十六日~二十日
やっぱぐだぐだ書けるのはいいねえ。
でもそろそろ恋物語や補佐日記も書きたい。
『十六日目』
昨日拠点が襲われた。
何人生き残ったのかはわからない。
少なくともヤンキー、キャット、スマイル、アーチャーは死んだ。
死体は拠点の中で発見。損傷がひどいので奴らになる恐れはない。
不明なのはキラー、ドクター、ビックボス、フットマン。
死体は見つからなかった。恐らくは生きているだろう。
彼らの無事を祈る。
自分に大きな怪我はない。
確認したところせいぜい切り傷や擦り傷だけだ。
なぜぼくはいきのこった?
『十七日目』
一日経って頭が冷えた。
昨日悩みに悩んだ結果を簡単に記せば、ある疑問の答えを得て、そして新たな疑問が増えた。
みんなの死体はメチャクチャに食い散らかされほとんど原型を留めていなかった。
死体が誰のものなのかがわかったのだって側に落ちていた服の残骸や持ち物を見たからだ。
つまり奴らは飢えている。餌があれば残らず食いつくしてしまう程度には。
だが自分は喰われなかった。
理由はわからない。見当もつかない。だがこれだけはわかった。
自分は奴らに襲われない。前からもしかしてと思っていたことは正しかった。
もしこの日記が誰かの手に渡り読まれたとしても冗談と受け取られそうな内容。だが事実だ。
『どうして』という疑問の答えはない。
もしかしたら失われた記憶の中にその答えがあるかもしれない。
だけど確率は高いが確証はない。取り戻す術もない。
なら忘れようと思う。
記憶を思い出す手がかりを探すとかそんなことをしている暇はない。
世界がこんなことになっても自分自身が人でなくなっていたとしても。
自分はまだ生きているのだから。
今やるべき事はみんなの埋葬。
たった数日だけだったが仲間だった。ならば死体を野晒しのままにはしておけない。
墓は無理かもしれないがせめて埋葬ぐらいしよう。
さようなら僕の友達
冥福を祈る
・自分の状態
右目に包帯を巻きなおした。
声の喪失。今更どうでもいい。
記憶の欠損。もう気にしない。
空腹感の鈍化。昨日改めて気づいたが鈍化ではなく喪失の可能性あり。
人目を気にする必要はもう無い。いろいろ試してみよう。
全身の細かな傷。切り傷や擦り傷。既に治りつつある。
怪我の治りが早い気がする。気のせいか?
『十八日目』
今日はここから出ようと思う。
みんなの埋葬も終わった。もう心残りはない。
その前に荷物の整理が必要。
自分の状態を考慮しつつ選別を行う。
まずは物資を集めることにする。
物資を集め終わった。
物資のほとんどが残っていたこともあって選びたい放題だった。
とはいってもそのすべてを持っていくことなど出来ないので必要なものを持ち他は置いていく。
食料は置いていくことにした。一応怪しまれないために少しだけ乾パンと水、それからビーフジャーキーにチョコレートを持っていく。
避難所で何かと交換できるかもしれない。
武器はサバイバルナイフを持っていくことにした。
鉄パイプは持っていかない。←リーチの意味が無い以上重くて不便なだけ。
アーチャーの弓は無事だった。が、自分には使えない。
そもそも矢がない。ほとんどが折れるか曲がってしまっている。無事なのをかき集めて十本あるかないかだ。
使わない、使えない装備はこの拠点にまとめて置いておくことにする。
その他にはライターとラジオも持っていく。電波時計も忘れない。
ノートとシャーペンの予備もまとめてリュックに入れた。
包帯などの医療品も少し持っていく。
あと必要なものはあっただろうか?
地図を見つけた。しかも丁寧にこの拠点の位置と避難所の位置、何らかの原因で通行できない道。そして奴らが多い地域に関するメモが書かれている。
これは疑いようもなく一番の収穫だ。
この筆跡はドクターのものだろう。というより彼女以外にこんなことをする人が思い浮かばなかった。
地図を見る限り無事な避難所はここからかなり離れたところにあるようだ。
近くにあった避難所は放棄されていた。
避難所方面の道は通行できなくなっている場所も多く遠回りは避けられない。たどり着くまでに最低でも一日はかかるだろう。
でもそれでも行ってみようと思う。
彼らが生きていたらきっと避難所に向かうと思うから。
今日はもう寝ることにする。
・自分の状態
右目に包帯。失明している。
声の喪失。一人なので問題なし。
記憶の欠如。 手掛かりになりうるが後回し。
空腹感の喪失。絶食二日目、問題なし。
全身の細かな傷。 完治した。やはり治りが早い。
・持ち物
水 二リットル
食料各種少量ずつ
ノートとシャーペン
リュック
サバイバルナイフ
ライター
手回し式ラジオ
電波時計
医療品
夜中に目が覚めた。
つい数日前まで他の人の寝息が聞こえてきたのに今は何も聞こえない。聞こえたとしてもそれは奴らが立てる音だ。
それに違和感を感じてしまう。
人との触れ合いをこんなにも恋しく思う日が来るなんて思いもしなかった。
彼らと合流する前は一人で過ごすことになんとも思わなかったが今はとても寂しい。
『十九日目』
・目標
拠点を出て避難所にいく
人が集まっている場所なら今世界がどうなっているかわかるかもしれない。
とりあえずは休憩を挟みながら避難所へ向かうことにする。
休憩一回目
襲われないとわかってはいるが奴らの隣を歩くのは精神的に良くない。
玉にだがふらふらと歩く奴らの中に知り合いの顔があったりもするので気が滅入る。
休憩二回目
予定していた道が通れなくなっていた。
誰かが強行突破でもしようとしたのか道の真ん中にトラックが倒れている。その廻りにも壊れた自動車が散乱している。無理をすれば通れなくもないが危険。
迂回する。
休憩三回目
比較的状態が良い民家を見つけた。居間に死体が転がっていることと玄関あたりに乾いて黒くなった血飛沫がべっとりついているに目をつぶれば寛げる場所だ。
暗くなってきたので今日はここで休むことにする。
少し家探しして使えるものがないか調べてみる。
成果はほとんどなかった。
武器になりそうなものはほとんどない。食べ物も少しだけしかない。
唯一と言っていい成果は替えの包帯を見つけたことぐらいか。
物資の成果がなかった代わり近くにショッピングモールがあるのを見つけた。
そういえば近くにあると友達が言っていた気がする。 彼は無事だろうか?
人が集まっていた商業施設。奴らの数も多いだろう。もしそうなら多くの物資が手付かずで残っているかもしれない。
明日はそこを目指すつもりだ。
・自分の状態
右目失明。包帯を巻いている。
声の喪失。一人なので問題なし。
記憶の欠如。手掛かりになりうるが後回し。
空腹感の喪失。もう4日ほど何も食べてないが依然体に異常なし。
・持ち物
水 二リットル
食料各種少量ずつ
ノートとシャーペン
リュック
サバイバルナイフ
ライター
手回し式ラジオ
電波時計
医療品
寝る前に手回し式ラジオに耳を傾けてみる。
雑音しか聞こえない。
わかりきってきたこと。それでももしかしたら、と思ってしまう。
今日はこの雑音を子守唄代わりにして寝ることにする。
もしかしたら、ラジオからなにか聞こえるかもしれないのだから。
『二十日目』
今日はショッピングモールに行く。
なにか役に立つものがあればいいのだが。
ショッピングモールについた。
今少し離れた場所から奴らの様子を窺っている。
奴らの数が多い。何人いるのかわからないが少なくとも百以上。ここで死んだ人が多いのか。
違うようだ。よく見れば制服や寝間着を着た奴が混じっている。
そいつらはなぜここに来た?なにかここには奴らを惹き付ける何かがあるのか?
ここで考えてもしかたがない。探索を開始する。
おかしい。ショッピングモールの中でいくつか死体を見つけたがそのほとんどが腐っていた。おそらく騒動の初期に死んだのだろう。
だが奴らに腐っている者はいない。ここにいる個体すべてが最近奴らになったわけではないはずだ。
奴らは腐らない? つまり生きてる?まさか
わからないわからないわからないわからない
更に奥に進んでみる。
いくつか気づいたことがある。
腐っていない死体のほとんどに小さな穴が開いていた。大きさから推測するに銃で撃たれたのだろうか。
銃といえば警察や自衛隊が思い浮かぶが違和感がある。
警察にしては撃ち殺された死体が多く、自衛隊にしては撃ち殺された死体が少ない。
武装した市民の集団とも考えられるがここはアメリカではなく日本だ。そんな映画みたいな行動ができる人間がどれほどいるのか。
考えれば考えるほど奇妙。
撃ち殺された死体がある方向に何かあるかもしれない。行ってみる。
撃ち殺された死体を辿っていくと黒ずくめの服を着た死体を発見した。
詳しくはない上ボロボロなのでよくわからないが映画なんかで見る特殊部隊のような格好をしていた。
死体の側に銃も落ちていた。確率は高い。
銃の種類はわからないが映画で兵士たちが使っていた銃に似ている。
たしかアサルトライフルだったか? 銃身が長いのでたぶんそう。
とりあえず銃は回収しておく。下手な人間に使われると危険。弾も貰っておく。
死体をさぐった際に弾のほかに拳銃を見つけた。これももらっておいた。
彼一人でここに来たとは思えない。探してみる。
結果
五体の特殊部隊と思われる人間の死体を発見。
↑隅々まで探したわけではないのでまだあるかも。
いずれも黒ずくめの戦闘服を着ていて銃を所持していた。
銃は三種類。アサルトライフルと拳銃のほかに銃身が短い銃もあった。 サブマシンガン?
また探し回る際にショッピングモールの見案内板を見つけたのでノートに書き写しておく。
暗くなってきた。今日はここで休む。
久しぶりになにか食べよう。ここにはまともな食事がある。
・自分の状態
右目失明。包帯を巻いている。
声の喪失。避難所で不安。
記憶の欠如。後回し。
空腹感の喪失。空腹は感じないが僅かながら食欲はあったらしい。なんとも言えない満足感があった。
・持ち物
水 二リットル
食料各種少量ずつ
ノートとシャーペン
リュック
サバイバルナイフ
ライター
手回し式ラジオ
電波時計
医療品
銃と弾薬 三種類
特殊部隊っぽい人達は日本人ではないだろう。海外から派遣されてきたと思われる。
つまり外国は無事?日本だけで起こっているのか?
だがそれなら一ヶ月経つのになぜなにも進展していないのか?
それとも自分が知らないところでなにかしら起こっているのか?
情報が必要。明日こそ避難所へ。
襲われないとわかっているとはいえ奴らがたくさんいる場所で寝るのは精神的によろしくない。
奴らがこない拠点がほしい。
そろそろ別視点書くためのヒロインとか出したいね。
出せるかなぁ・・・。