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ぷれしす  作者: みずきなな
前途多難な超展開な現実
143/173

142 ブレイクアウト 後編

 俺の手に伝わる輝星花の温もり。

 そして、俺の登場に動揺を隠しきれない輝星花はベッドの上で体を震わせていた。

 確かに、綾香の姿の俺がやって来るなんて想像すら出来ないだろう。


「輝星花! お前はこの世界に留まる必要はないんだ!」


 俺は言い切った。


「だ、だけど僕は……」


 しかし、輝星花は困った表情で眉間にシワを寄せる。

 俺はそんな輝星花を見かねて、つい視線を逸らしてしまった。

 そして、雲が晴れたのか、窓から雪に反射した光が部屋に差し込んでくる。

 ふと視線を輝星花へと戻す。

 銀色に染まる外界の光に照らされた輝星花のきれいな緋色の瞳が鈍く光った。


「……輝星花! お前どうしたんだよ? いつもの勢いはどうしたんだよ? お前らしくないじゃないか!」

「……」


 だけど輝星花は無言のまま首を小さく左右に振るり瞳を潤ませた。


「輝星花大丈夫だって? だから俺と一緒に人間界へ帰ろう? なんだよ? 俺とじゃ嫌なのか?」


 俺は輝星花に本音で心から訴えかけた。本気で輝星花を連れ帰りたかったから。


「それは……無理だ」


 しかし、輝星花は絶望的な表情でうつむいた。


「何が無理なんだよ? 無理なんてこの世の中には存在しないだろ?」

「だけど無理なんだ。今の僕は魔法管理局の監視下にある。そしてこの世界から人間世界へ移動するにはどうやっても高等魔法を使用しなければならない。この病院から出るのすら難しいのに、ましてや世界間移動なんて無理だ」


 俯く輝星花の肩をぽんっと和実が叩いた。


「そこは大丈夫。私だって何の策もなく悟くんを連れて来たりしないから」


 和実の言葉にも輝星花は表情を変えない。

 輝星花は本心で逃げても無駄だと思っているのか、それとも俺に気を使っているのか。


「俺はお前がこっちの世界で幸せに暮らしていたらこんな事は言わない。でも、だけど、どう見ても今のお前は幸せじゃないだろ? 俺はそんなお前をほっておけないんだよ!」

「何で? 何でだい? 僕は別に君には関係のない魔法使いだぞ?」


 何だろう、だんだん腹がたってきた。


「違う! お前は魔法使いじゃない! 人間だ! 俺と同じ人間なんだよ! 自分でもわかってんだろ! お前は【物語】の犠牲者なんだよ!」


 輝星花は目を見開いた。そう、【物語】という言葉に驚いていた。

 しかし、すぐに真面目な強い意志をもった表情に戻る。


「だ……だとしても、僕は魔法世界で生まれた魔法使いなんだ!」


 輝星花は意気消沈していた。覚悟を決めた諦めが見える。

 そんな輝星花を見て俺の中では反抗心がメラメラと炎が燃え上がる。

 拒まれる程にこいつを連れ出したくなった。


「違う! お前は俺と同じ世界の人間だ! だから俺は連れ戻す! お前を本当の生まれるべき場所に連れ戻す! お前には俺がついてる!」


 気持ちをすべて乗せて輝星花にぶつけた。若干言い過ぎ感はあるけど。

 だけど、そのくらいの気持ちで伝えなきゃ今の輝星花には伝わらないと思ったから言い切った。


「じゃあ聞くぞ! 僕を連れ戻してどうするつもりだ? どうしたいんだ?」

「そ、それは……と、ともかく戻って考えればいいじゃないか」

「なんだそれは? 答えになっていないじゃないか。そりゃそうだな。僕の居場所はそちらの世界にはないから。それを悟君も知っているんだ」

「で、でも! 俺はお前を連れ出したいんだよ!」


 ぎゅっと輝星花の手を握り締めて言い放った。

 輝星花は少し頬を赤く染めて部屋を見渡す。そして……


「君は優しすぎる」

「や、やさしくなんてない」

「いや、優しい。しかし、その優しさが人に勘違いを生ませて、結果的には傷つけるって事を自覚した方がいいよ」

「ど、どういう意味だよ?」

「ほらみろ……自覚がない」

「俺は別に特別な事なんてしてないぞ?」

「だから困るんだよ」

「意味がわかんねぇ!」

「うん……ともあれ、ありがとう悟君、でも僕は行かない」


 輝星花は目を閉じた。


「……どうしてだよ? この世界にだってお前の居場所はないだろ?」

「無い。確かに無いよ。でも、それでも僕は行かない。僕はやっぱり魔法世界の人間なんだよ」


 ここで和実が険しい表情で割り込んできた。


「何を言ってるの? あんた馬鹿なの? いや、馬鹿だよね? あなたの魔法力は絵里沙に完全に吸収されたんだよ? あんたはもうただの人間なんだよ? いつまでもこの世界の馬鹿学者につきあう必要はないし、あいつらのモルモットじゃないんだから、そのくらいは理解してんでしょ?」


 再び目を見開く輝星花。険しい表情で和実を睨む。


「僕はモルモットだ! 最初からわかっていた!」

「き……輝星花っ! 何を開き直ってんのよ! あんた、悟くんがどんだけあんたを救いたいって思ってるのか理解して言ってるの?」


 和実の口調が強くなる。それ程に感情がこもっているんだ。


「だから早く悟くんをこの世界から連れ出して欲しいんだよ! そうだ、僕はこの世界で生まれ育ったんだ! だからこの世界に最後まで残るのも使命だって考えている! この考えのどこが悪い?」

「わ、悪いわよ!」

「でも、僕はこの世界に育ててもらったんだ……」


 輝星花は急に微笑んだ。だけど、その笑顔に本当に笑顔はない。

 俺はここまで堅物になった輝星花を見てマックスで腹が立ってきた。

 思わずこぶしを握っている。


「本当にあんたは馬鹿だね……」

「ああ、僕は馬鹿だ。だから僕には構わないでくれ。悟君もね」

「じゃあ、助けなくっていいの?」

「ああ、僕はほっておいてくれ」


 輝星花の言葉を聞いた和実が肩をすくめて俺たちに背けた。

 悔しそうな表情で両手に拳をつくり背中をふるわせている。

 こいつも相当悔しい想いをしているのだろう。俺だって腹が立っているし。


「あはは、くっそ腹立つわぁ! ……本気で! マジむかつくし!」

「か、和実!?」


 それいきなりだった。再び俺たちの方へと振り向いた和実が驚く程に豹変していた。

 先ほどまでただ顔を赤くして怒っていただけの和実の表情が怒りに満ちていた。

 いや、和実は怒りと憎悪に満ちた表情で輝星花を睨んだのだ。


「あんたはさ、悟くんや私に迷惑かけたくないって思ってそう言ってるのかな? 本当はこんな場所にいるのは嫌なのに……ねぇ? あんたマジ馬鹿でしょ?」


 ずばり考えを的中されたのか、輝星花の頬肉がひきつっている。


「許さない! 私は許さない! 私はずっとさ……ずっとあなたを見てきたんだから! 十七年間もあなたの傍にいたんだ! そして私は貴女が目標だった。憧れだった……」


 和実は見た事のない表情で輝星花を睨んでいる。


「私は天才魔術師だったあなたが好きだった! 一緒にずっと一緒にいたいって思ってた! でも……だから、輝星花がこんなとこでおもちゃにされて朽ち果てるのを見ているなんて我慢できないんだよ!」


 しかし、知らなかった。輝星花と和実ってそんなに深い関係だったのか!? って言うか、輝星花も和実も俺より年下!?


「あ、悟くん、ちなみに私たちは二十歳だからね」

「あ、はい、貴重なフォローをありがとうございます」


 フォローが入りました。こいつら年上でした……


「和実! 君が僕をそんなに慕ってくれてたってわかって嬉しいよ。でもね? ここで朽ち果てるのは僕の宿命なんだ! 同じ施設で育った和実ならわかるだろ?」

「わからないわよ! 確かに私も人間と魔法使いとの間に生まれた子供だけどわかんないよ!」

「えっ? お前もなのか……」


 嘘だろ? あの物語は和実も関係してた?


「大丈夫だよ悟くん。私は完全に魔法世界の人間として生まれたから。ただ、両親がそういう関係だっただけ。輝星花よりはずっとまし」


 和実が苦笑した。本当は俺には教えたくなかったって表情をしている。

 そうか、だからこの二人はこんなに深い仲なのか。

 和実もあの物語に関わる魔法使いだったんだ。


「だからね、だから私は輝星花を救いたい」

「……そうだよな。俺も救いたい」


 一瞬だけ普段の表情に戻っていた和実。

 しかしすぐに憎悪に満ちた表情に戻った。また輝星花を睨んだ。


「輝星花、はっきり言うけどさ、私はモルモットにはならない! 私は他世界(人間世界)を巻き込むような狂った奴のいるこの世界には残らない!」

「和実の好きにすればいい……」

「輝星花!? あんた本気で一緒に来ないの?」

「あ、ああ……僕は行かない」


 輝星花は顔を背けたまま小さな声で答えた。


「あ、そう? だったら殺してあげる。今ここであんたを殺してあげるわ! モルモットにさせる位ならここで殺してあげる! どうせ朽ちてもいいのなら、今ここで朽ちろ!」


 血走った目の和実が不気味に微笑んだ。やばい目が本気すぎないか?


「和実? 冗談だよな? 殺すとか冗談でも言うもんじゃないぞ?」


 俺は汗ばんだ手で輝星花の手を握ったまま急いで和実をフォローした。

 しかし、和実はまったく表情を変えない。


「冗談? この私が冗談を言うと思う?」

「い、言ってるよな? いつも言ってたし、今ふつうに言ってるじゃん」

「あはは……私は本気だよ? 殺すって言ったら殺すから」


 そう言う和実の手がぼやっと光を帯びてきた。


 まさか魔法!?


「ちょ、ちょっと待て! 何をしようとしてんだよ? ここで変な事しようと思うなよ!?」


 俺は輝星花の手を離すと立ち上がった。そして和実と輝星花との間に入る。


「悟君ごめんね。私、もう輝星花を許せないの」

「だからって殺すって駄目だろ! それじゃ何の為に俺が来たんだよ!」

「うん、悟くんは輝星花を助けるために来たんだよ? でも、もしそれが無理な場合は……これって仕方ないよね? わかるでしょ?」


 和実に左手の輝きが増す。そして、まるで稲妻のようなものが腕をまるごと覆った。


「わ、わかんねぇよ! そんなのわかんねぇ!」


 まさかの和実は攻撃魔法を使えるのか?


「他人におもちゃにされるなら、私が殺したい……間違ってる?」


 俺は魔法使いと接点を持ちながら今まで攻撃的な魔法を見た事がなかった。

 しかし、現に今目の前で和実がその系統の魔法を使おうとしている。


「ま、待てって! そんなのだめだ! どういう理由があっても輝星花を殺すとか駄目だ! そんなの俺が許さない!」

「別に悟くんに許して欲しいなんて思わないし、恨まれてもいいって思ってる。でもね? ハッキリ言うけど、輝星花にとって悟くんは何でもない存在だったんだよ? 一緒に戻りたくないんだよ? 所詮はその程度。だから邪魔しないでくれる?」

「輝星花にとって俺が何でもなくっても、俺にとっては何でもあるんだよ! 俺もハッキリ言っておくけど、こいつは俺にとって特別なんだよ! それにお前は俺に輝星花を助けろって言ったよな? なのに何で殺そうとかしてんだよ! もう少し話し合えよ!」

「だってさ、輝星花は君が来たのに人間界には行かないって言ってるじゃん? このままじゃ輝星花は幸せにはなれないの確定でしょ?」

「そ、それでも……」

「本当は……私だって……」


 ぽとりと一粒の雫な床に落ちた。


「か、和実?」


 同時に部屋の中に警報が鳴り響いた。

 それは部屋すら揺らす程の轟音だ。


「な、なんだこれ?」

「これは魔法感知警報……この部屋で魔法的な要素が発動されると警報が鳴るんだよ……」

「き、聞いてねぇよ!」

「うん、言ってない……でも、だから悟君の魔法を解除したんだよ? こんなリスクがあるって知ってたから……」

「で、でももう鳴ってるジャナイカ!」

「ごめんね、悟君」


 和実は寂しそうな笑顔で舌を出した。そして再び輝星花に向かって指を突き出す。


「警備員が来る前にあなたを殺すね」

「か、和実!」

「その前に……」


 和実の電気を帯びた手が俺に向けられた。

 血走った目で俺は睨まれる。

 なんで? なんでいきなり俺の方を向くんだ?


「ごめんね、輝星花って寂しがりやだし、一人じゃ嫌みたいなんだよ。だからさ……申し訳ないけど悟くんも輝星花と一緒に逝ってくれるかな?」


 和実の腕に纏われていた電気の塊はバチバチと音を立てて、いつのまにか全身に拡大している。

 そして手の先から俺に向ってスパークが飛んだ。

 バチンと左肩に当たると激しい痛みに襲われた。

 見れば服が焼けちぎれ、薄っすらと血が出ている。


「どお? 痛いでしょ? 次は楽に殺してあげる」

「な、なにを言ってるんだよ? マジで俺を殺す気か? や、やめろよな? 本気じゃないよな?」

「最後に教えておくけど、私は攻撃魔法が得意なんだ」

「そ、そんなの教えなくっていいからやめろ!」

「輝星花、よく見てなさい! あなたの大好きな悟くんが死ぬ姿を! 大丈夫、輝星花も殺してあげるから! ねぇ嬉しいでしょ? 大好きな人と一緒に死ねるならさ!」

「えっ?」


 和実の突っ込みどころ満載のセリフに突っ込みを入れる余裕なんてなかった。

 そして、俺に向かって青白い電撃が飛んでくる。

 防げるはずもないのに俺は両手をクロスにして防御の姿勢をとった。

 和実が振り下ろした手からは稲妻がほとばしり、俺の目の前に迫った。

 その瞬間、世界はスローモーションになった。

 全ての動きがとてもゆっくりに感じる。

 電撃は確実に俺を目指している。


 だめだ……死ぬ。


 そして、ふっと背景も消えた。


 ああ、これが死ぬって事か……


『お兄ちゃん……』


 ここに居ないはずの綾香の声が聞こえだした。


 ああ、マジ死ぬのかこれ。


『悟!』

『ひ、姫宮綾香!』


 そして色々な想い出が高速で脳裏に浮かんでは消え始めた。


 ああ、これが走馬灯か……


 なんかそう言えば去年爆発で死んだ時も走馬灯を見た気もする。

 あれ? 俺ってまた死ぬのか? 人生で二回も死ぬのか?

 それも今度は綾香の姿のままで死ぬってどんなんだよ。


『姫宮先輩……』


 茜ちゃん?


『あっやかー!』


 佳奈ちゃん?


『またく綾香は……』


 真理子ちゃん?


『お兄ちゃん……』


 綾香!


 そうだよ、俺、まだやり残した事がいっぱいあるんだ。

 まだ死にたくない! 俺はまだ死にたくないよ!

 だいたい、なんで俺が二回も死ななきゃいけないんだよ?

 俺はまだまともな恋愛だってしてないんだぞ?

 告白だってしてないし、エッチな事だってしてないんだぞ?

 まだ童貞なのに……何で死んじゃうんだよ?


 ……でも……これはどう考えてももう無理だよな。

 こりゃ絶対に死んだな。


『ごめん、綾香……ごめん……みんな』


 俺は諦めた。

 だって、人には限界があるから。

 俺はただでさえ喧嘩が弱い。綾香になってさらに弱くなった。

 そんな俺が魔法使いになんて勝てるはずがない。

 今この時点ですでに負けているのだから……


「悟君は殺させないっ!」


 遠のく意識の中で輝星花の声が聞こえた。

 ゆっくりと無意識に閉じていた瞼を再び開く。


 俺は……まだ死んでない!


 気がつけば目の前に大きな影があった。

 その突然に現れた影は俺に覆いかぶさり、そしてぎゅっと俺を胸の中に抱きしめてくれていた。

 ありえない、こんなスピードで俺を抱くなんて。

 だけど現実。俺はそいつに護られていた。


「人間になったのに転移魔法にカウンターマジック!? 嘘でしょ!?」


 俺は顔を上げる。するとそこには俺を護る人の顔。そう、輝星花の顔があった。


「悟君……ごめん、僕が素直になれなくって……でも、もうこれで魔法は完全に使えない。これが最後の魔法になる。そして僕はたぶん死ぬ」

「な、何をいってんだよ!」


 輝星花の表情が苦痛に滲んだ。同時に激しい音。

 どうやら魔法が輝星花の背中にあたったようだ。

 カウンターマジックとやらでなんとか凌いだみたいだけど。


「次で最後よ!」


 見えない和実の声だけが聞こえる。

 でも、今からでも間に合うんじゃ?


「だから伝えておく事にしたよ……」

「だ、駄目だ! 早く謝れ! 和実に謝れ! そして俺と一緒に人間界に……」


 俺の口がそっと手で塞がれた。

 そして、目の前の輝星花の口から大量の血が流れ出てくる。


「んごぉぉぉ!」

「やっぱり人間で魔法は厳しいね……」

「んがあぁぁ!」

「げふ……ぼ、僕はね……たぶん君が好きだと思う……君が僕の初恋の人なんだと思う……げふ……僕は……人生で初めて人に恋をしたよ。……ありがとう」


 また激しい爆音が聞こえた。そして……


「……」


 するっと輝星花の体が俺からずれ落ちていった。


「き、輝星花……輝星花ぃぃぃ! うわぁぁあ!」


 懸命に輝星花の体を持ち上げる。

 俺の手は輝星花の吐血で真っ赤に染まっている。

 でもそんな事はどうでもよかった。ただ、懸命に引き上げた。


 力の抜けてしまった人間の重さは想像以上だった。

 引き上げるけど持ち上がらない。俺はやっぱり力がない。


「駄目だ! 駄目だって! 輝星花! おきろ!」


 綾香が死んだ時もここまで動揺しなかったのに、俺は完全に混乱してる。


「うわぁぁ!」


 そして、輝星花は完全に床へとずれ落ちた。血まみれになったまま……

 ずれ落ちた瞬間、目の前に和実の姿が視界に飛び込んだ。

 そして驚いてしまう。

 そう、視界に入った和実の表情が殺人者ではなかった。

 涙を流し、慌てて輝星花の背中に飛びついていた。


「き、輝星花……何してんのよぉぉぉ! 体内に魔法術式を埋め込んでるなんて! あほかぁ!」

「か、和実?」


 ここで今までここで起こっていた事がまったく理解できなくなった。

 警報が鳴り響く中で俺はただ口をあけているしか出来なかった。

 そして……


「……悟くん……ごめん!」

「えっ?」


 バチっと火花が散る。そして、俺はそのまま意識を失った。

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