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始まりは終わりと始まり?

流れ流れさこんなになっちゃった系小説です、気楽に読んでください。

だから僕は底にいる      

                 かきくけ 虎龍

   ◆

僕は今、ダンジョンの底にいた。

「むはぁぁぁぁぁ! 大興奮なのですー!! 兄貴さん、みてみてくだしゃんせ。たっくさんの粗チンなのですーっ。卑猥な粗チン丸出し無修正の品のない奴らですー。歩く猥褻物ポコポコ罪なのですー」

「シロ、その発想が卑猥だぞ」

ダンジョン一面に蔓延るモンスターや野良神を指差してピコリと犬耳をはやした少女は歓喜をあげた。

その背丈は僕の小学校時代よりも小さいが……いかにもアホ丸出しの犬神シロは僕の立派なパートナーであり家族である。

「ムフフッ、我が愛しの旦那さま、ついにこのダンジョンの最下層ですわ。あの奥に鎮座する巨竜の先に旦那さまのご家族が囚われているのですね。私は旦那さまの為なら……そう、愛くるしいお尻の為なら命も惜しくない覚悟です。その証拠……この場でお見せいたします」

「むむーっ。得点稼ぎなのらー。満身創痍の(てい)でも恋する暗殺者のフレアルージュはやる気まんまん太郎なのですー! ふたなりはちがいまするなぁー」

「シロ、何と下賤な思考なのです。私は純粋にお風呂をがっつりと覗いて旦那様のプリプリお尻を見たい気持ちや今宵の夜這いという崇高な計画の為に今を全力で生きぬくだけなのです! ぽっ」

少しご機嫌そうにフレアルージュは銀鼠色のサラサラストレートを揺らすと口角をあげて綿菓子のようなふんわりとした笑みを僕に向けた。

そんな馬鹿話もここまでだ。


やがて、ダンジョン全域に蠢くモンスターや野良神がこちらに気付く。

噎せ返るような血の臭いを嗅ぎつけたように唾を飲み込んで歯を剥き出しにしている。

 

蔑んだ胡散臭げな咆哮が語っている……そう美味しい人間(にく)がやってきたと。


「クククッ……両手に華、義弟殿はモテモテだな……そのキュートなお尻のご相伴を拙者も預かりたいのだ。フレア……そう睨むな。可愛い顔が台無しだぞ。さて、残存兵力の全てを投入してこのダンジョンを攻略する。もう、退却するだけの戦力も残っていないからな」

 僕の隣にふらっと姿を見せた麗人サンタナが突然、僕のお尻を揉み揉みすると苦笑しながらダンジョン全域を見渡した。

こちらを完全包囲するモンスターと野良神は無尽蔵に湧き出るように増えていく。

「さて、お尻パワーも補充したことだし……奴らを殺るぞ」

圧倒的な数の差を目の前にして、これ以上ないほど孤立無援な戦いをしいられるがサンタナはそんな状況もまったく気にした様子もなく躊躇せずにどす黒く血の滴ったバックソードを掲げる。

 そのどす黒い血を纏った剣先が鈍く輝く。

「ではお先に行くぞ……義弟殿」

すると、サンタナが僕に優しい微笑みを置き土産にして強靭な脚力で大地を蹴り上げるとふわりとその体躯が宙を舞った。

その先はモンスターの蔓延る世界だ。

薄暗いダンジョンで鋭い牙を剥きだして生々しい呼吸を繰り返すモンスターの一団に飛び込んだ途端、深く光った剣尖がオークの喉元を抉り鮮血が乱舞した。


「グオォォォォォー」


その悲痛な断末魔が最終決戦の合図となる。

 わざと間合いを広くとっていた両軍が凄まじい咆哮や怒号とともに激突した。

「愛しています……旦那さま。どうかご武運を」

「ああっ、フレアルージュも生き延びろよ」

「ふふっ、愛する旦那さまとの初夜もまだですよ。今宵は剣技以外で刺しつ刺されつ……グフフ……」

 ウォーッ! フレアルージュ、ある意味モンスターよりも恐ろしい笑みだぞ。

そんな灼熱の吐息を吐き出すと漆黒の貫頭衣を翻して死の連鎖が響く闇のダンジョンに消えていく。

「むむーっ。兄貴さん、うちたちもトットコと行くのですー。この先からお尻ペロリストの義妹シェルの臭いがプンプンするのです!」


そう、この先に蛇神シェル・サーシェがいる。

大切な家族である僕と犬神シロを逃がす為に囚われの身になった蛇神シェルを助けるためにここまで来た。

大切な家族……それを結ぶ揺るぎない絆。

血と死骸と噎せ返る悪臭が散乱する殺伐な戦場を抜けたその先に大切な家族が待っている。だから僕は怖気づくこともなく足を進めた。


ぼやけた着地点を演出してみました。

なんとなく続きが読みたいなぁなんて思って頂ければ幸せです。

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