運命の決断と不名誉な二つ名の巻
ついにクライマックス。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆
どのぐらいの時間が過ぎただろう。
かたく閉じていた瞼が開く。
すると蜂蜜色の瞳が心配そうに見つめていた。
シェル……?
僕の後頭部に柔らかな温もりが広がっている。
太腿かな? 膝枕の感触がとても心地良い。
ゆったりと正座をしているシェルが悪戯っぽく僕のおでこを人差し指でチョンと突く。その仕草がとても愛らしい。
そして、僕を覗きこみながら可愛らしくドキドキするような笑みを浮かべて。
「アキト殿……目覚めたか……小生も驚きの仲睦まじい兄妹だな」
「あはは、そう言ってくれるシェルも僕の大切な義妹だろ」
「クククッ、そうであったな。だが、今の小生はアキト殿の嫁気分だぞ。お互い一糸まとわぬ姿で睦まじくしておるからな」
クスクス笑うシェルの頬がほんのりと桜色に染まる。
死ぬかもしれない危機が去ったとはいえ、この場で普段喋っている時と変わらない雰囲気をまとえるシェルは素晴らしい胆力の持ち主といえよう。
「ゆきなは?」
「すまぬ……小生が開放されたのも先ほど。ただ、口頭で伝言は預かっている」
「伝言?」
「ああっ、伝言は『ぶーぶーっ、一緒に帰らないお兄ちゃんなんて大嫌い。もう罪人じゃないのだから胸を張って生きるんだよ。人類が滅びて罪が発生しない世界にならないかぎり『神々の黄昏』の七つの世界は永遠に続くから、それに創造主の暇つぶしだし……ええっ、ひつまぶしが食べたくなったって、その時はすぐに連れて帰るから。大嫌いなお兄ちゃん、凄く愛しているよ』と言う事だ」
何ともゆきならしいよ。
とりあえず苦笑いを浮かべてみた。
壮大すぎる伝言話のオチがひつまぶしだった事にゆきなのセンスの無さを痛感してしまう。
今更ながら、僕が少し顔を上に向けると全裸で膝枕しているシェルのおっぱいが丸見えなのだ。
純情でウブすぎる僕は凄く恥ずかしくなりクルリッと寝返りを打つように向きを変えると……え、ええっ――っ!!
過剰に数えなくても一目でわかる、大きい恐竜のような野良神から小さい子リスのような野良神まで数十柱一堂がこちらに片膝をついて恭しく頭をさげている。
みなさまーどうしたのですかーっ!
「『排泄怪人うんこまみれ野郎』様」
とても厳かな男性の声が広い空間に響く。
些細な事? かもしれないが僕はその呼び名はいやだー!
そんな呼び名。
ああっ、今、息を殺したように『グフッ』とシェルの失笑シーン目撃。
これは高濃度の毒気たっぷりな嫌がらせだ。
「ここにいる72柱の罪神。これより身命にかけて『排泄怪人うんこまみれ野郎』様に従う事を誓います。我が真名はベルゼブブ。かつて蝿の王と呼ばれし罪神であり、この72柱の長にございます。これより西方地域『かぐやの箱舟』は改名されて『排泄怪人うんこまみれ野郎・アキトの箱舟』として末永く名誉を讃えます」
やめてくれー!
末永い嫌がらせの始まり宣言を受けた。
「アキト殿」
「ううっ?」
「家族がいっぱい増えましたね」
シェルは僕をぎゅーっと抱きしめた。
珊瑚色の髪がふわりと波打ち、信頼と愛情が溢れる蜂蜜色の瞳。
端整な相貌に宿る心底からの喜びが一際宿る明るい笑顔。
言葉では言い表せない感謝と愛情に包まれたハグが全てを物語ってくれた。
いかがでしたか?
僕は底にいるも残り一話。
続編を執筆するかは保留中です。
新作のたんぽぽ荘も頑張っております。
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