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ぷれしす  作者: みずきなな
大宮バトル 救世主は俺だ!
103/173

103 大宮お買い物ツアー そのⅠ

 楽しそうに前を歩く絵理沙と茜ちゃん。

 人混みの中で離れないようになのか、手まで繋いでいる。

 しかし、マジでなんでここまで仲良しになったんだろう?

 そんな疑問が俺の頭の中に沸きまくる。


 先日まで話しも殆どしていなかったのに仲良しになりすぎだろ。

 そのせいで絵理沙は俺にはあまり話しかけてこないし。

 俺の事をもっと相手にしろって言うんだよな。

 お前は俺が好きなじゃないのかよ?


 ……って……おいおい。

 俺様は何を考えてるんだ?


 ちょどその時、絵理沙がくるりと俺の方を振り向いた。

 そして、ニコリと微笑んで軽く手を振る。

 その瞬間、俺の心臓がドキっと脈を打ち、俺は視線を下げてしまった。


 ……って、なんで顔を下げる。

 そして、何で顔が熱いんだよ!


 まぁ、こうなる原因はわかってるけどな。

 あの告白をされたからだ。


 そして、またも頭に浮かぶ絵理沙の告白シーン。

 すごく鮮明に。何度も何度もリピートされる。

 そして、告白された時よりもすごく緊張してる俺がいる。


 なんだ? この妙な感覚は……。

 まさか、俺はあいつを……絵理沙を意識してるのか?

 あの告白を素直に受け止めてるのか? マジの告白だって思ってるのか?

 いやいや、ない。

 マジだったら絵理沙だってこんなに普通じゃいられないはずだろ?

 それに、俺には茜ちゃんが居るじゃないか!

 俺を好きで、俺の帰りを待ってくれている可愛い後輩!

 絵理沙になんて浮気心を抱くなよ!


 俺は自分の頬をつねった。

 痛かった。


 あぁぁぁ! こんなんじゃ駄目だ!

 やめやめ! よし! 忘れるぞ! よし! 忘れた! リセットだ!


「茜ちゃん」


 俺は前をゆく茜ちゃんを呼び止める。すると、茜ちゃんと同時に一緒に絵理沙もこちらを向く。

 俺は意識しないように、チラリとだけ絵理沙を見て、茜ちゃんに口を開いた。


「ちょっとお手洗いいってくるから」

「あ、うん! わかった、じゃあアルシェのいるねっ!」

「あ、うん」



 俺は戦線離脱をしてから女子トレイに駈け込んだ。

 ちなみに、俺はトイレに行きたい生理的現象には襲われてはなかった。

 来た理由? それは……。


「落ち着け、俺」


 そう、落ち着くためだ。

 そして、俺は目を閉じて深呼吸をした。


「すーはー」


 何度か深呼吸をしてゆっくと目をあけると……。


「うわぁ!」


 俺の目の前に輝星花きらりがいてびっくりした。

 しかし相変わらず楽しそうな表情だな、おい。

 で、なんでお前までトイレにいるんだ?


「綾香さん?」

「な、何だよ?」


 輝星花はそっとひとさし指を俺の唇にあてた。


「口調、直しましょうね?」

「あ、そ、そうだな」

「もっと女の子らしくしないと、駄目ですよ?」

「う、うん……」

「で、少し宜しいですか?」


 そう言った輝星花の顔から笑顔が消えた。どうしたんだ?


「な、なんだ……なんですか?」


「少しだけ、こちらへ」


 人がいないのを確認した輝星花は個室へ俺を連れ込んだ。

 って、なんで個室に二人で入る?


「一つだけお話をしておきます」


 個室に入った輝星花は俺の耳元で話を始めた。

 しかし、やばいだろこれ。

 輝星花が俺に完全に密着している。

 輝星花の女としての色々な部位が俺のからだに触れている。

 女性特有の柔らかさと、いい匂いが俺を惑わせる。

 心臓がバクバクと勝手に鼓動を早めて、顔まで熱くなる。


 これは勘違いされるパターン!?

 と思ったけど、輝星花はまったくそんな俺を無視して言葉を続けた。


「越谷茜さんですが、貴方の事を本当に綾香さんなのかを疑ったままです」

「えっ?」


 まさか、心を?


「少しだけ読んでみましたが、貴方に対する疑いは晴れていません」

「そうなのか……」


 輝星花は唇を吊り上げると、俺の目を見据えた。


「注意してくださいね? これから先も何があるかわかりませんから。もしもここでばれたら大変な事になります」

「あ、うん……」


 輝星花きらりの言う通りだ。

 茜ちゃんは俺の事を本当は綾香じゃないんじゃないの疑っていても仕方ない。

 人に対する疑念はそうそう晴れるものじゃない。

 俺だってその位は知っている。


 タイエ―で大二郎が絡んできて、俺がブチ切れてしまって……。

 バレーの時だって、俺がブチ切れてしまって……。


 さっきの事が原因で疑っているんじゃないんだ。

 茜ちゃんの中では、前の2回の出来事が疑いの要因になっているんだ。

 そうだ、俺はなんだかんだって、ずっと茜ちゃんに疑われていたのか?


「その表情は理解して貰えた感じですね。では、よくよく注意してくださいね。私もこんな状態ですので、魔法で手助けなどは難しいので」

「ああ、わかった」


 なんて俺が返事をすると、緊張の糸か切れたかのように急に輝星花きらりが柔らかく優しい表情になった。

 そして輝星花きらりは俺の瞳を覗き込む。


「綾香さん、いきましょうか」

「あ、ああ……」


 俺たちは個室を後にした。

 しかし、個室から二人で出るとか、周囲の人たちはどう思っていたんだろうな……。

 やっぱりやばいカップルとか思ったのか?

 まぁ、うん、俺でもそう思うけどさ。

 そして……何で俺は輝星花にまでドキドキしてるんだろうな……くっそ!

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