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ぷれしす  作者: みずきなな
最終章
170/173

おまけ

おまけ小説です。

内容はなんとなく書いてみたかっただけなのであまりありません。

エンディングのその後になっています。

 俺が男に戻ってから月日は巡り、夏秋冬と季節は過ぎていった。

 そして、再びやってきた春。


「久しぶりっ!」

「卒業以来だよなっ!」


 周囲では旧友たちが和気藹々と久々の再会を喜んでいた。

 そう、俺が今やって来ているのは同窓会だ。

 卒業してから一年目にして、誰がセッティングしたのやら同窓会が開催される事になった。

 ちなみに俺は今だに高校を卒業はしていない。

 綾香になっていたせいで、悟としての俺は留年の扱いになり、まだ高校に通っている。


「姫宮、久しぶりだな? ほんと二学期から来なくてびっくりだったぜ」

「そうだよな? びっくりするよな?」


 場の空気に若干引き気味な俺に話しかけてきたのは、中学校から一緒だった友達だった北千住茂きたせんじゅしげるだ。


「真面目にびっくりだったよ。お前、何してたんだよ?」

「えっ? 俺か?」


 ここでまさか、妹をやってましたなんて言えるはずない。

 ここはあの時に設定した嘘をつくしかない。


「ちょっと北海道に行ってた」

「北海道かよ!? 何しに?」

「牧場の経営に興味が沸いたんだよ」

「えー? 牧場? じゃああれか? 富良野か? それって富良野なのか?」

「富良野!? あのラベンダーの富良野!?」


 いきなり男の声に女子の声が混じる。

 そう、ここで割り込んできたのは、こいつと同じく中学から一緒だった女子の草加香そうかかおりだった。

 見た目は中の中くらいで、まぁ普通の女だ。

 茶髪(染めた)に軽いパーマにピアスをつけていて、高校の時よりはあか抜けたイメージはあるが、根本が何も変わってない。バストもな。


「そう、富良野だよ」

「そうなんだぁ……じゃあ私、サトルんに逢いに行けばよかったなぁ」


 ああ、久々に聞いたな。俺のあだ名。

 まぁ使っているのはほんの一部の人間だけだったけど。


「なんで? お前が俺に逢いに来る理由ないだろ?」


 すると、茂がニヤつきながら俺の肩をぽんと叩いた。


「ばーか、こいつお前の事がすっ」

「こらっ! 馬鹿! ここで言うな!」


 香が顔を真っ赤にして茂の口を慌てて塞いだ。


「いいじゃねーか! どうせもうどうしようもないんだからさ」


 茂がそう言うと香の表情が固まった。

 いや待ってくれ。どういう事だ? まさか香、お前って?


「サ、サトルんさ、まさか彼女ができたの?」


 目をパチパチしながら俺に寄ってくる香。

 そんな香をふんっと鼻息を鳴らしながら茂は見ている。


「ああ、一応な」


 がっと両手で頭を抱えた香。もしかしてマジでお前、俺の事が好きだったのかよ?

 いやいやないない。そんな素振りまったくなかったし。


「嘘だぁ……サトルんってモテナイと思ってたのにぃ……」


 でも、真面目にショックを受けているように見える。


「馬鹿だなお前。姫宮はお前が思っているよりもモテるんだよ。俺も最近まで知らなかったけどな」

「おいおい、知らなかったんじゃないか! って、まぁ、別にモテやしないよ。前から同じだって」

「でも彼女できたんだろ? こいつ、お前の事が好きだって俺に言ってたのに告白せずに卒業してさ、それでお前に彼女ができたとか」

「待って、冗談にもならないから」


 香は沈んだ表情で茂を睨んだ。

 しかし、まさか香が俺の事を好きだったとは意外だった。

 俺とこいつは確かに六年間もクラスが一緒だった。

 こいつとは案外いろいろと遊びにもいったし、高校に入ってからも二人で海水浴とか行った。

 くるみの次に仲良しな女子だった事は確かだ。

 って待てよ? ん~……あれ? 二人っきりで結構出かけてたけど、フラグ立ってたのか?


「お前がとっとと告白しねーからこうなるんだよ。悟はすげー鈍感なんだからな?」

「そんな事を言ってもさ、二人で映画行ったり海水浴行ったりしてたらデートだと思うでしょ!? 私、デートしてくれる=私の事が好きなのかもって思ってのに」

「馬鹿か? お前がいくら思ってもダメだろ? それに二人で出かけてカップル成立するくらいだったら、姫宮は今頃は八木崎と付き合ってるはずだって」

「えっ? 違うの!? 私てっきりくるみとカップルになったのかと思ってたのに!」


 何度も噂ではくるみも俺が好きだとは聞いていたが、どうもこの二人の話からすればくるみが俺に好意があった事は事実らしいな。

 まったくもって、俺の知らない所で色々な事があるんだな。

 もしかして、俺って本当にモテてたのか?

 でも、これをあいつに話すときっとやきもち焼くだろうし、言えないな。


「誰? 相手は誰なの? 教えてよ」

「いや、たぶん香は合った事ないと思うぞ?」

「そうなの? じゃあ今一緒の学校に通ってる子なの?」

「ああ、そうだな。一緒に通ってるかな」

「うわあああああ! 年下の彼女だなんてーーーー!」

「はい、諦めろ」

「くうううう……ううううううう! わあああああ!」


 香は再び頭を抱えて吼えたのだった。


 ☆★☆


 同窓会も中盤に入った。

 香は茂と一緒にどこかへ行ってしまった。

 あいつらも仲良しだし、これを機会にしてひっつけばいいのに。

 しかし……。


 俺はとある事実をいまさら知った。

 どうも人数が多いと思っていたんだ。


「悟、ほんとうにすまん、俺、お前の妹が好きだったんだ。ごめん、すまん」


 俺の横でひたすら謝り続けているのは清水大二郎。そう、大二郎だ。

 なんと、この同窓会は合同だったらしい。

 聞いてないぞ? そんな話。


「でもな? 好きだったのは今の姫宮綾香じゃないんだ。信じられないかもしれないが、俺が好きだったのは記憶喪失だった時の姫宮綾香だったんだ!」


 いや、信じるよ。だってそれって俺だもんな?

 ごめん、ほんとにごめん。お前が好きになったのが俺でごめんな。

 でも安心しろ。女性化した俺はお前が好きだった。過去形だけどな。


「いいって、もうわかったから謝るな」

「でも、いくらお前がいなかったからと言っても、親友の妹に欲情してしまうとは……」


 欲情してたのかよ! 知らなかったよ!

 ちなみに、正雄はさすがに今日は来ていないらしい。


「まぁとりあえずいいからさ、本当にお前に謝られても困るんだよ」

「俺を許してくれるのか?」

「許すも何も、別に綾香に変な事なんてしてないんだろ?」


 された記憶はないからな。


「あ、ああ……」


 しかし、なにもしてないはずなのに、なんとも言えない表情で返事をする大二郎。

 そして、周囲の目を気にしつつ俺の耳元に口を近づけてきた。


「なんだよ?」

「すまん……夜の……夜のおかずにしてしまった」

「……おかず」


 いや、男だし、まぁ好きな女子をおかずって言うのはあるだろ?

 でも、うん、ごめん。

 なんだか急に頭が痛くなった。


 ☆★☆


 驚きの連続だった同窓会が終わってから数日が経過した。

 高校も卒業が近くなり、俺は部屋のかたずけをしていた。

 すると、引き出しの奥からとあるビンを発見する。

 そのビンには錠剤が入っている。

 そう、それは俺が男になるための薬だ。


「魔法の薬か……」


 ここで俺は変な事を考えてしまった。

 今、この状態で薬を飲むとどうなるのか?


「今日は用事も無いし、もしも万が一でも綾香になったりしてもなんとかなるだろうし、いいよな?」


 何が良いのかまったくわからないが、独り言で自分を納得させる。

 でも、一応は綾香にも許可を得てから薬を飲む事にした。

 まぁ、先に放しておくが、飲んで後悔した。


「……綾香」

「………………」


 綾香が固まっている。俺を見て固まっている。


「綾香!」

「!!!! あ、ええと、そ、それはダメだと思う!」


 綾香は眉をヘの字にして今にも泣きそうな表情になっていた。

 それは何故か? その理由は簡単だった。


「俺、なんで母さんになってんだよ?」


 そう、俺は母親になっていた。と思ったら。


「違うよ。お母さんとは違う。でも、お母さんい似てる。うん、よく似てる」

「だよな? これってどうなってるんだ?」

「たぶんだけど、それがお兄ちゃんが女の子で生まれた時になるべき姿だったんだと思う」

「えっ? それって?」

「お兄ちゃんがお姉ちゃんだったら、その姿だったんだよ」

「これが本当の俺の女としての姿……」


 身長は元の悟と同じくらい。髪は黒く、母親っぽい天然パーマがかかっている。

 瞳は思ったよりも大きく、胸はそこそこある。

 くびれがあまりないけど、おしりはそこそこ大きく、綾香と比べるとかなりしっかりした体型だった。

 きっと運動もそこそこ出来そうな感じだ。

 しかし、残念ながら綾香ほどの可愛さはない。

 可愛くないかと言えば可愛い部類に入るとは思うが、綾香の可愛さに比べたら比にならない。


 しかし、ある程度は予想をしていたが、薬は性別転換する効果を持っていたらしい。

 でも、綾香になっていた時にはこの薬で悟になっていたのに、何で同じ薬でこんな格好になるのか理解てきない。


「あのね、あくまでも予想なんだけど、その薬はお兄ちゃんを元のお兄ちゃんの姿にする効果がメインにあったんだと思うの。そして、性別を反転する効果が別にあったんだと思う」

「なるほど、じゃあ、俺が綾香だった時は、まず薬の一つ目の効果で悟に戻る。そして二つ目の効果で性別が反転する。そういう事だったのか?」

「うん、たぶんそうかな。作った人に聞いてないからわからないけど」

「なるほどな……まぁ、そんな気がするな」

「でも……あれだね、本当に私に似てないね」

「そうだな。やっぱり母さんにすごく似てるよな」

「うん、そうだね。男の子はお母さん似になるって言うから、それが理由かもしれないね」

「なるほど……そうか、そうかもな」


 確かに、悟だった時もお母さんに似てるねってよく言われた。

 っと、まぁここまでの事で薬を飲んだ事を後悔した理由にはならない。

 性別転換は予想していたからな。

 しかし、ここからだ。ここからだった。

 六時間が経過した夜。


「そろそろ戻ると思うんだけど、なんか戻る気配がないなぁ」

「大丈夫だよ、そのうち戻るよ」

「そうか? そうだよな?」

「うん、朝には戻ってるよ」


 なんて言われて、風呂に入ってから自分の体を堪能して、その後はのんきに寝たんだよ。

 そして、朝がきたんだ。


「戻ってねぇぇぇぇ!」


 思いっきり女のままだった。戻ってなかった。

 普通ならとっくに戻る時間はすぎているのに効果が継続していた。


「おかしいね……絵理沙さんか輝星花さんに原因とか聞いてみたら?」

「いや、待て、きっとすげー怒られる。なんでそんな薬を飲んだのって怒られるだろ」

「そりゃそうかもだけ、でもこのままって訳にはゆかないと思うよ?」

「ちょ、ちょっとだけ、もうちょっとだけ頑張ってみるから」


 何を頑張るのかわからないけど、二日目が経過していった。

 しかし、戻らない。戻る気配がなかった。

 やばい、明日は月曜日だ。

 ここで戻らないと女のまま学校に行く羽目にって、いや、この格好だと学校すらいけねーだろ!

 慌てる俺を次に襲ったのは下腹部の痛みだった。

 綾香の時にも経験はしたけどまさか?


 結論、そのまま生理に突入。

 するとなぜだか女のまま、生理が終わるまで元に戻らなかった。

 って言うかさ、なんで女に変身してすぐに生理がくる!?

 常識的に考えても来るはずないよな?


 結局、元に戻るのには七日もかかってしまった。

 後から聞いた話なのだが、前の薬はあくまでも綾香になっていた俺のための調合だったらしい。

 悟に戻ってからだと効果時間も変わって当たり前だと言われた。

 あと、生理になったのは運が悪かったって言われた。

 ほんっと俺は馬鹿だった。

 安直に何かをやってしまうとろくな事がない。


「もうこの薬は封印だな」

「うん、そうだね」


 こうして、俺が女になる薬は封印された。


 ☆★☆


 最後の最後にメッセージ(メタな内容です)


「やほー! スタイリッシュな体育会系女子、杉戸佳奈です!」

「こんにちは、いまいち出番が少なかった宮代真理子です」

「いやーまさか最後の最後を私たちで飾れるとは思ってもなかったね!」

「まぁそうね。でも、これって準レギュラーのはずなのに出番の少なかった私たちへの配慮じゃないの?」

「……ハッキリ言わないで? ね? 寂しくなるから」

「まぁいいわ。ともあれ私なんて最後の方はまったく出番がなかったからどうしようかなって思っていたんだけど、こうして少しでも出番が出来てよかったわ」

「でしょー? でしょー? そういう所は作者さんに感謝しなきゃ!」

「まぁ、そうね」

「と言う事でーーーーーーーーーーーーー! ぷれしす、終わりました!」

「はい、終わりましたね」

「真理子はどうだった? 終わってみてどうだった?」

「そうね、最後に姫宮先輩が誰とひっついたのかが知りたかったわね」

「だよねー! そうだよねー! 私たちも知らないんだよねー! おっかしーよ!」

「まぁ、作者さんが読者の皆さんにどのヒロインとのエンドも考えられるような終わりにしたって事なのだと思うけど」

「そうだよね? あれでしょ? 全員とやりまくって腹ボテエンドだよね!」

「佳奈」

「なぁに?」

「これ、R15指定すらついてないからそういうのやめましょ?」

「エーーーーーーーーーーーーーーーーーー! 知らなかった!」

「……」

「と、とりあえずはあれよね! ハーレムエンドもありよね!」

「ないでしょ?」

「なんで?」

「だって、私があの中の一人なら絶対に全員となかよくはありえないもの」

「えーーーーーー」

「じゃあ、佳奈はハーレムの中に入るの?」

「まっさかー! 私一筋じゃないなら別れる!」

「あんた……」

「とりあえず、きっと私は姫宮先輩が茜を選んだって信じてる!」

「そうね、だったらいいわね」

「でしょ!」

「じゃあ、そろそろ時間みたいだから〆ましょうか」

「そうだね」


「今までお付き合いしてくれてありがとう!」

「長期間のお付き合いありがとうございました」

「また別の作品で逢えるかはわからないけど、楽しかったです!」

「うん、私は出番があまりなかったけど、それでも楽しかったわ」


「それじゃ! 作者さんの次回作にきっと再登場できると信じて」

「できるはずないでしょ」

「えー? そういう夢の無い事を言わないでよ!」

「あーはいはい。出れるといいわね」

「そう! そうよ! 世の中はポジティブにだよ!」

「わかった。だから〆てって」

「あーー! わかってるよ!」


「改めて! 皆さん、今までありがとう! またお逢いできる日を夢見て! バイバイ!」

「ありがとうございました」

本当にこれで完結です。

最後までありがとうございました。


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