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ぷれしす  作者: みずきなな
大宮バトル 救世主は俺だ!
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109 大宮バトル 救世主は俺だ! 決着

「……大二郎?」


 怒りに満ちた形相で戦っているは清水大二郎だった。

 でも、なんで大二郎がここに?

 大二郎が大宮にいる理由が思い付かない。

 だけど、見間違うはずがない。

 あれは大二郎だ。


「おらぁ! ヘタレがぁぁ! 女に手を出せても、俺には手を出せねぇのかぁ!」 

「くそぉ! なめやがって!」

「おらっ! きやがれ!」


 大二郎の挑発にのった赤いリストバントをした男が大二郎に突っ込んでいった。

 瞬間、大二郎がニヤリと微笑んだ。

 その笑みはまさに勝利を確信した笑み。

 俺はこの表情になった大二郎が負けたのを見た事がない。


「ガキの癖しやがって!」


 赤いリストバンドの男の右拳が大二郎の顔面に迫る。

 しかし、大二郎は男の拳を素早く左に躱した。


「甘すぎだ!」


 『ドス!』という鈍い音がすると男は苦痛で顔をしかめる。そして体が右へ傾むき動きが止まった。

 大二郎の左拳が男の腹に食い込んでいた。


「ごふっ」


 リストバンドの男はなんとかその場から逃げようと、一歩後退したが無駄だった。

 もはや男は逃げる事は出来ない。


「誰が逃がすかよ……」


 大二郎は男の腕を掴むと、腹に膝蹴りをかまし、前のめりになった男の背中に肘を喰らわせた。

 男は苦痛の表情を浮かべたまま前のめりに地面に倒れた。


「お、おい、な、何だよお前は!」


 一人残った金髪の男は相当に焦っている。

 まさか一人にここまでやれれるなんて思ってもみなかったんだろう。

 男はビビリ、もはや戦意喪失状態だ。


「さっきも言っただろ? 俺の姫宮綾香に手を出したらタダで済むと思うなよってな!」


 大二郎は腕組みをしながら金髪の男に向かって怒鳴った。

 でも、おい、ちょっと待て?

 さっきから大二郎……。

 急に顔が熱くなった。

 体が痛いのに恥ずかしくなるとか俺はなんなんだ?


「綾香くん、体が痛いのかい?」


 真っ赤な顔の俺を見て心配したのか、輝星花が顔を顰めて俺を見ているじゃないか。

 いや、違うんだ。痛いけど、そうじゃないんだ。なんて言えるはずがない。


「え、えっと、大丈夫だ……」


 なんて誤魔化した。

 そして大二郎は腕組みを解いて男に向かって歩き初めている。


「な、何だよ? もしかしてこの女はお前の女なのか!?」


 金髪の男はそう言いながら輝星花きらりを指差した。

 ああ、こいつら姫宮綾香が輝星花だと勘違いしてるのか。

 そして、大二郎は輝星花を見てから首を振った。


「違う。その女子じゃない」

「えっ?」


 リストバンドの男はこちらを見る。

 その表情から、まさか抱えられている方じゃないよな。とか考えているんだとすぐに理解できた。


「姫宮綾香は……」


 なぜかここで顔が赤くなる大二郎。そして、俺も顔が熱くなる。

 それを見ていたリストバンドの男の顔が歪んだ。


「ま、まさか、このちびの方なのかよ!?」


 金髪の男はあっけにとられている。


「そうだ! 姫宮綾香だ。可愛いだろ」


 いや、おい待て! なんでここでそんな台詞を吐く!?


「ちょっと待て! 可愛いけどさ、でもさ、流石にこいつはないだろ? こいつ中学生じゃないのか?」


 俺を指差しながらぶるんぶるんと首を振るリストバンドの男。

 残念ながら俺は中学生にしか見えないらしい……。


「そういつは俺の後輩だ。高校一年だ」


 リストバンドの男が驚いた表情で俺を見やがった。

 なんて失礼なやつだ!


「こ、高校生? こんなチビなのにか?」

「チビは関係ないだろ?」

「いやいや、もう一人の女の方が美人だろ?」

「それがどうした?」

「こいつと付き合うとか、ロリコンって言われるぞ!?」 

「ロリコンのどこが悪い?」


 おい、大二郎。そこは違うって言え!


「え、えっと、胸がないだろ!」 

「お前は胸で人を判断するのか?」


 そうだそうだ!


「いや、あれだ。悪い事は言わねぇからもう一人の女にしとけって」


 大二郎の顔がだんだんと引きつってきている。


「おい、お前……姫宮綾香の良さが何もわかってねーだろ?」

「わ、わかるはずねーじゃねーか! 何でこんなのが……」


 大二郎は金髪の男に向かって再び歩き始めた。

 それを見た金髪の男はジリジリと後退する。


「よく考えたらな?」

「な、なんだよ?」


 大二郎は凄まじいオーラを放ちながら金髪の男と距離を一気に詰めている。

 金髪の男は地面に転がった二人を横目で見ながらどんどんと後ろへ後退してゆく。


「お前になんか綾香の良さなんてわかってほしくもない!」


 なんという恥ずかしい台詞だよ!?

 輝星花の表情がすっげー引きつってるじゃないか!


「待て! ちょっとタイム! 俺が悪かったから!」 


 金髪の男は両手を懸命に振りながら大二郎の前進を止めようとした。

 しかし大二郎は躊躇する事も無く渾身の前蹴りを放った。

 金髪の男は避ける事も出来ず正面から蹴り受けた。


「うわぁああ!」


 そして『ドフ!』という鈍い音と共に男は叫びながらふっとんで地面に転がった。

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