赤毛の少年
久しぶりに……それにしても短い
「そこの馬鹿野郎! 死にたいのか!?」
突然の罵声。
「馬鹿って何よ! 私は馬鹿じゃない!!」
振り向くとそこには、少年が立っていた。
見たこともないくらいに紅く染まった髪に、対照的な蒼い瞳。身長は光より少し高いくらい。
同い年の人間としてはそんなかわりはないが、両手に構えている物を見て光は驚く。
銀色の拳銃・・・・・・?
少年は光のほうに銃口を向け、今にも引き金を引こうとしていたのだ。
距離は大体3メートルくらい。間違いなく、撃たれたら殺られる。
「グゥゥゥゥ」
光の後ろで大猫が唸り声を出して威嚇していた。さっきまでの愛くるしい顔は、今では百獣の王ライオンの如くだ。
「ちょ、待って、急になによ!? 私を殺す気なの?」
状況が理解できず、光は戸惑う。少年は表情を変えずに言った。
「馬鹿女、殺すのはお前じゃない。後ろの危ないソレだ」
「後ろ・・・・・・?」
後ろには大猫しかいない。もしかして・・・・・・。
「この仔は危なくない! 危ないのはあんたが持ってるソレでしょ!」
「早く退け!!」
「あんたが退きなさいよ!!」
「退け!」
「あっち行って!!」
「このチンチクリン音痴女!」
「このトマト髪のモヤシ男!!」
「あ!私の事馬鹿にしたーー!最低最悪男」
「俺のアイデンティティーを馬鹿にしたな、このペチャパイ女」
「この・・・・・・!」
「この・・・・・・!」
かれこれ、30分の言い合いの末、両者とも息切れを起こし睨み合っていた。
光の後ろで威嚇することをやめた大猫はのんきに日なたぼっこしている。
なかなか決着がつかないし、どうでもよくなってきたので、とりあえず光はお昼を食べることにした。
ちょこちょこ進めていきます。