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ぷれしす  作者: みずきなな
七月
7/173

007 妹としての生活は厳しかった

「ん~朝か?」


 俺がベットの横の目覚ましを取ると、六時を指している。

 何だよ…まだ六時かよ…

 俺はもぞもぞと体をかく。するとむにゅりと柔らかい感触が手に伝わった。


「へっ?」


 俺は慌てて布団を捲ると、そこにあったのは妹のパジャマを着こんだ俺の体。

 そ、そうだ…俺は昨日、妹になっちまったんだった…

 寝ていて本気ですっかり忘れていた。が…まだ眠い。

 取りあえずマジで眠い。

 まぁ、妹になったという事実は事実。睡眠は睡眠。もう一回寝よう。

 そして俺は二度寝した。


「う~ん…良くねたぁ」


 俺は背伸びをすると布団から出た。そして、次に取った行動は姿見を見る事だ。何も変わらない。鏡の中に居たのは妹の綾香だった。

 やっぱり夢じゃないのか。俺は妹の綾香になっちまったのかよ…


 昨日の様に取り乱したりはしないが、気持ちは凹んでいる。

 俺は深い溜息をつきながらベッドに座った。そして顔を触ると…ベタってる?

 寝ていて汗をかいたのか? いや違う。それもあるけど、昨日は風呂に入ってないんだった。っていうか、風呂も入らねぇとかなんて汚いんだ俺!

 昨日は何気に綾香になったショックでお風呂も入らないで寝たんだったな。

 しかし、このきもちの悪いベタベタな感じは最低だな。よし…

 俺はバスタオルを片手にお風呂に向かった。


 階段を下りるとそこが玄関だ。

 正面には玄関。そして右手がリビングでキッチンとは繋がっている。そしてキッチンの横が洗面所だ。

 リビングに入るとキッチンで母さんが皿を片付けているのが見えた。


 俺はリビングの壁に掛けてある時計を見て驚いた。

 えっ!? 十四時? もう昼過ぎてるじゃないか!

 俺は二度寝でなんと八時間も寝ていたのだ。

 やばい…二度寝で寝すぎた…


「お、おはよう、母さん」


 俺は母さんに普通に挨拶をしてみる。


「あら、綾ちゃん、おはよう。昨日はよく眠れた? 眠れたわよね? もうこんな時間だし」


 そう言って笑顔を作る母さん。が、ちょっと苦笑だったりする。

 でも、どうやら昨日みたいなダメージはもう無いみたいだな。良かった。


「うん…ちょっと寝すぎちゃった」

「でも、本当によかったわ。お母さんね、綾ちゃんが死んじゃったかと思ってたの。本当に…もう…生きててよかったわ…」


 そう言うと母さんはまた目を手で覆い、泣き出してしまった。


「だ、大丈夫だよ! 泣かないでよ。ほら、俺は生きてるだろ?」


 母さんは泣きながら驚いた表情をで俺の方を見た。その瞬間、俺はしまったと気がつく。

 やばい、【俺】とか言ってしまった! っていうか、口調が素の俺だった!


「あ、綾ちゃん? 今…あれ?」


 あぁぁぁ! 俺は綾香なのに何をしてんだよ!

 自分で自分を責めても、今は後の祭り状態だ。

 あれだ。とりあえずは言い訳だろここは。容姿は綾香なんだからバレるなんて事は無いと思うしな。

 俺は慌てて言い訳を始める。


「あ、えっと、ごめんね。ちょっと私…記憶がおかしくなっちゃてるのかなぁ…あはは」


 なんて言い訳をした後に思いだした。

 俺は綾香は事故の後遺症で記憶喪失になった事にしようって、北本先生と話たんだった。


「えっ? 記憶がおかしいって? どういう事なの?」


 母さんはすごく驚いた表情で俺を見ている。


「うん…えっとね…所々の記憶がないの…」

「た、大変だわ! 病院にいかなきゃ!」


 母さんは慌ててエプロンを取るとキッチンから出て行こうとしている。

 ちょっとまって! 病院なんて行ったら俺が記憶喪失じゃないってバレる可能性があるんじゃないのか?

 俺は慌てて母さんを引き留める。


「ちょっと待って!」

「何で? 頭がおかしいんでしょ?」


 いや、その言い方だと…俺の場合は馬鹿なんでしょっ? て聞こえるんだけど…ってそれ所じゃない!


「大丈夫だって。私は大丈夫だよ! これはきっと一時的なものだと思うから、だってすごく怖かったんだもん。そのせいだと思うから、ほらお母さんの事だって覚えてるし! 大丈夫だから」

「ほ、本当に大丈夫なの?」

「うんっ! 大丈夫だよ。お兄ちゃんの事も、お父さんの事も、お母さんの事も覚えてるから」

「本当に?」

「もうっ、心配性だなぁ…ほらっ、大丈夫だって」


 俺は出来る限りの笑みを浮かべてみた。すると、母さんの心配そうな表情が緩む。


「そっか。そうね? 綾香には色々あったものね。なにより貴方が生きてるほうが大事よ…でも具合が悪かったりしたらすぐにお母さんに言ってね? 本当に貴方が心配なんだからね?」

「うん」


 母さんは納得した表情で俺を笑顔で見た。

 よかった…母さんがこういう性格で…助かった…


「本当に何かあったら言うのよ?」

「うん、わかったって」


 という事でこの場はなんとか凌げたらしい。


「それにしても…綾ちゃんって…男らしくなった?」

「へっ?」


 なっ? どういう意味だよ?


「口調…ちょっと逞しいっていうか…」


 えっ? 綾香ってこういう口調じゃなかったっけ? えっと…あれ? わ、わかんねぇ…


「そ、そうかな? じゃあ言語も記憶喪失で改変されたんだよ」


 何だよこの言い訳は…意味わかんねぇ…けど、


「そうなの? そっか」


 納得してくれたし。


「でも…せっかく綾ちゃんが戻ってきたのに…悟がね…もう…何で戻って来ないのかしら…」


 母さんはまた涙を浮かべた。というか、俺の事も心配してたんだ!


「大丈夫だよ! お兄ちゃんはきっと大丈夫だよ! 死んだ訳じゃないんでしょ? だったらきっと生きているよ! きっといつか私みたいに戻ってくるって」


 俺は両手を前でふりふりとしながら、母さんを説得というか、俺が大丈夫なアピールをした。現に俺はここで生きているから嘘じゃない。


「うん…そうよね…綾ちゃんが戻ってきたんだもんね…悟もきっと戻ってくるよね」

「そうだよ! 元気だしてよ、お母さん」

「ありがとうね、綾ちゃん…色々あったばかりなのに気遣いさせちゃったわね、お母さんもう大丈夫だからね」


 本当かよ…喜怒哀楽が激しいだけに心配だよな…

 しかし、もしも俺が悟だって知ったら、母さんはどういう顔をするんだろうな?

 すっごい驚くかな? いや、たぶん信じないんだろうな。

 俺の気が狂ったとでも言いそうだな…普通はそう思うよな…

 俺だって、こんな事態に巻き込まれてなきゃ信じてなかったと思うしな。


「あら? 綾ちゃんお風呂に入るの? お湯が入ってないわよ? 今から入れよっか?」


 母さんは俺の持っていたバスタオルに気がついた様だ。


「いや、いいよ、シャワーだけで」

「そう? それならいいけど…でも…」

「いいのいいの!」


 俺はそう言ってそそくさと脱衣所に入った。さて…入ったらまずは…

 俺はパジャマを脱ぐ為にボタンに手をかける。

 その時だった。俺はある事に気が付く。そう、それはこのボタンを外すとどうなるかという事。

 やばい…なんだかここにきて緊張し始めたぞ。だけど、脱がなきゃシャワーには入れないし、一生着替えないとか無理だしな…ここは…

 そしてプチプチとボタンを外して上着を脱いだ。

 途中で下着が見えた時は、自分の体なのにドキッとした。

 駄目すぎだろ…俺。


 で、ブラってどうやってはずすんだ?


 俺はもちろん童貞であり、女性の下着など脱がした事も無い。

 だから、ブラジャーの外し方なんて知らない。というか実演した事がない。

 後ろに懸命に手を回してはずそうとする。しかし、やっぱりうまくはずれない。


 やべっ…むずかしいな…これ。


 母さんを呼んで外してなんて言えず、何だかんだとやっとこさでブラを外す事に成功。要した時間は二分。

 すると、俺の視界にはちょっと膨らんだ胸部が…


 や、やばっ!

 俺は思わず上を向いた。


 いや…何で俺は上なんて向いてる? 別に脱衣所の蛍光灯が切れてないかチェックした訳じゃないだろ?

 これは俺の体なんだぞ?

 そうだ。よく考えてみたら、この体は綾香本人の体じゃないんだ。

 これは俺の体なんだ。そうか、俺の体なんだから気にしないでもいいのか。と言うよりも、気にしたら負けなんだな。


 すっと顔を下げると、上半身裸の綾香の姿が鏡に映る。

 俺の心臓は超絶にそれに反応して飛び跳ねた。そして顔も熱くなった。

 鏡の中の綾香も真っ赤な顔で俺を見てる。というか、あれは俺だ。

 その後、俺は目を瞑って下着を取った。

 自覚した。俺は結構へたれだった。


 そして、脱いだはいいけど…

 俺は手探りで浴室への入口を探す。が…うまく取っ手が見つからない。

 そう。目をつぶったままでは浴室にうまく入れなかった。

 仕方なく俺は目を開けた。もちろん右下を向いて。

 これで洗面の鏡は見ないで済むし、裸だって最低限しか見ないで済む。


 で…俺は油断していた。

 風呂場に入って、シャワーヘッドを取ろうと正面を向いたら…

 そこにも鏡があったんだよな…

 そして、俺は自分の全裸を見事にすべて見てしまった…


 俺は慌てて顔を背けたが、顔がすごく熱くなった。

 っていうか、さっきから自分でこれは俺の体だって解ってるのに、何で俺はこんなに恥ずかしがってるんだ?

 でも、やっぱり綾香の顔だし、綾香と同じ体型だし…意識するなって方が無理な話だよな…

 でも、これは気にしないようにしないと駄目なんだよな…ずっとこの体と付き合う訳だし…

 でも、今日は気にするなって言っても無理だし…

 よ、よし…裸から意識を逸らそうじゃないか!

 そうだよ、別の事を考えればいいんだ。で、何を考える? うーんと…

 そうだ、確か北本先生はこの体を生成するのに、綾香の身体測定のデータを元にしたって言ってたな?

 そう考えると実際の綾香って、俺の思っていた以上に幼児体型なんだな。

 この胸ってAカップって言う奴なのか?

 そんな事を考えながら普通に胸を触っていた俺…


 うわぁ! 俺は何をしてるんだよ!

 し、しかしこの胸のサイズは小さいのか? それともこの体系だとこれが普通か?


 もう一度俺は自分の胸を触ってみた。


 ぷに…ぷに…っと微妙な弾力が手と胸に伝わるのと同時に、何かまだちょっと硬さがあった。これは成長中だからか? もう少しすれば大きくなるのかな?

 母さんはそこそこあるし、身長が小さいのは母さんの遺伝だろうから、綾香もそのうち小さいけどそこそこおっぱいの大きな女になるのかな?

 って! 俺は何で妹の胸の成長を気にしてんだよ!

 って違うだろ! 全然、裸の話題から逸れてないし! というかもう直球で裸系の話題だし!


「お前は妹の胸が好きなのかよ! 変態兄貴めっ! はぁはぁ…」


 俺は自分で自分に突っ込んで息切れしてしまった。


「どうしたの? 綾ちゃん?」

「な、何でもない~」


 母さんにまで聞こえてた!?

 く、くそ、余計に恥ずかしくなったじゃないか…落ち着けよ…俺

 何度も言ってるだろ? これから当分付き合ってゆく体だぞ? こんな事でどうするんだ?


 俺は何度が深呼吸をした。


 よーし…すこし落ち着いたかな…

 でも…なんか…この肌…すっごくすべすべだよなぁ。

 いいなぁ…マジですべすべで。

 しかし、この容姿と体を今から当分は堪能できるのか。


「って違うだろ! 自分の体なのに何で堪能なんだよ!」

「どうしたの? 綾ちゃん?」

「な、何でもないよ~」


 俺の学習能力は皆無なのかよ!

 ………と、とりあえずシャワーだ。まったく…

 結局すごく疲れるシャワータイムになってしまった。

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