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四日目~六日目 +『血濡れの手帳』

ほんとさらっと書けていいわこれ。


『四日目』


今日は昨日書いた通り実験を行うつもりだ。

危険を伴うが行為だが二階にいたのはゾン× いやこの書き方はよろしくない。

ゾンビと書くとなんだか現実味がないのだ。なんとなく映画や漫画の世界の産物というイメージがあるからだろう。

なのでここでは『奴ら』と呼称することにする。


二階にいたのは一匹だけのようだった。奴らも移動しているため絶対とは言えないが一匹ならやりようがある。

幸いにして奴らの動きは鈍い。それは校庭にいる奴らの様子からも明らかだ。見つかって襲われたとしても昨日のように呆けたりしなければ問題はないと思われる。

十分に観察しつつ実験を行おうと思う。





実験は成功。何事もなく無事に教室に戻ってくることができた。

結論から書けば奴らは襲ってこなかった。

二階にいたのは昨日の奴一匹だけだったのですべての奴らが襲ってこないと断言できる訳ではないのだがひとまずこれで二階は安全だということがわかった。もっとも万が一に備えて警戒は欠かせないが。

それでも奴らを殺せるかどうかわからない現状でやり過ごせるとわかっただけでも大きな収穫だ。



一応実験の内容も書き記しておこう。

以下実験の対象となる個体を『彼女』と呼称する。(昨日遭遇した奴は女生徒だった)


まず彼女が音に反応するのかどうか調べた。試しに落ちていた空き缶を投げてみると音がした方向に視線を向けた後彼女はゆっくりと空き缶が落ちた場所へ向かっていった。

これらのことから聴覚と視覚を有していることはほぼ確実である。

またその後空き缶を拾い上げるといった行動もとったので少なからず知能が残っているのではないかと推測される。

その際の彼女の移動速度から有事の際でも動きは鈍いことも確認できた。これなら逃げることは容易い。


次に奴の目の前に姿を晒してみたが音を立てた時と違い特に反応はなかった。

前回の実験から視覚はあると思われるのだが……。

現状では理由を調べることは不可能。

未だ情報は少なく判断は難しい。


その後彼女と距離を取りつつ二階の探索をした。


・探索結果

美術室にて金槌を発見、家庭科室では調理器具を発見したが血がこびりついていたため放置した。

食料等の発見は出来なかった。

いくつかの死体を発見。内一つは比較的新しい。四階で見つけた死体とほぼ同時期に死亡したと思われる。

共通した特徴としていずれも損傷が激しく原型を留めていない。何かに喰われたのだと思われる。





正直わけがわからない。

奴らに襲われたと思われる死体。

自分を襲わない彼女。


矛盾



そう矛盾している。

何故?わからない。なぜ襲ってこない?



独力でこれ以上の情報収集は困難。=他の生存者との情報交換が必要。


・自分の状態

右目に包帯を巻いている。包帯も量は多くない。代わりを探すべきか。

声の喪失。戻る気配はない。

記憶の欠損。失った記憶に鍵があるのだろうか?

空腹感の鈍化。考え事をしていたら半日以上なにも食べていないことに気づいたが空腹感は感じず。鈍化ではなく欠如か?


・持ち物

食料 たくさん

水 まだ余裕はある

ノートとシャーペン

ナイフ

リュック

ライター

タバコ

タオル

サイフと現金少々

金槌


明日は一階に降りてみようと思う。

外に出なければ。




『五日目』


また発砲音が聞こえた。今度は三回。

距離はわからないがそう遠くないはずだ。うまくいけば合流できるかもしれない。彼らがそれまで生き残れることを祈る。


なので生存者たちと合流するのを当面の目標とすることした。彼らがどんな人間かはわからないがこのまま一人でいるよりはマシだ。


そう願いたい。


そのためにもまず学校から出なくてはならない。二階と一階の間にはバリケードごなかった。

奴らはいるのだろうか?恐怖はあるが行ってみなくては。




変わらず二階をさ迷う彼女をやり過ごし一階へ続く階段まで来た。

これから一階の探索をする。可能ならば外に出れるかどうかも調べたい。

封鎖されていなければいいのだが。



・探索結果

一階はバリケードが大量に設置されていた。

奴らが入って来ないように厳重に封鎖したのだろう。ほとんどの出入り口には近付くことすら出来なかった。

唯一封鎖が甘い玄関のドアはロープで硬く結ばれていてほどくのは難しい。ナイフで切るのも不可能かと思われる。無理をすればナイフが折れてしまうかもしれない。

ライターで焼ききるのは可能か? 試す価値有り。


一階に奴らの姿は確認できず。死体は複数発見。二階の死体と同様損傷が激しく原型を留めていない。損傷の少ない死体は発見できず。


教室に帰る途中二階の廊下に血濡れの手帳が落ちているのを発見。『彼女』の物か?後で内容を確認する。



手帳の内容によると奴らに噛まれると奴らの仲間入りしてしまうらしい。はっきりした原因はわからないがそういうものであるようだ。



損傷の少ない死体は奴らになったのだろうか? 可能性大


保健室にて医療品を発見。そのなかに眼帯があったので今後はそれを使用する。

一階にあった死体から電波時計を入手。ソーラー充電可能な最新型。ありがたい。



現在日時

9月26日 16時35分


自分の記憶にある最後の日付は7月18日。


およそ二ヶ月の空白。

その間自分は何を?




・自分の状態

右目に眼帯を着けた。

声の喪失。戻る気配はない。

記憶の欠損。少なくとも二ヶ月の空白。

空腹感の欠如。相変わらず。


・持ち物

食料 たくさん

水 余裕はある

ノートとシャーペン

ナイフ

リュック

ライター

タバコ

タオル

サイフと現金少々

金槌

電波時計

医療品 少量




眠れない






『六日目』



今日も発砲音が聞こえた。朝の7時ぐらいのことだ。

昨日よりも近い。この辺りは奴らが多いのだろうか?


昨日は色々考えてしまったせいで眠れなかった。そのせいで少し眠い。

もしかしたら疲れも溜まりはじめているのかもしれない。考えてみれば目を覚ましてからそろそろ一週間。ずっと緊張を維持していた。

この状況ではしかたないが近い内にしっかり休息を取らなければ倒れてしまうかもしれない。

明日はバリケードを直して休息に専念するか。昨日見つけた時計を使って大まかなスケジュールをたてるのもいいかもしれない。


今更だが食欲はなくても睡眠欲はあることに気づいた。不思議だ。



探索に出掛ける。




外に出るには玄関のドアのロープを何とかしなければならない。

試しにナイフで切ってみたがぐるぐる巻きにしてあってうまく切れなかった。無理矢理切ることも可能だろうがその場合はナイフが使い物にならなくなる可能性がある。

焼き切るにしてもただライターで炙ったのでは消費が激しい。これからを考えれば温存したい。

何かうまい手はないだろうか?



物を燃やすには油が必要。どこにある?

家庭科室にあるかもしれない。



二階にいる彼女は相変わらず襲ってこない。そろそろ見慣れてきた。




玄関のドアのロープを焼き切ることに成功。出入り口の確保ができた。

家庭科室にあった食用油をロープに染み込ませたのはうまくいった。これからは念のために少量持ち歩くべきか?たしか小さなペットボトルがあったはずだ。


探索範囲は広がったが無理は禁物。外の奴らは襲ってくるかもしれないのだ。

しばらくはここを拠点にして街の探索と生存者の捜索をしようと思う。



学校の中にいる間は気づかなかったがこれからの季節は制服の夏服では辛い。早めに衣服の調達をしなければ。

たしか近くに服屋があったはず。まずはそこを目指すことにする。



・自分の状態

右目に眼帯。包帯のように歩どけたりしないので便利。

声の喪失。戻る気配はない。生存者と会ったときが少々不安。

記憶の欠損。少なくとも二ヶ月の空白。

空腹感の欠如。 時間がわかるようになったので定期的に食事をするのが楽になった。

疲労。 溜まってきているかもしれない。休息が必要。


・持ち物

食料 まだある。

水 余裕はある。

ノートとシャーペン

ナイフ

リュック

ライター

タバコ

タオル

サイフと現金少々

金槌

電波時計

医療品 少量

油 少し







おまけ


『血濡れの手帳』


《ほとんどのページは血で汚れて読めない》


学校■■■■れたのは五人だけだった。

ほとんどの人はあいつ■■食べられてしまった。何人■は今頃あいつらの仲間にな■■いるかも。

私た■は協力してバリケードを作り■■ 君が持っていたロープでドアをしっかりと閉じた。

これであいつらは入っ■これない。出るときのことは考えなくていい。少なくとも今は。


高木君たちがあいつらがいないのを確認してくれたので私たちは二階で休むことになった。

疲れきっているせいか体が重い。みんなはすぐに眠ってしまったけれど私はどうしても眠れなかった。


これからどうなるのかな?たくさんいた仲間もほとんど死んでしまった。もう希望なんてない。

奴らに噛まれた所が痛くなってきた。でも言い出せない。だって怖いから。

もし噛まれてることがバレたら私は


《メモはここで途切れている》


おまけでは世界観を補完したり、本編には関係のないちょっとした遊び心をぶち込む予定です。

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