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ぷれしす  作者: みずきなな
前途多難な超展開な現実
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156 作戦会議という名の女子会!? 前編

「これより作戦会議を行う。まず僕たちの目的を再度確認しておこう。僕たち三人の目的は、本来あるべき世界のルートからはずれてしまっている僕らのこの世界ルートを、なんとか元に戻すって事だ」


 円卓を囲むように和実と俺が座っている中で、輝星花は一人立ち上がり、少し興奮気味に拳を握っていた。

 何がどうしてそんなに興奮できるのかわからないが、ともあれやる気はまんまんだ。


「私だって納得いってないしね。元のルートの私の記憶からも納得してなかった感じみたいだし、だから私も頑張ってみるよ」


 和実は少し冷めた感じがする。

 先日よりもずっとテンションが低い。


「と、言うことで悟くん、課題は色々あるがなんとかしよう」

「ああ」


 輝星花は女の姿なのにあぐらを組んで座りやがった。

 相変わらずの女性らしいスタイルで、今日もスカートだ。

 あぐらのせいでスカートは捲れ、白いむちむちの太ももが見えすぎている。

 俺も男だ。綺麗な女が横でそんな格好をしていたら興奮だってする。

 お願いだからもう少し女らしくしてくれよ。

 と、まぁそんな事を置いておいて。


「なんで会議を俺の家でやる!」


 そう、作戦会議は俺の家の俺の部屋で行われている。

 おかげで母親には先生と年上の女性が何を目的で家に来たのか聞かれるし。

 和実はまだ学校の先生で綾香と認識があったのでよかったのだが、輝星花は俺の彼女なんじゃないのかっておもいっきり疑われた。

 疑われる原因をつくったのはもちろん輝星花の一言だ。

『悟さんとは良いお付き合いをさせていただいております』

 なんて言われれば、どう考えてもただの関係に見えるはずがない。

 俺がいくら違うって言っても綾香のあの怪しむ目は収まる事がなかった。


「悟くん」

「って、何で俺の横に移動してる!?」

「僕はいつでも君の彼女になってあげるよ。それで君が疑われる事はなくなる」

「おまっ!」

「なんだい? 僕の体じゃ不満なのかい?」


 なんと輝星花が胸元をぴんっと引っ張り谷間アピール。

 見ちゃダメだと思いつつも視線は釘づけになってしまう。


「あのさー? 何してるの? いちゃいちゃしたいのなら私がいない時にしてくれる?」


 さっきよりも冷めてしまっている和実。

 しかし、言いたい事はわかる。


「輝星花、いい加減にしろ」

「……」


 輝星花はむっとした表情で元の場所に戻っていった。


「って、お前、俺の心を読んだだろ!」

「気がつくの遅い」

「遅いの前にするなって言うんだよ」


 こいつはまたしてもチート能力を発動していやがった。


「チートではない? 常時発動魔法だ」

「その能力がチートなんだよ!」

「そんなに騒がないでよ」

「輝星花、これから先は絶対に俺の思考を読むなよ?」

「んー? だから常時発動なんだが?」

「だとしてもどうにかしてくれよ」


 輝星花が顎に手をあてて少し考えると、次の瞬間、懐かしい姿へと変身した。


「では仕方ない。この姿でいるとしよう」


 それは白衣の男性の姿。そう、野木一郎の姿だ。

 あまりの懐かしさに何か感動すら覚えてしまう。

 そして、男になってしまっていた輝星花とは違う、大人びた雰囲気にこれが輝星花だと脳内で再確認した。

 しかし、服装まで変えられるとは魔法は本当にインチキだ。


「しかし、悟くんが男なのに僕まで男だとむさくるしくないか?」


 確かに一理ある。


「なんで輝星花はその姿になる必要があったんだ? 別に他の誰かに変身してもいいんじゃないのか?」


 素朴な疑問。なんで輝星花は一郎の姿になるのか。


「いあぁ、この格好が一番楽なんだ。慣れてるしね」


 答えは単純すぎた。


「でも、もし別の人間に変身をしてもあのチート魔法の能力を制限できるのか?」

「もちろんだ」

「……」


 よく考えてみれば、ここでまったく知らない人間に変身されてもなんとなくやりずらくなる。

 そう考えればやっぱり野木一郎の姿でいいのか。


「ああ、そうか! そういう手もあった!」


 輝星花は意味不明な納得感を出してから俺の肩を掴みやがった。

 ぐっと自分の方を向かせる輝星花。顔が近い! 顔が!


「な、なんだよ?」


 そして輝星花の姿に戻る。

 さっきまでヤロウの顔だったのに、いきなり美人女子になってしまった。

 って言うか、近い! 近いんだけど!


「こういうのもありだったよ」

「えっ?」


 そして次の瞬間。


「!?」


 俺の体が綾香になった。


「な、な、なんで俺が綾香に!?」

「なるほど、これが姫宮悟が姫宮綾香になった姿か」

「いや、お前は知ってるだろ? 見た事あるよな?」

「ある。けどない! 僕の正確な記憶上は君の女性姿なんて見たことないからね」

「だけど、本当のルートの記憶が……」

「いいや、記憶は本物とは違う。君は記憶にリアリティがあると思うのか? 現実に食事をするのと、記憶で食事を思いだすのと、どっちがリアルだ?」

「そ、そんなの比べられないだろ?」

「だろう? そういう事だ」


 輝星花はドヤ顔で俺をじっと見ている。


「おおっ! 悟くんバージョンの綾香ちゃんってこんなんだ!」


 和実まで喜んでいる。


「となると、やはり本当のルートでの記憶は記憶であって現実ではない。僕はその行動もしていないし、やった事もない。と言う事で、早速!」


 次の瞬間、輝星花が全体重を俺にかけてきた。

 俺は思わず仰向けに倒れてしまう。


「な、なんだよ!?」


 そして両肩をしっかりと固定して、輝星花はマウントポジションを取った。

 凄まじい危機感が俺を襲う。


「ま、まさか!」

「そう、確認だ! チェックだ! 本当のルートでの僕が、君がどのくらい成長しているかを確認していたらしい。だったら僕もやっておかないと!」

「待て! 必要ない! そんなの必要ないだろ!」


 しかし、輝星花の右手は躊躇もなく俺の左胸を鷲づかみ。


「ノーブラで正解だったな」

「えっ!?」


 確かに、触られる感覚が下着なしな感覚だ。


「大きいのに思った以上の弾力だ」

「お、大きい?」


 俺は揉まれて変形している胸を頑張って見てみた。

 感想。違和感があった。

 今まで俺が綾香になっていた時、こんなにでかかった記憶はない。


「CかDだな」


 騎乗位で前のめりになっている輝星花の胸はそれよりもでかいので揺れ膜っている。

 でも、前の俺よりもでかかった和実よりも今の俺の方が大きいかもしれない。


「おい、どうして俺の胸がでかい?」

「僕の想像上の姫宮綾香くんだ」

「なんだそれ! でもさ、制服姿にするならせめてブラくらい設定しろよ! こすれるんだよ!」


 いきなり輝星花が固まった。理由が不明だ。

 しかし顔がだんだんと赤くなり、俺の左胸に乗せていた手を引っ込めてしまった。


「さ、悟くんはブラとか普通に言えるのか?」

「そりゃ言えるさ、伊達に妹を長くやってなかったし」

「……い、いやらしい」


 偏見にも程がある!


「あのな? こうなったのはお前ら魔法使いが原因なんだぞ? 俺だって好きで綾香になった訳じゃないんだぞ?」

「そうだよ輝星花。悟くんは好きで綾香ちゃんになった訳じゃなんだよ?」


 ここで思ってもみなかったフォローが入った。


「でも、悟くんにとってはラッキーだったね! 男の子は女の子の体に興味あるもんね? 自分の体だったら弄り放題じゃない。ああ、いやらしい!」


 と思ったらぜんぜんフォローになってなかった!


「とりあえず、俺はいやらしくない。あと、そういう事を言うなら俺を元に戻せよ」


 輝星花は真っ赤な顔で考えたてすぐに答えを出した。


「女子会はやってみたかった」


 意味わかんねぇ!

 俺の質問に答えてねぇ!

 それにお前、キャラ変わってないか?


「ああ、私も女子会してみたかったんだよね」

「オマエラ! これは作戦会議だろうが!」


 だんだんと別の意味で熱を帯びる俺の頭。

 輝星花は真っ赤な顔だけどとても楽しそうな表情をしている。

 和実も同じだ。


「悟くん」

「なんだよ?」


 こんな状況なのに、和実の笑顔や輝星花の笑顔を見て俺の心は躍っていた。


「これはね? 作戦会議という名の女子会なんだよ!」


 そして、いつの間にか緊迫感がない感じになってしまったが。俺の心は満たされてゆく。

 輝星花や和実とこうやって馬鹿をする。

 楽しい。本当に楽しい。


 そして再び思った。

 ここに絵理沙がいれば最高なのにな。

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