちろん最終手段だがもっともうまく逃げる方法だ。



・自分の状態

右目失明 薬局で手に入れた眼帯を付けていく。包帯よりはいい。

声の喪失 最大の問題点

記憶の欠如 現状では問題なし

空腹感の喪失 変わらず。今日は食欲もわかなかった。



・持ち物

リュック

食料 三日分

水 三日分

サバイバルナイフ

タバコ

チョコレート

医薬品

拳銃

弾薬

鉄パイプ


医薬品や嗜好品はいずれも少量だけ持っていく。←奪われる可能性があるため。彼らが理性的であることを祈ろう。


今日は早めに寝て明日に備える。




正直に言えば避難所に行くのが怖い。

いや、正確にいうなら人と会うのが怖い。

いろいろ理由をつけて避難所に行かなかったのもそれが理由だ。

自分は奴らに襲われない。本当に自分が人間なのか不安になるときがある。

僕はまだ人間なのだろうか。他の人間が僕を見たときどんな反応をするだろうか。





避難所の方から爆発音が聞こえた。


何があった?



危険かもしれないが今から出発する。朝には避難所に着けるだろう。




『二十四日目』


避難所の中学校は酷い有り様だった。

本当に ここは地獄だ。


ひとまず体育館の中に入ったのたがここも悲惨なことになっていた。

死体と奴らの数が多い。中学校に避難していた人達のほとんどはここで寝泊まりしていたらしい。

出入り口が少なく狭いのが仇となったか。多くの人は逃げられなかったようだ。


他の場所の状態も書き記しておく。


校門は壊れていた。門を補強していたらしいバリケードも破壊されている。 人為的?

校庭では奴らが我が物顔でひきめきあい、死体を喰らっている。

死体はまだ新しい。死にたて(・・・・)だった。昨日の爆発が関係しているのだろうか?


今のところ生存者は見つからない。脱出できたのならいいのだが。

痕跡を見るに校舎の中にも逃げ込んだ人がいるようだ。探索してみる。



一階、二階の探索を終えたが校舎の中も酷いことになっていた。

体育館から逃げれて校庭で奴らに捕まらなかった人達が逃げ込んだらしい。

廊下にはいくつも死体が転がり、教室の扉は壊されていた。 生存者たちは教室に逃げ込んだが追い詰められて喰われていったのだろう。




ここが襲われたときに自分がいればなにかできただろうか?

恐れることなく避難所に向かっていれば間に合ったはずだ。

そうしていれば何人かは助けることができたかもしれない


考えるだけ無駄か。

上の階の探索をする。





ロッカーの中に隠れていた生存者を見つけた。女の子だ。

衰弱しているがまだ助かりそうだ。

助ける 絶対に




『二十五日目』



まだ女の子は目を覚まさない。

噛まれてはいないようだがそれよりも脱水症状と栄養失調が心配だ。


何度か栄養価の高い保存食を噛み砕いて水と一緒に少しずつ食べさせた。口移しになってしまったが緊急時なので許してほしい。

あとで謝ろう。


だがやはりこの子が目を覚まさないことにはどうすることもできない。

手当てをするにはここよりも医薬品や食料が多いショッピングモールのほうがいいが人一人を担いで奴らの群れを抜けるなんて出来やしない。

自分一人ならともかく女の子は襲われてしまう。ここから無事に逃げる方法も考えなければ。



女の子が一度目を覚ました。

最低限聞き出せたことはこの避難所が壊滅したのはつい先日であること。

避難所にいた生存者の多くは死んだが一部の人達が脱出に成功したこと。

彼女はどうにかここまで逃げてきてロッカーの中に隠れたがそこで気を失ってしまったこと。


しかしそのあと熱を出して気を失ってしまった。

疲労が溜まっていたのか。生きてる人間を見つけて気が抜けたのか。

なんにしても彼女を守らなければ。

まずは教室のドアを封鎖しよう。



夜になった。

まだ女の子の熱は下がらない。今は休ませるしかない。

水は多目に持ってきてあるし食べ物もある。薬はない。持ってくればよかった。


夜になる前に奴らがいないのを見計らって未探索の場所を見てきた。生き残りはいなかった。

彼女が唯一の生き残りのようだ。

中には友人もいただろう。辛いだろうな。



今は安全が確保されている。簡単なものだがバリケードは作ったし教室の外にいる奴らも大人しい。

でも眠る気にはなれない。

今日は寝ないで看病するつもりだ。


ヒロイン(仮)登場!

この子はたぶん死んだりしません。保証はないですけど。


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